嫌な予感
三十四話
ルルが義父さん、もといお父さんに報告に行っている間に、本を読み進める。魔法については当然だが、この世界のこと、種族のこと、武器や防具に生産品、生物に歴史に文化に言語まで。
一度に読み過ぎた。完全に頭がパンクしそうだ。ルルの様子でも見に行くか。
ルルの家に行くまでの道中に、本で読んだ魔道師の歴史を思い出しながら、談笑している魔道師達に目を向ける。
ガウル達の亜巨人族が生まれた原因となった、全人類対全魔族の戦争。その戦争で今では禁忌級である、種族間永続呪術を魔道師達は一部の巨人族にかけた。巨人族のアイデンティティーとも言える体の大きさを、人間達とほぼ変わらない大きさまで小さくする魔法を。
魔道師はデミヒューマンと呼ばれヒューマン達と見た目は変わらない。年齢も見た目通りで、先の戦争を知っている魔道師は数少ない。ガウル達を巨人族から亜巨人族にした張本人は、もう生きてはいないだろう。
短命ながら、いや、短命が故に何か功績を残そうと様々な魔法を生み出した。生活に必要不可欠な初級魔法と呼ばれる便利な魔法。魔族、魔物達を倒すための中級魔法と呼ばれる攻撃魔法。戦争で状況を覆すための上級魔法と呼ばれる大魔法。個人や種族に解ける事の無い何らかの呪いをかける禁忌魔法。
この世界に存在する魔法の、その全てを生み出したと言っても過言ではないらしい。使う事で生活が楽になるものから、使ってはいけないものまで。様々な魔法を。
そんなことを考えながら歩いていると、ルルの家の前まで来ていた。
「喧嘩になっていないといいけど……」
ルルのお父さんは中々の堅物だからな。面倒事になっていなければ良いのだが。
少々憂鬱な気持ちでドアノブに手をかける。
「ぶっ……!!」
開けようと思った速度の倍以上の速さでドアが開く。理由は。
「えっ! す、すいません!」
ルルが内側から勢いよく開けたからだった。ドアの角に鼻をぶつけ、鼻先がじんわり熱くなったままルルを見る。
「大丈夫? 上手いこと話は出来た?」
絶対に俺の方が大丈夫では無いのだが。
ルルは下を向く。うーむ失敗したようだ。
「私……」
なんだろう。嫌な予感がする。王家直属の魔法使いになるために中央都市に行きます、とか言い出しそう。
「お見合い……させられることになりました……」
そいつぁ無いぜお父さん。
最近短いですがそれは私が散髪したせいです。




