希望の光
二十七話
「いやぁマジか」
これはちょっと予想外。まさか戦闘が始まっただけで死ぬとは。
教会の扉を開け、ルルが入ってくる。
「大丈夫ですか? どうでした?」
「あれだ、戦闘開始と共に死ぬわ」
「え……えっ?」
いやまぁそうなるよな。俺もいやだわこんな体。
「そ、その、なんというか……」
「大丈夫。絶望はしてない。たぶん」
ショックが大きすぎて受け入れられていないだけかもしれないが。
「ですが……それでは旅に出られません。中央都市へも行けませんよ?」
「そうだよなぁ」
魔物がいない道は存在しないだろう。外から一切見られることのない馬車に乗って、ずっと旅行するというなら話は別だが。それは難しいだろう。主に費用面で。
さてどうしたもんかな。今度こそ本当の本当に手詰まりだ。
ルルと二人で落ち込んでいると。
「やぁやぁ久しぶり。ちょっと面白い情報が手に入ったんだけど、ってどうしたんだい?」
ノイマーだ。元気だな、お前。
「ステータスが全部0になっちゃってね。戦闘が始まったら自動で死ぬ体になっちゃいました」
「ほう。興味深いね。とてもとても凄く。まぁそれなら尚更なんだが、君にとって良い情報が入ったんだが、聞いていくかい?」
ルルと顔を見合わせる。そして頷く。
ルルは、俺の実験につきあってくれた後は、探険に行く予定だったらしいが付いてきてくれるそうだ。
青と白の洋館に着く。日は経ってないのに久しぶりに感じる。最近色々なことがあったからだろう。扉を開けると埃が舞う。掃除しなさいよ。
「さてさて。見て欲しいのはこれなんだがね」
そう言って一枚の紙を渡してきた。
絵と文章が書かれた紙だ。
「日書の切り抜きなんだけどね。面白いことが書いてある」
新聞みたいな物だろう。そこにはこう書かれていた。
最年少魔道師ユリウス、栄冠に輝く!! ヒューマンとして初、魔術学校序列試験で見事一位に輝き、王族直属の魔道師となる。
で?みたいな目を向けると、ノイマーは。
「その子のステータスだよ。ほら、ここ」
ノイマーが指さした先には。
Name:ユリウス
Lv:48
HP:378
ATK:238
DEF:279
AGI:197
LUK:68
と書かれていた。
「君ほどではないが、この子もヒューマンとしては異常にステータスが低い。だから少し調べてみたんだ。ステータスが低いと魔術に適正があるんじゃないかとね」
ほう。望みあり、か?
「結論としては、ある。と言えると思う。今まで魔術学校で好成績を残したヒューマンは、総じてステータスが低いことが分かった」
俺にも望みありか。
「だが、良い成績の者はステータスが低いのであって、ステータスが低ければ良い成績なのかと言われると分からない。好成績でない生徒のステータスを世に公開する意味が無いからね」
なるほどな。俺がステータスが低いからといって、魔術に適正があるとは限らないのか。まぁでも十二分に嬉しい情報だ。
「そこで提案なんだけどね? 魔術都市に行ってみてはいかがかな。魔法のイロハを教えてもらえるんじゃないかな、あそこなら」
そういえばルルも行くって言ってたしな。寄り道にもならなそうだし。
だが一つ、疑問がある。
「魔法が使えるようになったからと言って、この低いステータスがどうにかなる訳じゃないよな? 魔法を習っても戦闘になったら終わりじゃないか」
「魔法には色々種類があるんだけどね。ステータス上昇系魔法とかいいんじゃないだろうか」
なるほど。魔法での底上げか。できるだろうか。
「うん。ありがとうノイマー。おかげで光が見えて……ってダメだった」
「うん? どうしたんだい? お腹痛いのかい?」
頭を抱えるとノイマーがそう言ってきた。違う違う。
「そうじゃなくて、俺今ステータス0だからさ。道で戦闘になったら即死なの。旅に出られないの」
「あぁそういばそうなんだっけ。なら転移魔法はどうだい? 魔術都市へならお嬢ちゃんの通行書で行けるんじゃないかな」
通行書? 何それ? って顔でルルを見る。なにやらポケットから取り出す。10cmくらいの長さのクリスタルだ。中心が緑色に光っている。
「これは魔道師が魔術学校卒業と共にもらえるのです。これがあれば、一日一回だけですが、魔術都市に対価無しでテレポート出来ます。結構便利です」
自慢げに見せてくる。はいはい可愛い可愛いと頭を撫でていると。
「それがあれば君も一緒に行けるはずだよ。魔術都市へ行くのは簡単なんだけどね。そこで魔法に適正がなかったら、二度と都市から出られないかもね」
恐ろしいことを言うな。
ノイマーに別れを言って帰ることにした。道が絶たれてしまった様に感じていたが、そんなこともなかったようだ。
現状ではなんとも言えないが、この低いステータスの低い部分全てが魔法に関わるところに行っているのだとしたら、大魔法使いになれるかもしれない。あくまで可能性だが。
ルルがこっちを見ている。俺が首を捻ると、なんでもない、と言うように首を横に振る。
昨日から何かおかしかった。聞いても良いことなんだろうか……分からない。
「なぁ、ルル。何か言いたいこと、あるんじゃないか?」
言っても良いのだろうかという目をしている。
「私、自分の家に帰りたくないです……」
「だろうな」
「えっ」
何回も自分を殺し、努力は認めず、責任を押しつける。そんな家に帰りたいと思えるはずがないだろう。
「それで悩んでいたのか」
「はい」
「なら俺も一緒に行こうか」
「え……」
「ご挨拶もしなきゃ、だろ?」
「そう……ですね……」
ルルが笑う。この笑顔に俺は何度も救われた。少しばかりだが、返そうじゃないか。
あと十話以内に俺TUEEEEEEになります。なると思います。




