国を挙げてのになりました。
七十三話
たくさんの人達に見守られながら。
「汝、新郎シロ。ルルを妻とし、良い時も悪い時も、富める時も貧しい時も、病める時も健やかなる時も、愛し、敬い、慰め、助け合うことを誓いますか?」
「誓います」
「汝、新婦ルル。シロを夫とし、良い時も悪い時も、富める時も貧しい時も、病める時も健やかなる時も、愛し、敬い、慰め、助け合うことを誓いますか?」
「誓います」
「愛の誓いをここに」
牧師に言われ、ルルのベールを上げる。頬はほんのり紅く染まっている。可愛い。
ルルが目を閉じる。ルルの手に自分の手を添え、顔を近づける。
観衆の前で互いの気持ちを示し合う。
唇が重なると同時に、大きな、それでいて控え目な声が上がった。
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「ではその様に」
教会の係の人達から説明を受けた。長くすぎて頭が痛い。目頭を押さえていると。
「試着が完了しました。ご覧になりますか?」
ルルがウェディングを試着していた部屋から女性が出てくる。
「今行きます」
長い時間座って話を聞いていたせいで腰が重たい。あぁ、癒やしのルルよ……
フラフラとした足取りで部屋に入る。中は姿見や衝立があり、パッと見ただけで数十ものドレスが飾られていた。
「あっ。ど、どうですかね?」
天使がいた。そう錯覚するほどに美しい。
ドレスは白色の一般的な物。所々刺繍が丁寧に施されてはいるが、ドレスは目を引くほどではない。つまるところルルの可愛さが目を引くのだ。圧倒的天使。
「綺麗すぎる……」
思わず口に出た言葉にルルは嬉しそうに笑う。その笑顔で、この瞬間が芸術作品になった。後生に資料として残しておいた方が……
「じゃあこれにします!」
ルルが嬉しそうに係の人に言う。係の人は頷き、何かを紙に書き始めた。
「どうでしたか?」
ルルが少し歩きづらそうにこちらに来る。
「うん。概ね順調」
経費がいくらだの、いつ誰がどうするだのの話はなんとか頭に入れた。この世界の結婚式は結構特殊で、友達からの言葉もなければ、親からの言葉もない。ブーケもなければトスも無し。衣装直しもないらしい。
そして誓いの言葉を言った後は、会場を移動して宴会が開かれるんだと。最近宴会しかしてないな。
「ルル様。こちらに」
そう言われルルは衝立の裏に行く。俺も話の確認をもう一度しようか。
そう思い、部屋を出た瞬間。
「貴様! 水くさいではないか我を呼ばぬなど」
エルドラがいた。なんでだよ。
「挙式だとな。しかもフーリエを振った相手を。何故言わなかった?」
「いや、ほら。騎士長だし。忙しいかなって」
「それが水くさいと言っておるのだ! 既に国王の耳にもこの話は入っている。是非城で式を挙げて欲しいと言われていたぞ」
「いや、うん。ありがたい話だけどやめておくよ。もう準備も進んでいるし」
「なに! 遠慮することはない! もう話はその方向で進んでいるしな!」
いや、やめて本当に。質素にいきたいの俺は。
「シロ様、式のことなのですが……」
係の人に呼ばれて振り返る。城で挙式なんてたまらない。教会でして貰おう。
「会場を教会から城に移されると聞きました。それにより変更がありまして」
色んな気持ちを抱えながらエルドラを見る。エルドラは笑顔でウインクをしてきた。うざいからやめて。
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騎士長、副騎士長。魔法隊長、副隊長。騎士隊に魔法隊、魔術都市のルルの知り合いにルルのお父さん。ガウルとガウルの恋人さん。
百人はいるだろう。会場がざわついている。
「シシシ、シ、シロさん……」
ルルが震えている。当初は質素な予定だったんだけどね。なんかごめんね。
「大丈夫。気が置けない人達だし、ね?」
そう言ってルルを落ち着かせる。
「シロさん」
係の人に呼ばれ、定位置に着く。城の大扉が開き、会場が盛り上がる。その中を歩き、牧師の前までいく。
後ろを扉を見て、ルルが入ってくるのを待つ。
「新婦の入場です」
司会の人がそう言うと、扉が開いてルルが入ってくる。
ドレス姿のルル。軽く下を向き、ゆっくりとした足取りで向かってくる。会場からはため息のような歓声が漏れる。この姿のルルを見て抱く感情は感動に近い物がある。
一歩一歩前に進み、俺の横に立つ。一度こちらを見て嬉しそうに微笑む。
俺がルルの手に手を伸ばす。ルルも俺の手を握ってくれる。
牧師は静かに息を吸い、誓いの言葉を言い始めた。
抱く感情!マジ感動!心に干渉!マジ感謝!
ラップっぽいなって思いました。




