中央都市に向けて、じゅんびー!
五十二話
「さて。じゃあ中央都市に向かおうか」
昼飯を食べ終え、ルルの家に向かいながら話をする。
「では一旦家に帰りますね。荷物取ってきます」
じゃあ俺は学長に挨拶でもしに行くか。
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学校のドアを開けようとすると、中から人が出てくる。
「それでは」
「また……」
「次回こそは」
学校から出てきた大人達とすれ違う。さっき学長が呼んでいた人達か。
「おぉ、どうしたんじゃ」
奥にいる学長と目が合う。
「こんにちは、学長先生。今日は別れの御挨拶に来ました」
「ほっほ。そろそろじゃと思ったよ」
お見通しだったか。流石学長。略してさすがく。
学長が魔法でお茶を作りながら、椅子を一つ取り出す。遠慮無く座らせてもらおう。
「では別れの手向けに一つ教えてもらおうか」
「……なんでしょうか?」
少々嫌な予感がしながら聞き返す。
「悪魔に魔法をどういう方法で教わったのじゃ?」
「えぇっと……」
やっぱりですか。
「使役魔法を同時行使するのはワシの知りうる限り、不可能なんじゃよ。是非その方法を教えて欲しくての」
どうしたものか。この人は善人だから教えても悪用はしないだろう。でもどう教えたものか。というか教えられるのだろうか。適当にぼやかしておけばどうにかならないだろうか。ならないだろうなぁ……
「なんて冗談じゃよ。困らせてすまんかったの」
「はぁ……」
思わずため息が出る。冗談にしては学長の目が笑っていない。やはり何か思うところがあるんだろうか。
「ちなみに、魔族に盗まれた本ってどんな本だったんですか?」
「それを聞きたいんじゃったら、先ほどの質問に答えてもらおうかの」
「あー冗談です」
「じゃろうの」
ほっほと学長が笑い、お茶を一飲みする。
「それで、君達はどこに向かうんじゃ?」
「中央都市に向かおうかと。友人がいるかもしれないので」
「そうかの。そういえば、フーリエ様が中央都市に向かうとおっしゃっていたの」
へぇ……興味ないですね。全然。そんな事を思っていると、ルルがドアを開けて入ってくる。
「準備できましたー」
ルルは先生に近寄り、少し言葉を交わす。
「そうなんですか。フーリエ様が。では一緒に行くと思います。はい」
えー嫌だなぁ。あいつうるさいし。
「お待たせしました。行きましょうか?」
だな。フーリエと行く気は無いけど。
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街の門に向かう。敵の迎撃のために開いていた二重の扉は、今は固く閉ざされている。一つ目の門をくぐり、二つ目の門の前に軍隊を見つける。フーリエの軍だ。
「シロさん、どうしますか?」
「二人で行きたいなぁ」
そんな俺の声に気が付いたのか、こちらに話しかけてくる。
「おやおや。君達もどこかへ向かうのか?」
「えぇ、中央都市へ向かおうと思っているんです」
「奇遇だな。私達も中央へ向け出発するところだ。共に向かうか?」
ルルがこちらを見る。いやでも……でも…………はぁ、仕方ない。
「……じゃあお言葉に甘えていいですか?」
「そこまで言われたならば仕方ないな。良いだろう。馬車を一つ貸してやろう」
そこまでは言ってないけどね。
フーリエから借りた馬車に乗り込むと、そこには先客がいた。
「あっ! ルルさん! シロさん!」
ルルより少し背の高い男の子が名前を呼んでくる。誰だっけ……
「あっ! グリウスさん! お久しぶりです!」
グリウス……そんな名前どこかで……。そんな俺の顔を見て気が付いたのか、ルルが耳打ちをしてくる。
「ドラゴン討伐の時に一緒に戦った方ですよ。盾役として前線で頑張っていた方です」
あー、最初デカい鎧着てきた人か。そのイメージしかないや。
「えへへ……私影薄いですよね」
短い髪をグシャグシャ掻く。ごめんね。違、うんだよ。違わないけど。
「いや、ごめん……人の顔覚えるのが苦手で。特に男性はさ。影が薄いとかそういうのじゃなくてさ」
オロオロしながらフォローする。すると、グリウスの目がウルウルし始める。え、地雷踏んだ? 実は人間じゃ無いとか?
ルルも原因が分からなかったのか、グリウスに話しかける。
「ど、どうしたんですか?大丈夫ですか? シロさんは確かにデリカシー無いですが……」
え、自覚無いんですけど。そういうのは言って欲しいです。
「わ、私……お、女です……」
あ、そういう感じでしたか。本当にすいませんでした。
中央都市に何があって、何をするとか考えてもないです。
チートしたいなとは思っています。




