いざ次の街へ!
七十四話
ルルのお父さんが孫はまだかと叫んだり、エルドラが酔った勢いで武術を披露したりはあったが、特に事件もなく宴会は進んだ。
来てくれた皆を入口で見送り、後片付けに入る。後片付けと言っても着替えるくらいしかないのだが。
「楽しかったですね」
「そうだね。賑やかだった」
「確かに」
昼前に始まった結婚式は、空が赤くなる前に終わった。普通の結婚式ならば二次会的なのがあるのかもしれないが、この世界ではそんな風潮はない。気楽でいい。
「シロさん。ちょっとお願いが……」
「ん? どしたの?」
「し、新婚旅行に行きたいなぁと……」
ハネムーンてやつか。
「良いね。行こっか」
「はい! ではあの……妖精の街に行ってみたいです!」
世界地図に書いてあった街か。世界の右下の街。俺も興味は引かれていた。
「うん。行こ行こ。……でも馬車で行くの?」
「それしかないかと」
地図で見た限り、中央都市から妖精の街までの距離は、魔術都市から中央都市までの距離の三倍はある。魔術都市から中央都市までがほぼ一日。そう考えると馬車で二泊は事になる。絶対腰骨折れる。
「馬車はちょっとなぁ……」
「でも他に手段なんて……」
ルルも俺も考え込む。
あ、良い方法があるじゃんか。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
結婚式が終わって早々にハネムーン。いいと思う。と思いながら服屋でお目当ての服を探す。なるべくそれっぽいものを。
長々と悩んだ末に選んだ物をルルに渡す。
「な、なんですか、これ?」
まぁまぁと言いながらルルに着てもらう。俺もルルと対になっているものを着る。
次に乗り物を作る。鉄で出来た筒を捻じ曲げていく。両手で掴む所を作り、それを後ろのタイヤあたりまで伸ばす。右手から筒に向かって酸素を送り出す。左手は水素。筒を通ってタイヤの横まで送られ、そこで燃焼して飛翔する。タイヤもその他の部分も鉄だけど……まぁいいか。雰囲気だし。
「あの……着てきましたけど……」
振り返ると、一段と可愛いルルがいた。
「やっぱ似合うと思ったんだよなぁ」
思わず口からこぼれるくらいには似合っている。身長がそこまで高くないのが尚更だ。
「なんていう服ですか?」
「制服だよ制服」
「せーふく?」
紺で統一された制服。ネクタイは赤。ちょっと昔っぽさがあるがルルには似合っている。
俺も真っ黒の学ラン。着るのはいつぶりになるだろうか。鏡を作り出し、見てみるが似合っている。あたしってばまだまだ現役っ!
「じゃあ乗ろうか」
「ええと……これは……?」
「自転車っていう乗り物。便利なんだよ」
まぁ魔力で飛ぶし自転要素はない。タイヤも作っただけで回らないし空を飛ぶから必要ない。結果的に車要素もない。つまり、見た目自転車で中身飛行機。
サドルの部分と荷物置きの部分に布を巻く。
「しっかり掴まっててね」
ルルが荷物置きの部分に腰を下ろし、俺の腰に手を回す。これだよこれ。このデートの感じ。
「妖精の街へ向けてー?」
「しゅっぱーつ!」
ルルの楽しそうな声に呼応するように、両手の筒に酸素と水素を送り出す。後ろのタイヤの横の筒から爆音が鳴り響き、俺とルルは空中へと飛び立った。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
俺は今、光になっている……と錯覚するほど早く飛ぶ。
「あそこですー!」
ルルが後ろから指を指す。その指の先には大きな木が見える。
大きな木の根元には草原や花畑が広がっている。外壁という外壁はなく、のどかそうな雰囲気だ。
「あのー!」
「どしたのー!」
「どうやって止まるんですかー?」
「……」
「……」
忘れてたわ。いやー失敬失敬。
スマホで書いてみました。
やっぱりパソコンの方が楽です。




