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異世界でレベルアップしたら全ステータスが0になりました。  作者: シラクサ
求められるのは在り方
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英雄としてか、皇帝としてか

八十一話

「ヒューマン全員……?」


「そう。ヒューマン全員」


「な、なんでだよ……俺を生き返らせる時は魔力で良かったんだろ? なんで次は命なんだよ」


「だからだよ。代償は魔力。何も変わっちゃいない」


「ヒューマンの命だろ? 魔力とは関係なくないか?」


「……」


 サタヌキアは辛そうな顔をする。意味が分からない。魔力とヒューマン達の命と何の関係があるというのか。


「ええと……代わりに私が説明しましょう」


 そう言って手を挙げたのはアガリアレプト。サタヌキアと仲の良い人物だ。


「まずヒューマンの教会と、我々の行った蘇生では決定的に異なる点があります。我々の行った蘇生魔術は、その名の通り死者蘇生です。死者の魂を輪廻の輪から取り寄せ、魔力で復元された細胞の集合体、即ち人体に入れる行為。それが我々の行った蘇生魔法です」


「それは教会とは違うのか? 教会も同じだったはずだけど……」


「教会はそれの模倣でしかないのです。魂を輪廻の輪から取り出す事はヒューマンには出来ません。魂という概念が存在しないと言ってもいいです。世界崩壊前の人類の残した資料は、ヒエローニュムス殿の歴史改ざんと共に、人界にはほとんど残っていませんでしたからね」


「でもルルは、魂だとか肉体の情報だとか」


「その通り。ネックになっているのは魔道師達です。魔術師は我々の蘇生魔法の技術を盗みました。ですが完璧に再現することは出来ませんでした。生きる機能である体、生きる意思である命。その二つが蘇生の鍵だという情報は我々から盗んだものの、魔力で生み出すことはヒューマンには出来なかったのです。なぜなら、先程も言いましたが、人体に対する理解は、今の人界にはもう存在していないからです。そこで魔力で復元するという方法をとりました。生きたいという意思、生きて欲しいという意思の増幅による魂の復元。そして、その疑似魂の持つ体の情報の増幅による復元。それらの根源となる魔力はその人間の死亡により発生する魔力。これが教会の今の姿です」


「……」


 頭がパンクしそうだ。今のヒューマンは魔力の塊……? 魔道師は盗人……?


「先ほどサタヌキアが説明したステータスカード。あれの基礎は我々が作りましたが、その技術を盗んだのも魔道師です。もちろん、ヒューマン用に作りかえたのは魔道師達ですが」


 魔術都市の学長が、基礎は私が作ったのだと言っていた。あれも嘘なのか? それとも、この魔族達が嘘を言っているのか?


「お、俺には……お前達か、ヒューマン達が嘘を吐いているのかが分からない。それに……それを俺に聞かせてどうしたいのかも分からない……」


 その言葉に魔族達は顔を見合わせる。そしてサタヌキアが俺の方を向き、話し始める。


「君、いや、あなた様には僕達の王として。皇帝としてこちら側について欲しいんだ」


「それは……」


「勿論、今すぐにとは言わない。君も整理の時間が必要だろう。だが期限は一週間。それだけしかない」


「……もう一つ。なんで今なんだ?ルル達が……その……寿命でこの世からいなくなってからじゃダメなのか……?」


「魔力は尽きようとしている。この世界の魔力は有限なんだ。というよりは、世界が正そうとする力を弱めようとしている、と言った方が正しいかな。この今の世界になってから魔力は使われ続け、曲がった力を正そうと減っていっているんだ。そして僕達の計算上、残りは十数年。時間は余り残されていない」


「それにしても……」


「それに、だ。こう言うのは酷かも知れないけど、この時期を選んだのは君なんだ。魔力で蘇生が行われたとは言え、未だ死なずに魔力で構成されていない人達もいるだろう。でももう数百年が経った。ヒューマンの増え方や減り方を鑑みるに、この時期ならば、純粋なヒューマンは残っていないだろう、と君が言ったんだ」


「そんな……」


「もちろん、ヒューマンは魔力でとは言え、生きている。そして生粋のヒューマンもいるかもしれない。エゴと言われればエゴだけど、もう一度前の世界に戻れば、こんな事にはならずに済むかもしれない。その為の代償だ、と思っているよ」


 サタヌキアの言葉に、魔族は顔を曇らせる。命を奪ってまで、時を戻す価値が前の世界にあるのか。答えは決まっている。


「だとしても、だ。俺は賛成は出来ない」


「……そう言うと思ったよ。でもまだ時間はある。君の意見が変わることを望んでいるよ」


 サタヌキアは寂しそうに、そして諦めたように笑いながら言った。


「さて、じゃあ送るよ。門前までだけど」


 そう言うサタヌキアの後ろに着いていく。その背中は何度も見た。俺は覚えている。きっと魔族の王だった頃の記憶だろう。


「なぁ、サタ」


 その俺の声かけに勢いよくサタヌキアは振り返る。


「っ……どうしたんだい?」


「……俺は何回も死んだんだ。つまり俺の体も魔力で出来てるって事じゃないのか?」


「それに関しては大丈夫。君の魔法の特訓と称して魔族式蘇生をしたからね」


「あの時か……」


「あの時君を構成している魔力は無くなった。そして何回も厳重に魔法を掛け、魔族の蘇生魔法経緯で教会の復活が出来るようにしたんだ。だから大丈夫」


「……俺は……本当に魔族なんだな……」


「……認めたくないだろうね、きっと。でも君の記憶は覚えてるはずだよ、ここのことも、皆のことも」


「あぁ、知ってる。この場所には俺の魔力が大量にあるらしい。記憶が少しずつ戻ってきてるよ」


「この世界に散らばった、君の中にあった魔力。それを魔物を片っ端から倒して集めたんだよ。だからここでは記憶が戻ってるんだろうね」


 サタヌキアと城の中の道を歩く。あぁ、懐かしい感覚だ。


 その後は雑談をした。前の記憶が次々と蘇ってくる。不思議な感覚だ。


 歩いていると、街の門に着いていた。


「さて、君がどの道を選ぶかは分からない。たぶんだけど、僕達とは敵対するんじゃないかなって思う。なんとなくだけどね」


 それだけ言うと、サタヌキアは俺の背中を押す。


「俺は……昔の世界に戻したいとは思わない。そして戻すためにルルやガウル達の命を奪うって言うなら……俺はお前らを殺す。躊躇いなくな」


「……そっか。まぁ時間はまだあるからね。君の意見が変わることを切に願っているよ」


 その言葉を聞くとサタヌキアに背を向ける。魔力の鎧を生み出し、足裏で爆発を起こす。生まれた推進力で中央都市へと向かう。もう未練は無い。振り返りもしない。


 シロが飛んでいくのをサタヌキアは見ていた。そして、声が届かないと分かりながら、一人呟く。


「もう、友とは呼んでくれないんだね。分かっていて呼ばないのか、それとももう……」


 そう言って悲しそうに笑った。

全伏線を回収しました(大嘘)


つじつま合わせはこんなもんでいいですかね。僕は十分です。


ステータスとかレベルとか、なんで異世界なのにあるんですかね?っていう疑問から走り出したこの話はもう少しで完結します。


そして、つじつま合わせが終わったので最終話までノンストップで更新します。という気持ちだけは持っておこうと思います。


後付けの割に、しっかり設定練ったみたいになっていて笑いました。後乗せサクサクと先乗せトロトロとどっちが好きですか?僕はサクサクが好きです。赤どんそば天良いですよね。おいしいです。

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