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殺意高めのお茶の間会議

三十五話

「お見合いさせられることになりました……」


 ルルの家の玄関から一歩しか離れていない所で衝撃的な事実を突きつけられる。


 俺とのお見合い? お父さんも気が早いなぁ、なんてふざけてなどいられない。


「いつ? どこで? 誰と? 何を? なんで?」


 いつでも忘れない5W1Hの精神。


「2日後、ここから少し離れた旅館で、私と同じ一級魔道師の方と、お見合いをします。父の意向で」


 全て答えてくれてありがとう。脳では理解したが心は理解してくれない。当然だ。惚れた女性だ。死んでも離さない。


「ルルはどう思っているの?」


「したくないです」


 当然、という顔でこちらを見ている。というか少し怒っている。


「なにか、怒ってる?」


「好きな人がいるのにお見合いしたいわけ無いです」


 頬を膨らまして、横目で見てくる。可愛い。いや、そうじゃない。そんな事を言っている場合では無いのだ。


「少し、ルルのお父さんと話してみても良いかな」


 ルルは苦笑しながら小さな声ではい、と答えた。無理だと思っているのだろう。


「俺の大好きな人が困っているのに、指くわえて見ていられるわけ無いじゃないか」


 精一杯の笑顔を見せる。

 

「一番最初にその言葉が欲しかったです」


 え、ごめん。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ゆっくりとドアを開けて、家に入る。最初に入ったときよりも重々しい空気だ。そんな気がするだけかもしれないが。


 ゆっくりと廊下を進む。左手にある部屋を覗く。お父さんが背中を向けている。


 背後取られてますよ。もし俺が忍びならば、今この瞬間に首を刈ることも容易(たやす)いだろう。


「ヒューマンが何のようだ」


 バレてました。


「ルルさんのお見合いの話ですが」


「他人が口を(はさ)むことではあるまい」


「ルルさんは大切なパーティー仲間です。そして」


「そして?」


 振り返り、問う。


「僕の大切な人です」


「それがどうした」


 確かに。ただ片思いを宣言しただけじゃないか。


「私にとっての彼も大切な人です」


 ルルがいつの間にか後ろに立っていた。いつの間に背後を……!?


「愛し合っているとでも?」


 少し低い声でお父さんが問いかけてくる。オコ? プンプン丸?


「ルルの見合いの相手は一級魔道師。王国直属騎士の魔法隊副隊長だ。一端(いっぱし)のヒューマンはそれ以上の地位でもお持ちかな?」


 戦闘開始と共に絶命する現ニートの無能ですどうも。


「特には……」


 鼻で笑われた。また背を向ける。


一時(いっとき)の気の迷いで、人生を棒に振るなよルル。魔法を覚えたのも、ここを出ろと言ったのも私だ。ルルの事を最優先に考えている、そうだろ?」


 どの口が言っているのか。ルルが魔法を使えなくなった原因は自分にあることを忘れているのだろう。


「……はい」


 ルルは下を向いたまま小さく頷く。その手は(すそ)を握ったまま震えている。


「話すことはそれだけか。見合いの衣装合わせをしてきなさい」


 ルルはもう一度小さく頷き、玄関の方に向かう。


 ルルの父に向かって言い放つ。


「ルルが魔法を使えるようになったのは、あなたのおかげなんかじゃ無い。彼女自身の努力だ。本当に彼女を最優先に考えているんですか? 一級魔道師の娘を持つ親というレッテルの為に彼女をっ!?」


 途中で(さえぎ)られる。ルルの父親はこちらを見ないまま、腕だけをこちらに向け、その腕から氷が伸び、俺の喉を掴んだからだ。


「それ以上言えば命は無いと思え」


 今までで一番低い声でそう言い放つ。


 ゆっくりと氷が溶けていき、喉を離す。


 言いたいことは色々あるが、何も言えないまま喉をさする。もう何も言うことは無い、という雰囲気を(かも)し出している父親の背中を横目に、玄関へと向かう。


 ドアに手をかけた瞬間、後ろから声をかけられる。


「私が最優先に考えているのはあの子の事だ。君こそルルの事を本当に最優先に考えているのか? 縛り付けているのではないのか?」


 何も答えないまま、ドアノブに力を込め、開ける。




 あの質問に、ノーと答えられるのか?

せっかくステータスが0になったのに0要素ないし、最強魔法使いになれちゃいそうだし、ルル取られそうだしで、悪戦苦闘中です。


初期案ではこんな話するつもり毛頭ありませんでした。てへぺろ

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