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悪魔式特訓法

三十九話

「きんきぃ?」


 地方名ですか?


「禁忌魔法。使う事も、試す事も、研究する事も許されない。そんな魔法。解除出来ない呪いをかける魔法のこと全般を指す。亜巨人族が生まれたのも禁忌魔法が故に、だ」


 ルルの一族である魔道師が、巨人族の一部に種族に残る魔法を掛けた。その魔法で生まれたのがガウル達、亜巨人族。確かそんな感じだったはずだ。


「そんな使っちゃいけない魔法を使ってまで何をしようって言うんだ」


「君の体力のステータスを1に固定する」


 正直、そんなことが出来るなら最初からしてくれよ、という気持ちだ。


「禁忌というだけあって代償は高くつく」


 指を三本立てる。その内の一本を折りながら話し始める。


「まず一つ目、君の魔力を体力に()てるので、その分の魔力は永久的に失われているのと同意になる。しかも、どれだけの魔力が必要なのかは僕にも分からない」


 例えば、本来の俺の魔力が100あったとしよう。その内20を、体力を1に固定するために使ったとする。すると、いかなる時も魔力は80しか使えない。というわけだ。そして固定に使う魔力は20なのか100なのかは、この悪魔にも分からない、と。魔力を固定だけに使い果たしてしまう事もありうるわけだ。そうならないことを祈るが。


 二本目を折る。


「次に、体力1はいついかなる時も固定されている。戦闘時も非戦当時も」


 ただ道を歩いているだけなのに、誰かのつま先に当たった石が体に当たっただけで死ねるらしい。輪廻転生も真っ青だ。


「最後に。その固定した値は今後一切変更することは出来ない」


 ……そういうことか。亜巨人族も罪(ほろ)ぼしの為にやっているとかじゃ無いんだな。戻せないんだ。戻したくても。それが故に禁忌。


「そうなったとしても後悔はないかな?」


 フードの内側から、試すような目でこちらを見ている。


 後悔しない可能性はゼロとは言い切れない。もしかしたらこれから魔法を学んでいく内に、体力を100で固定する魔法が見つかるかも知れない。1000や10000かもしれない。この禁忌魔法を使ってしまうと、万が一にもその魔法が見つかったとしてももう戻せない。


 それでもいいのか。


 答えは決まっている。


「後悔なんかしないさ。なんでお前がルルを助けてほしがっているのかは分からないが、ルルを助けられるならなんだってする」


「ならば決まりだ。君の英断に心からの拍手を送ろう」


 いらないです。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 悪魔は地面に魔方陣を描いた。半径2mくらいの大きなものだ。その中心に2cmほどの小さな円を描く。


「手を出して」


 言われるがまま手を差し伸べる。悪魔は短い呪文を唱え、短剣を出現させた。


「痛いけど我慢してね」


 その短剣で指先を軽く切る。傷口から溢れた血を、先ほどの魔方陣の中心の円に垂らす。


「さぁ、始めようか」


 血が垂れたところから、魔方陣が赤く光っていく。悪魔はそれを見ると、ゆっくりと魔法の詠唱を始めた。


「その(ことわり)、人が触れる事(あた)わず」


 魔方陣の二割ほどが赤く光る。


「その理、魔が触れる事能わず」


 魔方陣の半分が光る。


「その理、神が触れる事能わず」


 魔方陣全体が赤く光る。


「その理の書換え、血に刻む事を形代(かたしろ)とし、今此処(ここ)に施行す」


 魔方陣から光の粒子が浮かび上がり、体に吸い込まれていく。


「力を血に。可能性を有限に。故に万象を可能に。彼の者に力を」


 全ての光が体に吸い込まれた。


「ステータスカードを持っているかい?」


 まだ自分の身に何が起こったのか分かっていないまま、0になってからは見ることの無かったカードを取り出す。




Name:シロ

Lv:15

HP:1

ATK:0

DEF:0

AGI:0

LUK:0




 カードにはしっかりとHPが1と表記されていた。

ここまでが長かったぁ。


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