久しぶりに三人で。
六四話
「久しいな! 二人とも!」
巨漢の危なそうな人。ガウル。
「久しぶり、ガウル」
「おぉ! どこか逞しくなったな! ……気のせいか」
「気のせいじゃないよ! 逞しくなったよ!」
「ほう? 何があったか教えて貰おうか、と思ったが」
ガウルは荷台を見る。
中には大量の剣があり、それを抱えた一人の女性がいた。
「ガウル、この人は? まさか攫って……?」
「そんなわけあるか! 御者よ」
そう言うと女性がペコッと頭を下げる。馬を走らせる人か。俺も会釈だけする。
「ワシはこの剣を依頼人に届けてくる。付いてくるか?」
ルルと顔を見合わせる。ルルは頷く。俺も正直行ってみたい。
「じゃあ行こうかな。道中話聞かせてよ」
「おう。任せておけ」
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ガウルの荷台に乗り、話をする。
「鍛冶の街を出た後にな、最果ての街に寄ったんだ。そこは剣の依頼だけで時間はかからんかった。その後ムルフォスって街に向かったんだが、道中になぁ、すんごい化け物が出てなぁ」
「化け物?」
「あぁ。腰から上だけが地上に出ている化け物だった。全身金属で出来てて剣も効かなくてな、遠回りする羽目になったのさ」
「そんな魔物聞いたことないですね」
ルルが神妙そうな顔で言う。まぁ金属が電気無しに動く事はありえない。ならこの世界の生物かもしくは。
「それが誰かの魔法って事はないのか?」
「さぁなぁ、ワシには分からん。だがこの街の城程もあった。魔法とはあんまり思えんな」
「あの城程……人間に出来るとは思えないですね」
じゃあ悪魔だな。悪魔が悪い。大体あいつらのせい。
「そっか。まぁ何にしろ災難だったね」
「いやいや、旅に災難はつきもの。アクセントみたいなものだ」
嬉しそうにガウルは笑う。ならいいけどさ。
「それで? ムルフォスってどんな街なんだ?」
「うーむ、小さい街だが、境界の森に一番近いこともあって腕に自信のある者が多い街だ」
「境界の森?」
「魔界と人界を繋ぐ森だが、知らないのか?」
そういえば目覚めたときそんな森があったようななかったような。
「この世界に地図とかあるの?」
「おうあるぞ。見てみるか?」
「いや、今度見てみるよ」
「そうか?」
国の書庫で色々な情報とリンクさせながら見たいからね。
「んでムルフォスでも剣を届けた。客の中には子どもが生まれたところもあってな、なかなか面白い旅だったぞ。それで? そっちはどうだったんだ?」
俺はガウルにここまでの話をした。ルルが途中で補足説明をしてくれたりもした。
「そうか……魔族に本に……」
ガウルは神妙な面持ちで話をかみ砕いていた。
「ガウルさーん、最後の場所ですよー」
先ほどの女性がガウルに声を掛ける。
「おぉ、じゃあちょっと待っててくれな」
ガウルが剣を抱えて荷台を降りる。
荷台にはガウルが昔貸してくれた剣ともう一本剣がある。忘れ物だろうか?
空色と白色の鞘の剣。柄には綺麗な青の糸が巻かれている。それを手に取ろうとする。
「それは触っちゃダメだよ。ガウルさんの友人さんにあげるらしいから」
荷台に顔を覗かせた女性が言う。友人か……どんな人だろう。
「遅くなったな。それじゃ馬車を入り口まで戻してもらえるか?」
「はい」
ガウルが荷台から顔を出して女性に告げ、彼女も返事する。そして二人はそのままキスをする。
「えっ」
「どうしたんですか?」
ルルは角度的に見えていなかったらしい。そういう関係なのかよ。
「さて、行こうか。二人とも昼食はどうする?」
「一緒に食べようと思ってました。ね?」
「あ、あぁ」
「どうした? 大丈夫か?」
「顔が赤いですよ? まさか変な物でも……!」
「ルルと同じ物しか食べてないでしょ!?」
「そうでした!」
「ガハハッ!!!」
馬車に揺られていた。久しぶりに三人で。
もうちょっとチートしたら終盤に入る予定です。




