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中央都市騒動の各現場

五十九話

 拷問部屋で。


「ここぉ?」

「こっちぃ?」


「ここよねぇ?」

「ここでしょぉ?」


 綺麗なお姉さん二人に体中を触られる。くっ! なんて卑怯な! このままじゃ口を割ってしまう! くそっ!


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 ドラゴンの背で。


「さぁて、一暴れしますか!!」


 男性が楽しそうにドラゴンから飛び降りる。


「おいフル! あぁもう……」


「あの人はいつも自由奔放ですね……」


「まぁいい。あいつは放っておけ。さぁ、行くぞ」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 都市の門の前で。


「さぁて? 二度もこの街に何か用かな?」


 兵士達の一番前に立っている剣士が魔族に問う。


「さぁ? 俺様はよく知らねぇ。暴れて良いって聞いてやってきたぜ」


「フル! あんたはまったく……」


「サルー! 来たのか! やっぱお前も暴れたいんだな!」


「サルって言うな!」


「落ち着け二人とも。人間諸君よ。これは宣言であり、挑戦権だ。ここには魔界六柱が四人いる。魔界と人間界の戦争の前に、戦力を削る機会を与えてやろう」


 魔族の中で一番貫禄のある男性が、魔族二人を引き剥がしながらそう言った。


「それは、我らと戦争を始める気があるってことかい?」


「二度も言う必要はないだろう」


「では、王族直属騎士副隊長バルモス、参る」


 一番前の剣士が宣言する。


「一騎打ちと言ったつもりはないんだがな」


「まぁいいじゃねぇか。俺が行くぜ」


 フルレティが一歩前に出て、息を大きく吸い、剣士に(なら)って宣言する。


「上級魔族中将がフルレティ! いざ参る!」


 フルレティが生み出した黒剣とバルモスの剣が重なり、耳を(つんざ)く音が響き渡る。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 酒場で。


 ルルは酒場でイブロの話を思い出していた。


「いい? ルルちゃんはここで待っていること。もうすぐ魔族が来るけど動いちゃダメだよ?」


「な、なんでそんなことも……それにあなたは……」


「悪魔だよ。でも君の大好きな人はここに来る。その時君はここにいないと」


「魔族なら倒さなければ……」


「フルレティ様と騎士副隊長の戦いはフルレティ様の勝ちで終わる。騎士隊長は今、竜人族の村にいる。だから来られない。魔法隊長、副隊長が戦いに加わり、混戦になる。悪魔と人間達の戦いは最終的に悪魔達が勝つ。人間側の怪我人はほぼ全員。悪魔側は一切の怪我は無く、むしろフルレティ様は物足りない感じ。戦いの音がやむ頃、とある男性が彼を連れてくる。その時に君がここにいないと」


 真剣な目で。まるで見てきたか、知っているかのように言う。


 そのイブロの目を思い出しながら、ルルは席で項垂(うなだ)れていた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 拷問部屋で。


「ぎゅーーーーっと」

「ふにゃーーーっと」


「「どう?」」


「こっちかなぁ?」

「こっちでしょ?」


「「ねぇねぇ」」


 あぁ~。溶けそう。溶けて無くなりそう。体全部が自分の物じゃなくなっている気がする。


「何を聞いているの?」

「何を知っているの?」


「「どっちぃ?」」


「お、俺は……悪魔に……」


「うんうん」

「ほうほう」


「「それでそれで?」」


「禁忌魔法を……使われて……」


「もっともっとぉ」

「も~~~っとぉ」


「HPを……1に……」


「能力値へ干渉のかぁ」

「禁忌中の禁忌だねぇ」


「「でも」」


 左右から耳の中を舐めてくる。まるで脳を溶かすように。


「「ご褒美あげるね」」


「辛かったでしょ?」

「嫌だったでしょ?」


「「いいよ?」」


「ほらぁほらぁ」

「ビューってぇ」


「「出しちゃえ」」


 口から何かでそうになる。魔力とも、空気とも、嘔吐とも違う。何か大事そうな物が出そうになる。


「大事な事やぁ」

「大事な記憶ぅ」


「「ぜ~んぶぅ、びゅー! びゅー! ってぇ」」


 口の端から光る煙が流れ出る。


「「ほらほらぁ、もっとぉ」」


「そこまでだお二人とも」


 いつの間にかフードを着た男性が拷問部屋に入っていた。俺はもちろん、拷問をしていた二人も気づかず、後ろに飛び去る。


「いつから!」

「どうやって!」


「まさか記憶を抜く魔法が伝わっているとは。しかもこんな方法で」


 フードの男は、椅子に座っている男を見る。全裸で体中がドロドロになっていて、部屋中が香と汗と唾液と栗の花の匂いで満ちている。床には白い液体が散乱しており、男の目は虚ろになっている。文字通り精根尽き果てた状態だ。


「あぁあぁ、こんなにしちゃって。こりゃ戻すのが大変そうだ」


「私達の!」

「質問に答えろ!」


「お二人にも聞きたいことがたくさんありそうだけど、名乗りを上げるのが今回の役割なのでね」


「何を!」

「言っている!」


「上級魔族大将サタヌキア。ここに」


 男性がそう宣言した直後に、女性二人は意識を失った。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 地下書庫で。


「これは……違いますね……こっちは……違いますか」


 本を探している男性に、もう一人男性が近寄る。


「アガリア様、サタヌキア様からお呼びが掛かりました」


「ブエルですか。何があったかは分かりませんが、頼みました」


「はい。それでは失礼します」


 ブエルと呼ばれた男性は、蜃気楼のように姿を消す。


「ボティス、いますか?」


 本を探している男性が呼びかけると、近くから突然男性が現れる。


「はい。ここに」


「本がどこにあるか分かりますか?」


「ここの空間は時間軸を歪まされているようです。というより、時間軸が歪んでいる空間にこの場所を作ってあるようです。古い書物を探すのは難しいかと」


 その男性の言う通り、ここにある本は全て状態の良い物ばかりだった。


「なるほど、これは骨が折れそうですね」


「気をつけて下さいアガリア様、人間達が来ます」


「そうですか。ありがとうございます。下がって良いですよ」


「はっ」


 現れたときと同じようにパッと消える。


「王族直属騎士隊だ! 大人しくしろ魔族!」


「私にはしっかりした名前があるのでね。聞き逃さないで下さいね。上級魔族司令官アガリアレプト。参りましょうか」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 都市の門の前で。


「少将ネビロス。はい、終わりー」


 フードを被った少女がそう言う。少女の眼前には数え切れないほどの人々が転がっている。


「こんなものかぁ? 前はもっと面白かったんだがなぁ」


「面白いとか関係ねーし」


 残念そうにする男性と苛立つ女性の間に男性が立ち、二人に言い聞かせる。


「良し。もう十分だ。帰るぞ」


「ま……まだだ……」


 青年が立ち上がる。膝に手を当て、なんとかといった感じだ。


「俺あいつ知ってるぞ? 確か……笛? 踏み絵? みたいな感じのやつ」


「フーリエだよー」


「そうそうそんなやつ!」


 気怠げな少女の言葉に男性は無邪気に反応する。


「副隊長か。なら良い。私も名乗りを上げていなかったしな」


 貫禄のある男性は一歩前に出て、魔法を生み出しながら声を張り上げる。


「上級魔族宰相ルキフグス、参る」




「いや、参らせねーよ」


 フーリエを狙って飛んできた魔法を弾きながら、男が言い放った。

悪魔の名前は大奥義書から用いました。


ちなみにイブロちゃんは、認識阻害魔法を使わなくても美少女です。



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