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過去の裏側

四十六話

 ゲホッゲホッと咳き込みながら、粉塵から顔を出す。


 まだ周りには土煙が立ちこめているが、魔道師が何人か杖をこちらに向けている。


「そこまでじゃ」


 低くて渋い声が皆の動きを制止させる。


「悪魔に魂を売った者が、悪魔を倒すわけが無かろう。ここに居る者達は皆、彼に感謝することはあれど、敵意を向ける必要はあるまい」


 魔道師達は杖を収める。止めてくれたのは。


「ありがとうございます学長様」


(かしこ)まる必要はない。このひねくれ者達に代わって礼を言おう。おぬしが居なかったらここに居る全員死んでいたやも知れぬ。死ぬだけなら良いが、それ以上があったやもな」


 多分大丈夫だけどね。あいつは。


「さて、学校まで来てくれるかの。色々聞きたいこともあるしの」


 何だろう。スリーサイズとかかな。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「さて、禁忌魔法の事と、魔法が使えるようになった理由を教えてもらおうかの」


 簡単にだけ話をした。禁忌魔法を使ってHPを1に固定したこと。魔法が使えるようになっていたこと。練習の結果悪魔と渡り合えたこと。魔法を悪魔に習ったことはなんとなく言わなかった。


 というか、先程の戦いである程度傷ついた気がする。小石とか当たってたし。なのに死ななかったのは……なぜ?


「なるほどの。なぜ悪魔はそこまでおぬしを助けるのかのう」


 ルルを助けろと言ったのも、魔法を教えてくれたのも分からない。教えてはくれなかった。


「まぁ、ルルを助けると言うことに関しては賛成じゃ」


「前は、あの子の幸せをって言っていたじゃ無いですか」


「旅館で着付けをしているあの子に合ってな。とても綺麗な着物を着てるとは思えないほど顔が暗くてな。きっとあの子は見合いをしたい訳では無いのだろうな」


「でもなんで見合いが……断ればそんなに問題ないのでは?」


「あの子は親の為に魔法の勉強を続けた。出来損ないの娘を持つ親と言われ続けた、親の為に。そんな親が見合いを、と言えばあの子はするだろう。結果、見合いで終わらなかったとしてもあの子は……」


 出来損ないも何も、ルルが魔法が使えなかったのは親のせいなのに。それなのにルルは、自分が悪いと思っているのかもしれないんなんて。


「ルルが魔法を使えなかったのは、子どもの頃のトラウマのせいなんです。親が魔物の巣で戦わせようとしたせいで」


「知っておる。魔法を使えるようになる訓練の中に、魔物の巣へと向かうというのもあるのじゃ。普通は魔法が使えるようになってからじゃがな。あの子の親は、自分のせいで魔法が使えないのだとずっと嘆いていた。あの子を旅に出したのも、この街で口さがない者達の言葉を聞かせぬようにする為。今回の見合いも、あの子の幸せを願ってじゃ。あの子の親は親なりに、色々思う所があるんじゃよ」


 幸せを願った結果色々した、と。それがルルの幸せじゃ無いのかもしれないのに。それじゃ自分の罪悪感を消す為にやってるだけじゃないか、と言いたくなる。


「あの子には自分の幸せを掴んで欲しい。ワシが言えたことでは無いが、君が行ってあげて欲しい。きっとあの子は、君を待っている」


 待っているのだろうか。親を説得すると言い放ち、結果裏切った俺を。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 学校を出て、魔道師の人達に道を聞きながら旅館へと向かう。ルルが着付けに行ってから、牢屋で一日、戦闘と学校での一休みで一日。今日がお見合いの日のはずだ。


 見合い関係者と嘘をついて会場まで案内してもらう。


「それでは失礼いたします」


 従業員の後ろ姿を見ながら、息を整える。


「失礼します」


 ゆっくりと引戸を開け、頭を下げる。


「どちら様ですか?」


 懐かしい声だ。思わず頭を上げる。


「シロさん……」




 着物姿のルルが、泣きそうな顔でこちらを見ていた。

重要な所が短いですね。


後、書き直したいと思う所が多い。


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