表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/100

懐かしの騎士長様

六五話

「これでしまいか。二人とも付き合わせてすまんかったな」


「それはいいんだけどさ、ガウル」


 そう言って青白い剣を持つ。


「これは誰用のやつなの?」


「あぁ……これはな」


 俺の腕の中から剣を取り、まるで王に献上するかのように丁寧に俺に差し出す。


「これは、ワシがお前の為に鍛えた剣だ。大切に使ってくれ」


「俺に?」


「そうだ」


 受け取る。重たく、冷たく、どこか熱を感じる。


「いいの? これ」


「あぁ。大きさも重さもお前に合わせたんだ。馴染むはずだぞ」


 剣を鞘から引き抜く。刀身は綺麗な銀白色。刃こぼれも曇りもない名刀だ。刀なんて昔はまともに見たこともないが、素人目でも分かるくらい美しい刀だ。


「綺麗だ……」


「ガハハッありがとうな」


「いやいや、こっちこそだよ」


 ガウルからの意外なプレゼントを受け取って、荷台を降りる。街の門近くにガウルは馬車を留める。


「さて、昼飯でも食いに行くか? それともどこか寄ってくか?」


「いや、食べよう。腹減ったし」


「そうですね。私もそろそろ」


「じゃあ食うか。どこかいい場所は……」


 ガウルとルルと歩きながら話をしていると、前方で大声が起こる。


「騎士長様だー!」

「騎士長様が通られるぞー!」

「道を空けろー!」

「キャー! 格好いいー!」


 悪魔に襲われた時にいなかった奴か。どんな奴だろう。


「見に行きます?」


「ワシは見てみたいな」


 じゃあ行くか。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 人混みをかき分けて進む。かき分けてるのはガウルだが。


「さあ、最前線だぞ」


「ありがとうガウル」


 ガウルに感謝して軍隊を見る。この歓声を鑑みるに、相当な人気なようだ。


 隊列の一番最初に見知った顔があり、俺に声をかけてくる。


「おぉ! シロ殿! 私です! バルモスです! ……騎士長様! この方に魔族の襲撃時に助けて頂いたのです!」


 副隊長バルモスが隊の後ろの方を見る。そしてそこから一人の男性が歩いてくる。


「おぉ、そなたが風の噂に聞く英雄か」


 金ピカの鎧を着て、腰には装飾ばかりの剣。金髪碧眼のイケメンで、ゴテゴテの指輪を付けた手を俺に向ける。


「お初にお目にかか……?」


 あぁ、俺こいつ知ってるわ。


「おぉ! シロか! 久しいな! ドラゴン戦以来か? あの時は戦えぬと聞いていたが嘘をついたのか? まぁいい、助けて貰った礼だ。城に来るといい。さぁ」


 矢継ぎ早に言われてアワアワしていると、バルモスが騎士長に話しかける。


「騎士長様、お知り合いだったのですか?」


「あぁ、昔一戦共にした仲間よ」


 そう言うと騎士長様は指輪だらけの右手を左胸に当て、自己紹介をする。


「王族直属騎士隊長、エルドラ。ここにいる皆に代わって礼を言おう」


 エルドラ。懐かしい名前だ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「先ほどはああ言ったが、我は王に報告があるのでな。またこちらから伺わせてもらうよ」


 そう言ってエルドラは城に向かった。


「どう……しましょうか……?」


「まずは飯だな!」


「……そうだね」


 三人で昼食を食べる。昔話に花を咲かせながら、店を出ようとすると。


「きゃーーーー!!!!」


 と外から叫び声が聞こえた。


「なんだ!?」


「行ってみましょう!」


 ルルの言葉に頷き、外に出る。顔を青くした女性が指を指して言う。


「魔道具が暴走して……!」


 魔道具と思しき金属の塊を中心として大きな火球が生まれていた。魔道具は火柱を生み出し、家々を破壊していく。


「家が……!」

「誰か……!」

「助けてー!」


 家から子どもが叫んでいる。逃げられないのか。まずいな。


「ルル! 水か氷魔法を!」


「あれ系の魔道具は中の魔力を出し終わるまで止まらないんです! そして大量の魔力が入っているので……」


 普通の魔法じゃ焼け石に水ってか。じゃあやるしかないな。


「ガウル、早速だけど剣使わせてもらうぞ」


「お、おぅ」


 腰に下げた剣を引き抜き、刀身に分厚めの氷の膜を張る。全身に魔力で鎧を作り、圧縮した空気を足裏で爆発させる。飛ぶような速さで魔道具に突っ込み、剣を振り下ろす。手応えありだ。


 駆け抜け、後ろを振り返る。魔道具は真っ二つに裂け、被害が出ないほどの小さな爆発を起こし、消えて無くなる。


 それを見届けてから魔力の鎧を解く。


「おおー!」

「すげー!」

「あの人って……」

「魔族から守ってくれた人だよな!」

「英雄だ!」

「えいゆうさんだー!」


 街の人が口々に言う。悪い気はしない。


 剣を見下ろす。魔力補正ありとは言え、金属の魔道具を切っても刃こぼれ無しだ。名刀だな。


「お、おおおおお!!!! お前!! 強くなったな!!」


 そう言ってガウルが背中を叩く。あの頃と色々変わったが、この痛みは変わらない。痛いです。

シロと城って変換面倒くさいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ