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異世界でレベルアップしたら全ステータスが0になりました。  作者: シラクサ
第二章 魔法の存在
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挨拶、行っちゃう?

二十二話

 ルルから話を聞いた後、自分の話もした。ここではない世界があること。そこから来たこと。何故来たのか分からないこと。ガウルにもこの話をしたことも。


「そうなんですか」


「受け入れられないよね」


 結構難しいですね、と笑いながらルルが言う。


「でも、私がもしその立場だったら、泣いちゃいますね。受け入れられ無さすぎて」


「簡単に想像できるよ」


 ルルがこっちを見て、頬を膨らましている。え? 可愛すぎか?


「冗談冗談。でも完全に受け入れているかと言われると、難しいな」


「この世界でたくさんの人と話をして、食べ物を食べ、寝て、生きようと頑張ってる。それだけで十分じゃないですか」


「そういうもんかね。前の世界のセオリーだったら、異世界に来ると、決まって何かしら強かったりするんだよ。誰にでも勝てるような力を持っていたり、その世界にまだ無い知識を持ち出したり。そんななんだけど、俺のこれは身の丈に合った力なのかもね」


 (うつむ)きながら小さな声で言うと、ルルが顔をのぞき込んで、


「誰かさんがスライムくらい簡単に倒せるようだったら、私は今こんなに幸せじゃないですよ?」


 励まし方が上手い。


「確かにね。こんな可愛い子を幸せに出来たならこの力も悪くないかな」


 ルルはこちらを見たまま一瞬考え、顔を赤くする。そして背ける。


「結構頻繁(ひんぱん)にそういうこと言いますよね。誰にでも言ってるんですか? 最低です。たらしですね」


「言わない言わない。ルルにしか言わない」


 こっちを見る。耳まで真っ赤だ。


「そういうのを誰にでも言ってるんでしょ!」


 そっぽを向いたまま、布団を勢いよく被って寝る態勢に入る。


 可愛いなぁ。流石チョロイン。


 背中合わせにし、ゆっくりと布団に入る。夜遅くまで起きていたせいか、すぐに眠たくなる。すると、背中から声が聞こえてくる。


「本当にありがとうございます。私の勇者」


 勇者、か。小さい頃は憧れて、なろうと努力し、もがき。いつしかあきらめる夢。勇者やヒーローは自分でなる物じゃなくて、誰かに持ち上げられて、なるものなのかもしれない。


 そんな事を考えながら眠りに落ちていった。




 翌朝は、快晴だった。ルルの可愛い寝顔をずっと見ていたら、起きてしまい、目が合って気まずくなった。でも可愛かった。


 ルルと一緒に街へ出る。ルルは一昨日組んだパーティーと一緒に探険に出た。


 俺は俺で見つけなければ。


 募集掲示板に荷物役、と書いた。パーティーとしてカウントしなくていい、と書いただけで引っ張りだこだ。ガウルに言われて書いただけなのに。


 俺を選んでくれた探険者達に話を聞くと、パーティーっていうのは、経験値を分配してしまうものなのだそうだ。荷物役をパーティーに入れると、戦闘をせずに経験値が稼げるので、楽して強くなりたい人が荷物役をやることもあるそうだ。俺は経験値はいらないのでWin-Winだ。しかも、仕事は大量にあるので凄く助かる。


 今日一日で、七回も荷物役をした。重い物を持ちながら体を動かす練習になった。草木が生い茂る中、ぬかるんだ泥の中、浅い川の中、様々な場所での、気をつけるべき点を教えてもらった。


 お金は入るし、経験値はもらわずに有益な情報をもらい、それを現場で学べる。凄く良い。


 もらったお金を全部ガウルに返した。渋々だが、受け取ってもらえた。それでも少し足りなかったので明日もだ。




 宿屋に帰り、ルルと話をして、寝ようとすると、ルルが話しかけてくる。


「あの、もし良かったらなのですが」


「うん?」


「私の出身都市に来ませんか?」


「えっと」


「もちろんそんなに時間は取らせませんし、一週間後ですし、嫌なら全然大丈夫なんですが」


「いや、ルルが生まれた街を見てみたいな」


「ほ、本当ですか?」


 凄く嬉しそうだ。俺は眠い。一日体を動かしたのはスライム討伐以来だ。眠い。


「やっぱこう、なんていうか、まだ早いとは思うんですがこう。親と」


「うん。大事ね」


「そ、そうですか! 分かりました! それってそういう意味で…い……ね? ……た…………すね」


 うんうん。そうだね。意識は半分夢の世界だ。眠たい。ダメだ。





「……ございます。おはようございます」


 凄く嬉しそうなルルに起こされた。なんだろう。可愛いけど。


「えへ、今日も一日頑張りましょう!」


「う、うん」


 え、本当に可愛いな


「それで……えっと……」


「どした?」


「私達の結婚式は魔術都市で良いですか?」





 は?

魔術都市はサクッと終わらせます。たぶん。


そしてそろそろ全ステータス0になると思います。たぶん。

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