試行錯誤その2
六話目
寝台のような場所から起き上がり考える。想像と実際の動きには、さして違いがなかった。しかし、攻撃は先ほどと同じように飲み込まれて終わった。
戦闘状態にならなければステータスが反映されないのは、ガウルと歩いた時に実証済みだ。ということは相手主体で考えるべきか。
ここまでの考えをまとめた。
教会を出た後、また申し訳なさそうなガウルを見つけたので、声をかける。
「仮説が間違っていた。戦闘時か非戦闘時かは俺の気持ちじゃない。相手の気持ちではないのか、と」
「もしそうだとして、証明する方法がないぞ?」
「いや、奇襲だ」
「奇襲だぁ?」
「相手が気がつく前に倒す。それだけよ」
「上手くいくもんかねぇ」
「行くさ。行かせてみせるさ。」
もしこれでダメだったならば、戦闘と名がつくものは神とも言うべきシステムによって管理されていることになる。
管理は言い過ぎかもしれないが、敵に対して武器を構えたり、敵意を見せる等の行動を行った場合は、全てこの最弱ステータスが適用されることになる。出来ればそうならないよう祈りたい。
「だがスライム相手に奇襲、どうするつもりだ?」
「スライムには目にあたる器官がない。そして今ガウルが持っている剣はさっきまで俺が使ってたやつだよな?」
「そうだ」
「ということは、俺が殺された後、剣は吸収しなかったわけだ。」
「そうなるな」
「前に教えてくれたけども、低温の生命体もいれば、心臓を持たない生命体もいる。そうなると生命体そのものに反応するような仕組みになってると考えるのが妥当だろうな。」
「ふむ、で? どうするんだ?」
「分厚い岩の壁を作る。そして隙間からドーンよ」
「なるほどな! お前頭良いな!」
「そんなに褒めるなよ。よし、行くぞ!」
「今回もそんなに褒めてないけどな! 分かった!」
本日三度目だ、正直に行こう。
扉は、開かれた!
☆☆☆☆☆☆
「おぉ、神よ。彼の者に再び立ち上がる勇気と立ち上がる力を!」
神はとことん俺が嫌いらしい。