試行錯誤その1
五話目
神官に三度目の人生の始まりを告げられた後、教会を出た。
教会の前で申し訳なさそうにしているガウルと目が合った。ガウルは悪くないのにな。やっぱり優しい人だ。
「自分でもスライムに負けるとは思ってなかったよ」
「対処の方法や、剣の使い方を教えてからがよかったな。悪かった」
「いやいや、でもおかげで考えがまとまった」
「考え?」
「歩きながら話そう。その方がわかりやすい」
さっき自分がやられた場所まで移動する間、ガウルに自分の考えを話してみた。
「ガウルってAGI、素早さってどれくらい?」
「1900だな」
「今ガウルは俺と同じペースで歩いているけどさ、無理してゆっくり歩いてる?」
「いや、普通にだな」
「俺のAGIは2だ。自慢できんがな」
「そうだな」
「今、そうだなって言った?」
「いや、言ってないぞ?」
「……おかしいと思わないか?」
「何がだ?」
ガウルは脳筋タイプだ。脳筋にも分かりやすく、噛み砕いて、要点だけを。
「俺とガウルのAGIの差は大きすぎる。なのに、こうやって同じペースで歩けているのは何故か。これは俺の考えだが、戦闘時か非戦闘時かの違いによるものだと思う」
「ほう」
「すると、その分かれ目は何だって話になる。これも仮説だが、俺の気持ちや鼓動、緊張等によるものじゃないかな、と思ってる」
「ふむふむ」
「つまり、だ」
「無の心でスライムを倒しに行く、と」
ガウルでも理解できたようだ。まぁ、無心というか何も考えず剣を振るだけだけどね。
「その通り。そうすれば俺は最低でも一般人並みのステータスで動けるはずだ」
「お前頭良いな!」
「そんなに褒めるなよ! よし、行こう!」
「そんなに褒めてないがな! 分かった!」
俺は全力で街の扉を開けた!
☆☆☆☆☆☆
「おぉ、神よ。彼の者に再び立ち上がる勇気と立ち上がる力を!」
「嘘ぉ……」
見事に失敗した。




