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婚約

七十二話

「誰がですか?」


「俺が」


「誰とですか?」


「ルルと」


「……け、結婚ですか?」


「……うん」


 ルルは下を向いてしまう。


「い、嫌だった……?」


「ち、違うんです! そういうのでは……その……なんというか……心の準備というか……」


 ルルに一歩近づく。もう一歩、もう一歩と。ルルの目の前に立つ。


「別に、今日明日とかそんなんじゃなくてさ。したいなって思ってるってだけでも分かって貰えれば」


「い、いえ。嬉しいんです。嬉しくてまだよく分からなくなっていて」


 思わず抱きしめる。


「実は結構前から考えてたんだけどね。色々忙しかったから」


 頭を撫でながら続ける。


「丁度、今回の討伐で少しは時間空くだろうし。どうかなって思ってさ」


 ルルが顔を上げる。目は滲んでいて頬は紅く染まっている。


「ふつつか者ですが、よろしくお願いいたします」


 笑いながら少し震えた声でそう言ってくれた。


「こちらこそです」


 そう言って二人で笑う。


「いつ頃の予定ですか?」


「来週くらいにどうかなって」


「分かりました。それにしても結婚ですか……」


「うん?」


「いえ。魔術都市でのことを思い出して…………」


 そのまま昔話に花を咲かせた。宿に帰ったのは夜が更けた頃だった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「おぁあ!?!?」


 ガウルの第一声だった。


「そうなっちゃった」


「えぇ!? 本当か!? 本当なのか!?」


「うん」


「あぁ!! めでたい! めでたいぞ!!」


 ルルと一緒になってガウルに頭を撫でられる。


「その、来てくれるかな」


「おうともさ! いやぁ、そうかそうかぁ」


 なんだかガウルがおっさんくさい。


「そんでこれ。ガウルに。俺とルルの二人分」


 そう言って結構な金が入った袋を手渡す。


「なんだ?」


「最果ての街から色々とお金を工面してくれたからね。その分」


 ガウルは袋の中を覗く。


「にしてはちと重いんだが?」


「私達の気持ちを上乗せです」


「っていうこと」


 ガウルはその言葉に渋々受け取ってくれた。やっぱりガウルはいい人だ。


「だが挙式となると、それなりの金が掛かるだろう?」


「昨日の魔物を倒した報酬金がガッポリ入ってさ。それに関しては大丈夫」


「そうか。じゃあまぁ一安心だな」


 凄く気にかけてくれている。


「また近々連絡するよ」


「おう。他に誰を呼ぶんだ?」


「実はまだ決めてないんだ」


「そうか。じゃあ楽しみに待ってるぞ」


「うん。また詳しいことは後日に」


 そう言ってガウルと別れた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 冷静になって考えると、俺には知り合いがほとんどいなかった。悲しい現実だ。


 仕方が無いので魔術都市に行き、ルルの知り合いを呼ぶことにした。


「さてと、最後は……」


「お父さん……ですね……」


 そんなに不安そうにしないで欲しい。あの人怖いし。


 ルルの家の玄関を開ける。廊下を進み、居間の襖を開ける。こちらに背を向けて座っているルルのお父さんがいた。ルルと一緒に座る。


「何の用だ」


 こちらを見ずに言う。


「近々、ルルさんと結婚させて頂きます。その報告に」


「……そうか」


 それしか言わない。その様子にルルは一歩前に出る。


「お父さん。私はこの人と結婚します。なので……式に来て下さい……」


 一瞬の間。不安そうなルルの横顔が見える。


「当たり前だだろう。娘の晴れ舞台だ」


 その一言にルルと俺は顔を見合わせ、笑う。


「それで。いつなんだ?」


「ええと、来週の…………」


 挙式向けて着実に事は進んでいった。 

人をダメにするソファ良いですね。


ダメ人間が更にダメになりました。

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