魔法大戦争
四十四話
「王族騎士直属魔法隊副隊長、シモ・フーリエだ。私の名を冥土の土産にするが良い」
牢屋から出た俺と悪魔を待ち受けていたのは、ルルの見合い相手だった。
「ほう? 魔法隊副隊長ねぇ」
悪魔が意味ありげに笑う。
「学長の意向は貴様の捕縛らしい、が無理だろうな」
「俺を捕まえるなんて誰にも出来んからな」
ドヤッという効果音が出そうなくらいに、笑いながら堂々と言う。捕まってたくせに。
「消し炭では捕縛とは呼べぬだろう?」
悪魔が笑うのをやめる。
「少年よ、自信があるのは構わんが、過信は勇猛というより蛮勇だな」
「口だけと思われるのは、魔族とて良い気はしないな。貴様に認められたいとは一切思わんが、ここで死んでもらおう」
フーリエがゆっくり腕を前に出す。悪魔はそれを見ても動かない。
「喰ろえ」
フーリエの手から炎の球体が出来上がる、がその大きさは1mほどもある。その火球が形を変え、炎の渦を生み出す。釣鐘のような形のまま手から勢いよく離れていく。
「精度も速さも中々な魔ほ」
言い終わる前に悪魔が飲まれた。
「火龍の籠よ。捕らえし罪は汝が糧に。代償を持って滅せ、サラマンドル」
釣鐘形の炎の塊が収縮し、消滅する。そこには悪魔の形跡は一切無い。
「なんだ。悪魔というのも思ったより他愛ないな」
素早く、綺麗な魔法だった。
「さて、禁忌魔法を行った大罪人よ。ここで何をしている? なぜ悪魔と一緒にいる?」
こちらを見て問いかける。質問は一つまででーす。
「強いて言うなら一服かな」
あいつにバレないように魔力球を生み出す。さっきの戦闘を見るに、一筋縄では行かなそうな相手だ。
「なんだ、副隊長というのも思ったよりも他愛ないな」
俺の後ろから声が聞こえ、振り返る。
「サラマンダーの加護を得ているのか。中々人間にしては上出来じゃないか」
見たところ怪我も火傷もしていない。どうやってあんな魔法から逃げられたのだろうか。
「あんな魔法ではやはり死なんか」
「さぁ、見せてくれ。そんなもんじゃ無いんだろう?」
悪魔の笑いながらの問いかけに、フーリエも笑う。両者本気で魔法を撃つ気でいる。
「水を持って矢を作り、水流を持って囲い、大海を持って沈める。呪え、ウンディーネ」
フーリエが魔法で出した大量の水が、悪魔の近くの地面を覆い水位が上がる。
悪魔は、沈んでしまわないよう空中に浮く。さらにもう一つの水流が、悪魔の周りに壁を作り出す。フーリエの前に現れた30ほどの矢が放たれ、水の壁に当たる瞬間に壁に隙間が空く。空いた穴に矢が吸い込まれ、中にいた悪魔へと向かう。
「悠久の時を渡り遊びし老木よ、万物を支えし礎の大陸よ。吸い止めよ」
悪魔が呪文を終えると共に現れた土が、地面を覆った水に溶けてゆく。そして濁った水が動きを止める。水を大量に含んだ土に芽が生え、驚くほど速い速度で成長する。悪魔の肩幅は平均的だが、その3倍近い太さの幹の木に成長した。
フーリエの放った水の矢が幹に当たり、少し傷つけるも、木は成長し傷跡を塞ぐ。
「穿ち吸収せよ」
悪魔が一言呟くと、大木の根が土を這い、フーリエを刺そうと伸びる。
「吐き出せ、サラマンドル」
フーリエを覆うように釣鐘形の炎の渦が出来上がる。渦に触れた木の根は、瞬時に炭へと変わる。
「吠えろ」
覆っていた炎の渦が消えると同時に、フーリエの足下が赤く光る。地割れを起こしながら、地面の中の光が悪魔へ向かい、水と土が混じった真下で爆発する。水の壁も、大木も何もかもを巻き込んで大きな竜巻を起こす。横幅は10mほどで、高さは上を見上げてもどこが頂点かは分からない。
炎の竜巻が、火の粉をまき散らしながらゆっくりと消えていく。
「まだまだ序の口だが、どうだろうか?」
フーリエが笑いながら悪魔に問いかける。
「人間にしては魔法に長けてるな。判断も詠唱も素早く精度も範囲も理想的だ」
竜巻の中から、水の膜に包まれた悪魔が出てきながらフーリエの魔法の腕をほめる。
両者がにらみ合う。
悪魔の腕から草木が生え始める。
フーリエの口から炎は吐き出される。
完全にアウェーです。帰って良いですか?
初めてしっかり戦闘を書きました。
文章力が無いせいで、私の考えている図が伝わっているのかどうか……。




