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ルルの半日

六三話

 早朝、目が覚める。まだ少しお腹が痛い。隣ではシロさんがまだ眠っている。


 最近私より強くなってしまった。別に弱いシロさんが好きなわけではないが。なんだか遠くに行ったように感じてしまうのだ。まぁ、だからこそ昨日のがあったわけだが。


 思い出して顔が熱くなる。昨日は盛り上がってしまった。


 幸せそうに眠るシロさんの髪を撫でる。うぅんと声を出す。おっと、起こしてしまってはいけない。寝かせておいてあげよう。彼は昨日、この街を救ったのだ。


 布団を出て、服を着る。カーテンを少し開け、外を見る。まだ少し明るいくらいだが、道は既に人が行き交っている。流石中央都市。この世界の中心の街だ。


 静かにドアを開け、階段を降りて外に出る。何か朝食を買っていこうか。


 今日はガウルさんと昼ご飯が食べられるだろうし、ちょっと質素くらいにしておこう。屋台はほとんど開店していない。ちょっと早かっただろうか。


「ん? ルルちゃん? 何してるのこんな時間に?」


「え? あっイブロさん……」


 そこにいたのは情報屋イブロ。彼女は魔族だ。と言っても魔族が何なのか最近分からなくなってきた。


「あぁね。朝ご飯かぁ。ええと……」


「な、なんでそんなことまで」


「イブロちゃんは凄腕の情報屋だからね。知りたいことは何でも知ってるよ」


 そう言ってイブロは歩き出す。


「付いてきて。おいしいお店がもうすぐ開くよ」


「シロさんに買って帰るつもりなので食べていくわけには……」


「大丈夫。彼も来るよ。ほら」


 そう言ってイブロは私の後ろを見る。振り返るとシロがいた。


「起きたらルルがいなくてびっくりしたよ」


「あ、ごめんなさい。朝ご飯を買ってこようと思って」


「そういうことか。ありがと」


 そう言って頭を撫でてくれる。えへへ。


「熱々のお二人さん、行っちゃうよ?」


「あ、待って下さい。シロさん、行きましょうか」


 シロさんと手を繋いでイブロの後を付いていく。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 イブロが自信満々に言うだけあって、本当においしかった。しかも開店直後に入れたおかげで混む前に食事を終えることが出来たし。


「ありがとうございました、イブロさん」


「なになに。苦しゅうない。情報代はここを奢ってくれればそれでいいよ~」


 イブロの言葉にシロさんは嫌そうな顔をする。


「この前の酒場の飯代めっちゃ高かったんだが?」


「その変わり良い情報だったでしょ?」


 二人の言い合いに笑ってしまう。


「ルル。笑っている場合じゃないぞ。俺達から金むしってるんだこいつは」


「そうですね。でも良いじゃないですか、おいしかったんですし」


「じゃあここのお代はルル持ちでごちになります」


「え、待って下さい! それとこれとは!」


 店を出て行こうとするシロさんの背中を追いかける。あぁ、こういうやりとりすらも楽しいな。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「じゃあイブロちゃんはこれで。ばいばい~い」


 イブロに手を振って別れ、街の門へ向かう。そろそろガウルが着くはずだ。


「ガウルにあったら何を言おうか」


「まずはシロさんが強くなったことですかね」


「いやいや。それよりルルがしっかり魔法使いになったことの方が」


「あー。でも魔族を倒しちゃった話とか」


「八百長だったけどね」


「でしたね」


 二人で笑っているとすぐに着く。


「すいません。団体での到着の予定はありますか?」


 門番のような人に話しかける。


「あぁ、今団体が着いたとこだよ。今日はこれだけかな」


 シロさんと顔を見合わせる。


「入っていいですか?」


「おぅ。んじゃこっちからどうぞ」


 小さなドアを開けてもらい、中に入る。第一門と第二門の間にはたくさんの種族がいた。


 探し回り、とある荷台に見知った背中を見かける。


「ガウルさん!」


「ガウル!」


 その背に叫ぶ。


「お?」


 男性は振り返る。渋くてごつくて優しくて繊細な、亜巨人族のガウル。


「おぉ! 二人とも! 久しいな!」

ルル視点の話でした。


次回はガウルのお話メインになります。

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