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異世界でレベルアップしたら全ステータスが0になりました。  作者: シラクサ
第二章 魔法の存在
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さぁ、実験開始だ。

二十六話

 ドラゴンを討伐した後、みんなで打ち上げに行った。


 レベルが上がったせいでステータスオール0になったことは、ルル以外は知らない。


 酒場で受付係から説明が入る。


「今日は皆様お疲れ様でした! 調査の結果、リントヴルムと赤龍(せきりゅう)の混血だと判明しました。非常に強力な個体でしたので、当初の報酬に上乗せさせていただきます! 本当にありがとうございました!」


 うおおおおお!! という声が酒場に響き渡る。倒したって実感がわくと楽しいよな、ゲームと同じで。


 にしてもこの世界、聞いただけでも三種類の龍がいるんだな。さっきの二体と、もう一体はノイマーの研究所で聞いたバハムート。


 リントヴルム。リムトブルムの方が通りは良いか。翼のある、普通のドラゴンだ。その昔、ドイツやスカンディナヴィア付近で目撃があった竜。


 赤龍。昔から日本や中国で龍と言えばこれ。みたいな龍だ。体が長くて、蛇に手足が生えた感じだ。炎を吹き、火山や太陽から生まれたとされる龍。


 この二つの子どもだったらそれは強いわな。


 ゲーム的に言うと、炎ブレス特化型ドラゴンだろうか。だからさっき、最後の場面で切り札として炎ブレスをしようとしたんだろうな。エルドラが凍らせたけど。


 ドラゴンがこの世界にどれだけの種類がいるかは分からない。異世界なら妖精とか幻想種とかもいるのだろうか。この世界についての資料を集めたい。やはり中央になるべく早く行くべきだろうか。


 そんな考え事をしていたらガウルとエルドラが話しかけてきた。


「どうしたどうした怖い顔をして! 今宵は宴ぞ! 飲めや食えや!」


 出来あがってんなぁ。


「その通りである! 貴様がいなければユーリの弓での支援は難しかったであろう! 故にこの功績は貴様のものでもある! 胸を張れ!」


 ぼ、暴論だぁ。


「そうですよ。ステータスが低くても十二分に私達を助けてくれています。ありがとうございます」


 ルルまで……優しいんだよなぁみんな。……離れたく……ないな。


 でも言わなきゃな。


「みんなに話がある。大事な話が」



 思っていたことを全部伝えた。このままじゃダメだと思っていることも。でも踏み出せないことも。だからちょっと無理をして、すぐ出発することも。エルドラは空気を読んでくれて遠くで酒を飲んでいる。


「うむ。兄ちゃんが決めたことなら何も言わない。進みたいなら進めば良い」


「もうちょっと一緒にいたかったですが、決めたことなら仕方ありませんね。魔術都市で用を済ましたらすぐ向かいますから」


 優しいな。みんな。


「何も返せてないけど、いつか必ず返すから。俺にも出来ることが見つかったら。必ず」


 ガウルもルルも頷いてくれた。この二人には甘えてばっかだな。


「すぐにとは言ったけど、明日どうこうって訳じゃないんだ。お金も貯めないといけないし、一つ試したいこともあるから」


 ルルは察してくれたが、ガウルは首を(ひね)っている。そうだった。何も言ってないんだった。


「実は全部のステータスが0になっちゃって」


「えぇえええ!?」


 事情を説明した。そしてルルにも明日の実験の内容を説明する。


「うむ……いやまぁ必要だとは思うが……」


「が、頑張ってください」


 なんで渋々なんだろう。



 宴もたけなわだったが、ルルと二人で抜け出して宿に帰ってきた。


「前にも言ったことなのですが」


 そう切り出したルルは凄く言いづらそうにしていた。


「中央都市に行く前に魔術都市に寄ってみませんか? 魔術都市には魔術に関する多くの資料があります。あなたがこの世界に来た原因は恐らく転移魔法です。魔術都市なら元の世界に戻れる方法が見つかるかもしれないですよ?」


「俺に帰って欲しいの?」


 冗談交じりに返してみる。


「いえ……でも、帰る場所がないというのは辛いことだと思って」


 真剣に返してくれた。そっか。そういう考え方も出来るんだな。


「俺はこの世界の方が気に入ってるよ。みんな優しいし温かいし。だから帰りたいとは思わないかな」


「そう……なのですか……」


 道行く人の視線を気にして生きなければならない世の中なんて、楽しくないさ、と呟く。


「ここには支えてくれる人がいる。胸を張って良いと言ってくれる人がいる。凄く嬉しくて、新鮮な事だ。でもそれに甘えていちゃいけない。何も変わらない。今までと」


 偽らざる本音だ。だから中央都市に行く。決めたことだ。


「それにルルも後から来てくれるんでしょ? なら大丈夫だよ」


「そう……ですね……」


 そんなに落ち込むことだろうか。


「何? ずっと一緒にいたいの? 大好きなの?」


「あはは。そんなところです」


 大丈夫だろうか?


 一緒に布団に入る。ルルの様子が心配だったがそれ以上に疲れが体に来ていた。





 真っ暗な部屋で二人の人が何か話している。


「どうします?気づかないのでは?」


「そうなったらそうなったよな」


「仕向けますか?」


「そんなことしなくても布石は打ってある」


「そうでしたか。ですが暇です」


「そうなんだよね。成長(笑)を見てるのも楽しいんだがね」


「彼はこちらに付くでしょうか」


「さぁな。だがこちらに付かねば面倒くさいことになるだろうな」


「面倒くさいというか……。こちら側が不利になりますね」


「そうだな。()()()回収できれば良かったんだがな」


「あんな偶然が起こるとは誰も思いませんでしたよ」


「おっと寝ている間はこっちの繋がりが大きいのか」


「そういえばそうでした」


「まぁ生きたいように生き、行きたいところへ行けばここに来るだろう」


「そういうものなのでしょうか。ですがお待ちしていますよ。シロ殿」





「……ざいます。……うございます。おはようございます」


「あ、あぁ、うん、おはよう」


 目を開けた瞬間にルルの顔が間近にあった。ドキドキした。


「朝ご飯を食べたらすぐ向かいましょう」


「そうだね」


 朝ご飯を食べながらルルと計画を立てる。ルルには教会へ向かってもらった。そして俺は。


「いやぁ。なんか懐かしく感じるな」


 スライムの群生地に来ていた。


 仮説が正しいならば、どんな攻撃でも一発で死ぬはずだ。だから戦闘状態になってから石に小指をぶつけてみよう。大丈夫。たぶん。法則が乱れて生き返らないとかは無いと思う。


「さて、スライム君は、と。お、いたいた。(せん)と…う………?」


 スライムがこっちを向くと同時に体に痛みが走る。


 そして意識が遠のいていく。


 息が出来ない。


 なん……で……





「おぉ、神よ。彼の者に再び立ち上がる勇気と立ち上がる力を!」


 どうやら戦闘開始と同時に即死する能力を手に入れました。

ようやくこれからの構想が決まってきました

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