01-3 青藤八
八、いいかい。
悪いことをしたら、暗い森の中の寮に連れて行かれて、寮監から厳しい罰を受けることになるんだよ。
また、最初に思い出した記憶が、私の頭の中に浮かんでくる。頭がぼやぼやして、少し痛い。
……私にこの話をしているのは、誰なのだろう。
そして、厳しい罰というのは、ミヤイリが話している、この殺処分のことだったのだろうか。
アニメやゲームのような話で、にわかに信じ難い状況ではあれど、唯一、思い出している記憶は、確かにこの寮の存在は真実なのだと、私に訴えかけてきていた。
「そんな馬鹿みたいな話、信じられるか! だいたい、なんで罪状がばらばらな人間たちが一緒くたにされなきゃならねえんだよ……冗談じゃねえぞ……こんなところに入れられるなんて……」
短髪の、スポーツでもやっていそうな男の子が、声を少し震わせながらミヤイリに訴えかける。きっとこの子は、そこまで悪いことをしていない人なのだろう。さっき見つけた、犯罪と呼ぶには難しい罪状の一人なのかもしれない。
みんなにそれを悟られるという可能性すら、判断できないほど、彼は自分がここにいる事実や、これから始まろうとしているゲームとやらに、抗おうとしていた。
「いいえ、綿引くん。罪状はばらばらでも、罪と認められれば、もうそれは、罪なのです。ただ、もちろん、みんな罪は犯せど、潜り抜けてきたもの、経験してきたものは違うと思います。ですので、ちょっとしたハンデをつけました」
また画面は切り替わり、罪状が並ぶ。ただ、さっきとは違うのは、罪状の上に、星のマークが並んでいることだ。グルメサイトなどで、お店が評価されているように、罪が評価をされているのだ。
(星五つ級の罪……家に放火し、家族全員を殺害……事故を起こし、数人の仲間を殺害……無差別殺人で十一人を殺害……)
さっき流れた際にも、一際、目に付いた罪状だ。どうやら、この三人の殺人犯たちが、星五つ級と認定されているようだ。
その後も、星四つ、星三つと、それぞれの罪状が流れていく。
「星五つ級の殺人犯たちとお友達になった方には、5ポイント、私が加点してあげましょう。星四つ級なら、4ポイント……そうなると、必然とみんながお友達になりたい人気者って、星の高い寮生たちになりますよね。これが、ちょっとしたハンデです」
人気者とは、よく言う。
ただ、わからないのが、お友達になろうと狙われることの、デメリットだ。みんなでそれぞれ罪を明かして、お友達になってしまうことはできないのだろうか。
「お友達になるのって、大変な努力が必要です。歩み寄って来てくれた人には、それなりの感謝を返さなければなりません。お友達は皆、平等ではないのです。いつだって、どちらかの方が、少し何かを与えてくれて、どちらかの方が、我慢しているのです」
……感謝、とは、なんのことを言っているのだろうか。
「お友達になろうと歩み寄って来た人と、お友達が成立した場合。皆さんは、感謝の気持ちを持って、その人の言うことを聞かなければなりません。その人の言うことに背けば、風紀を乱したと私が判断し、その場で罰を下します」