中央都市
五十五話
「あれが中央都市です!」
グリウスの声で都市を見る。都市のあまりの大きさに胸が高鳴る。
「もう少しで着くぞーぅ」
他の馬車からの声がする。いよいよだ。
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都市を覆う壁が間近に見える。高さはビルほどもあり、材質は、綺麗に整えられた白い石。壁の迫力だけで圧倒されそうだ。壁の周りには堀があり、それを渡るための橋は下ろされている。その先に見える門は学校ほどの高さと横幅がある。その門の横に、ひと一人入れるほどの扉がある。入門許可窓口だとルルが教えてくれた。
許可が通り、門が開く。一つ目の門が上がっていき、二つ目の門が見えてくる。その門は右に二枚、左に二枚の四枚扉になっていた。右二枚の門が開き、中に入る。少し空けた空間になっていて、左右には兵士が待機している。厳重に守られすぎでしょ。
ここで馬車から降り、フーリエと少し話をする。
「君達がどこに行くかは知らないが、送ってやれるのはここまでだ。これから王に謁見するのでね」
「ここまで送って下さりありがとうございました!」
「いやなに、目的が同じだっただけよ」
ルルの全力の礼に、フーリエは少し照れくさそうに言う。
「いやでもほんと、ありがとうございました」
一応俺も礼を言う。ありがとうとごめんなさいは言えなきゃね。その俺の姿に天狗になったのか、フーリエが偉そうに言ってくる。
「ははは! どんな時でも何かしらの慈悲を与えるのが、上に立つ者の義務よ!」
その言葉に皮肉で返す。
「魔法の戦いの話ですか?」
「そ、それでは失礼しますフーリエ様!」
フーリエの顔が憎たらしそうになるのを見て、ルルがフォローを入れて俺の袖を引っ張る。あいつなんで高圧的なんだよ。
「二人はどこに向かうの?」
グリウスが荷台の上から声を掛けてくる。
「俺達は人探しかな」
「そうですね。グリウスさんはどうするんですか?」
「私は荷物運びの仕事がまだ残ってるから。それが終わっても何か仕事してるかな」
じゃあこれでさよならか。
「じゃあまたどこかでお会いしましょう!」
「うん! またね!」
ルルが元気よく言い、グリウスも返事をする。フーリエ軍が出発し、小さくなっていくグリウスの背中に向かって手を振る。
見えなくなり、手を下ろす。ルルは一呼吸し、俺に聞く。
「じゃあどこから行きましょうか?」
ガウルを探すとは言ってもこの街広そうだし、どこか良い場所ないだろうか。まぁ、歩けばそのうち見つかるだろう。
「そこら辺歩こう。宿とか店とかで聞き込みしながらさ」
「いいですね。行きましょうか」
そう言ってルルは左手を出してくる。何? お金が欲しいの?
「つ、繋ぎませんか?」
「あ、ごめん」
謝りながら手を握る。小さくて温かい手を。
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街中にはたくさんの露店が並んでいる。食べ物、武器、防具、雑貨、花や、ペットショップなんてのもある。
それらを見て、時には食べて、十分に堪能したあと、酒場に着く。酒場と言っても様々な機能が複合されている。食事場兼、宿になっている。クエストも多く貼られていて、魔術都市の時より賑わっている。人が多いから当たり前と言えば当たり前なのだが。
酒場でカウンターに座る。すると亜巨人族の男性店員が声を掛けてくる。
「いらっしゃいお客さん。何か食べていくかい?」
露店で食べたせいで腹が減ってはいないが、情報のためだ。頼んでおいた方がいい気がする。
「じゃあ軽いやつを」
あいよっと声を出し、厨房に戻る。
「誰に聞くのが良いんでしょうか」
ルルが不安そうに聞いてくる。厨房の人に聞けば良いんじゃないかな。分かんないけど。
「ほいよっ」
店員がサラダを運んでくる。ついでに話を聞いてみよう。
「あの、この街で人探しをしているんですが……どこか良い場所は無いですかね」
「人探しねぇ……この街の情報は大体この酒場に来る。ここで聞くのが一番じゃないかな」
なるほど。情報の売買で生計立てている奴とかいないかな。
「ありがとうございます」
「いいっていいって。注文してくれたからな」
やっぱり頼んでおいて正解だったな。
ルルと話をし、サラダを食べ終える。
「さて、じゃあ誰に聞きましょうか」
立ち上がり、周りを見渡す。たくさん人はいるが誰にしたものか。
「ニヒヒ! お兄さん方お困りかな?」
全身黒色のフード付きコートを着た少女がこちらに話しかけてきた。驚いた俺とルルの顔を見て満足したのか、フードの下の黄色い目が笑う。そして言い続ける。
「情報のことならイブロちゃんにお任せ!さぁて、いくらで買ってくれるのかな?」
情報屋のイメージは怖い奴か可愛い女の子。
イブロは可愛い女の子。今のところは。




