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魔法が……使える……?

四十話

「おめでとう。これで君も立派な雑魚だ」


 地面に書かれた魔方陣を消しながら、悪魔は楽しそうに言ってきた。


「雑魚はやめろ雑魚は。雑魚だけど」


 正直実感が湧かない。HPが1になっても世界の色は同じままだ。


「さてじゃあ実践練習だ」


 詠唱で取り出した短剣をウキウキで構えている。


 意識するんだ。魔力を……


 口から出てきた煙を体に(まと)わせる。煙の防具の完成だ。


「いくよー」


 呑気(のんき)なかけ声だが、短剣は寸分違わず心臓を刺そうとしてくる。


 心臓に当たる直前、ガッという鈍い音と共に短剣が弾かれる。


「いいねいいねー。じゃあ次、攻撃に生かしてみよう」


「体中に纏わせていた魔力を両腕だけに集めて。ほら」


 ゆびを指しながら教えてくる。人をゆびで指すんじゃありません。


 手を握る。その周りに煙を移動させる。イメージはボクシンググローブだ。前世でも付けたことはないけど。


「良い感じ良い感じ」


 手の周りにはもちろん、肘と肩の中間くらいまでを覆うことが出来た。


「じゃあ、僕を殴ってみて?」


 遠慮無く行こう。全力で。今までの恨みを今ここで!


「これは母さんの分だぁぁああああ!!!!」


 前世で人を殴ったことなど無い。それに、あの悪魔と俺の母親には何の関係も無い。だから力の入れ方、フォーム、余韻。ほとんど全ておかしかっただろう。でも……悪魔が吹っ飛ばされた影響か、俺のパンチで起きた風の影響か、周りには土煙が起こっていた。


 ガフッという声が遠くの方から聞こえてきた。やったか!?


「これは……予想外というか……想定内というか……」


 土煙をかき分けて悪魔が出てくる。


「いやぁ。君のお母さんとは面識が無いはずなんだけどね」


 軽口を叩く悪魔の、腰から上の右半分が無くなっていた。


「え」


「大丈夫。こう見えて結構頑丈だから」


 体の1/4無くして歩いている奴が頑丈じゃ無いわけ無いだろ。


 「俺がやったのか……? それを……?」


 強く……なりすぎちまったぜ……


「そうだよ。君のせいで僕はこの先一生左手が使えないんだよ」


「そんな……直す方法とかないのか……?」


「あるから全然気にしなくて良いよ」


 悪魔は嫌いだ。


「さぁて、じゃああとの魔法も覚えちゃおう」


 悪魔の実践式練習で、足が速くなる魔法、防御魔法と攻撃魔法のおさらいをした。そして。


「五大元素の初期魔法くらいは覚えておこうか」


「五大元素? が何かよく分からないけど魔法は俺は使えないぞ?」


「大丈夫大丈夫。魔力が分かる今の君にならできるさ」


 できるさって……


「どういう風にすればいいんだ?」


「まず、五大元素というのは、火、土、金、水、木の五つだ。金以外は説明しなくても分かりやすいと思う。金というのはいわゆる黄金と呼ばれる金では無く、金属全般を指すよ。この短剣も金魔法の一つだ」


 召喚魔法で取り出した短剣を見せてきた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 真っ暗な部屋で二人が話している。


「これでようやく下準備は整った」


「いよいよですね」


「あぁ、計画の準備に取りかかろう」


「それは下準備なのでは?」

夏休みですね。休みの定義が働くという意味なのは、私が異世界に転生したからでしょうか。

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