真実
七十九話目
サタヌキアと共に、悪魔の街を歩く。街中には色々な種類の魔族がいた。
これはルルに聞いた話なのだが、魔族とは魔界に住んでいる種族全般を指すらしい。黒めの肌に角が生えている種族は悪魔族。他にも吸血族や人狼族。鬼人族に淫魔族等々たくさんいるらしい。
人と呼ぶべきかは難しいところだが、魔界の人々は物珍しそうに俺のことを見ている。
「なぁ……」
「僕のことはサタ、とかサタヌキアと呼んでいいよ」
サタヌキアは胸を張る。そうじゃねぇ。
「違う違う。なんで俺はこんなに見られてるんだ?」
「なんだ、そんなことか。まぁそれはこれから分かることだよ」
……まぁだろうな。なんでこの世界に飛ばされたのか、記憶が無いのに魔界の住人は俺のことを知っているのはなぜか。俺は何なのか。ステータスとは何なのか。お前達は何なのか。聞きたいことは山ほどあるが、答えてくれると信じようか。
「さて、と。ここだけど……見たことは?」
サタヌキアが、城の門の前で立ち止まる。中央都市に引けを取らない大きさだ。だが、生憎記憶にはない。
「さぁ。初めましてだと思うけどな」
そっか、と残念そうに呟く。そうやって、俺だけは知ってるけどネタばらしはまた後で、みたいなのやめて欲しい。ムズムズする。
サタヌキアは城門を開け、中に入る。俺もそれに続く。丁寧に掃除された大広間を抜け、玉座の間に続く門の前で立ち止まる。
「さて。どうする? 今ならまだ帰る事も出来るよ?」
少し辛そうにサタヌキアが笑う。
「俺は真実を知るために、ここまで来たんだ」
扉に両手を添える。たとえどんな事実が待っていたとしても俺は受け入れられる。ゆっくりと力を込め、開けていく。後ろでサタヌキアが大きく息を吐く。
玉座は空席。玉座の横には席が二つあり、巨漢の男性二人がそこに座っている。玉座に向かって五人が膝を突き、その後ろに三人ずつ膝を突いている。サタヌキアが、その五人に並ぶように膝を突く。そして顔を上げ、俺に声を掛ける。
「座って下さい、あなた様の席に」
その言葉に歩を前に進める。膝を突く悪魔達の間を通り、玉座へと歩んで行く。
高級感に包まれた玉座。長いこと使われて古くなってはいるが、大切に使われていたのだろう、傷は見当たらない。金色の縁に赤色のマット部分。ザ・玉座って感じだ。
ゆっくりと手を伸ばす。肘掛けに触れた瞬間、映像が頭に流れ込んでくる。
★★★★★
「それでは朝礼を始めます!」
玉座に座った男性が前に並んだ者達に声を掛ける。
「ルシせんせー!」
少女が元気よく手を挙げる。
「なんですかネビちゃん。まだ先生が喋っているでしょうが」
「そのネタは古いですせんせー……そしてこの朝礼は必要ですか、せんせー」
「いるさ、いるいる。超必要。な、サタ?」
玉座から、膝を突いている男性の一人に声を掛ける。
「僕も必要ないと思いますせんせー」
「裏切ったなお前!」
その一言に、場にいる人達は笑う。
★★★★★
「……今のは」
「どうしたよ、ルシ」
玉座の右に座っている男性が声を掛けてくる。彼の名はアスタロトだ。よく知った仲だった……はずだ。
「いや……なんでもない……」
状況が掴めない。嘘だ。掴めている。
何も分からない。嘘だ。分かっているはずだ。
何も知らない。嘘だ。知っているはずだ。
玉座に座り、頭を抱える。俺は……まさか……
「皇帝ルシファー殿。我らが命、あなた様の為に」
サタヌキアがそう言うと、全員が頭を下げ、あなた様の為に、と続けて言った。
顔を上げる。玉座の横に二人、前に六人、その後ろに三人ずつ。計二十六人。俺はこの景色を知っている。何度も見たはずだ。
「俺は……」
そう言うと皆が顔を上げる。
サタヌキアと目が合う。彼はやれやれと息を吐き、
「まぁ難しい話は後回しにして! ご飯を食べよう! レプト、お願い」
と言った。ご飯て。
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まぁまぁみたいな感じで連れられ、席につく。長テーブルに全員が座る。メイドのような人が料理を運んでくる。
「さぁさぁ、どうぞどうぞ」
サタヌキアは嬉しそうに言う。
前菜。色とりどりの野菜が乗っている。レタスに人参、トマトにキュウリにアボカドに生ハム。
「すげぇ。まるで本物だ」
本物というのは少しおかしいか。前の世界の野菜に似ていると言った方が正しい。本物と見紛うほどに。
「まるでというか本物だよ、これ」
サタヌキアがフォークでレタスを刺し、俺の前でヒラヒラさせる。
「本物ってどういう……」
「これはレタス。君が知っているレタス」
「いやいや。そんなはずは……」
「この世界は異世界で、前の世界は存在する。だからレタスや前の世界の食材なんて存在しない。あったとしても模造品、て感じかな?」
俺の考えていることはお見通しか。
「じゃあなぜこのレタスは本物なのでしょうか」
……答えは言いたくない。だが真実は無情なことに、いつも一つ。
サタヌキアが、正解は、と言い始め、続ける。この先を聞きたくはない。だが聞いても聞かなくても事実は変わらない。
「この世界は、君の言う前の世界と同じだから、でした」
にっこりと、嬉しそうに、子供に言い聞かせるように言った。
ラスボスは主人公!そして異世界は異世界じゃなかった!いやーベタベタのベタですね。逆に一周回って新鮮レベルでベタですね。
今回と次の一話でネタバレ終了となります。そしてそこからは怒濤の勢いでラストまでいくつもりです。
本当はもっと書きたいところとかあったんですねれどね。なにせ設定皆無で書き出したので、続けるのキツくて。
誤字報告ありがとうございました!よりによって一話目でした!クソみたいな話でも読んで下さっている方っているんですね!ほんとすいません駄文で。




