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異世界でレベルアップしたら全ステータスが0になりました。  作者: シラクサ
第二章 魔法の存在
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ルル

十九話

 ブルォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!


 ビチャビチャ海水が飛んでくる。くっさい。


「今日の昼飯はタコ唐よな!!」


「タコの唐揚げですか!? 良いですね!!」


 良いですなぁ。タコ唐。


 ビュルォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!


 ていうかアレを倒すんですか。


 クラーケン。前の世界ではノルウェー近海やアイスランド沖で見られた巨大な海生生物。ヒトデやエビやタコやイカ等の様々な姿で描かれているが、ここの世界ではタコのようだ。史実では巨大すぎて島だと錯覚したこともあったようだが、そこまでの大きさではない。ちょっとしたビルくらいの大きさだ。まぁ目から下は海の中なので、上だけの大きさになるが。


「アレをどうやって倒すんですかね」


「ズバッと?」


 え? 何言ってんの? みたな目でガウルに言われた。剣を荷物入れから持って来きて、鞘から抜く。


「剣で? 切るの? あれデカすぎない?」


「気合い?」


 剣をブンブン振りながら、え? アホなの? みたいな目で見てくる。俺が悪いの?


 えぇみたいな目でガウルを見ていると、ルルが腰をツンツンしてきた。なんだろう告白だろうか。大歓迎だが?


「どした?」


「クラーケンは電撃系に弱いです。私、電撃系の魔法が撃てるので詠唱時間が欲しいです」


「お、おう。俺は時間稼ぎもできないけどね」


「あっ」


 シュンとしてる。可愛い。あと俺はもう気にしてないからね。戦闘では役立たずだけど。


「ガウル! ルルが魔法で電気放つんだってさ! 時間稼ぎしてね!」


「おうともさ!!」


 ガウルが海パンのポケットの中からネックレスを取り出す。青い宝石の少し太めのチェーンのネックレスだ。ガウルらしい。


「うぅぉおおおおおおおおおお!!」


 叫びながら駆け出す。海に。


 いや、泳ぐの? 剣持って?


 ガウルの足が海に着きそうになる瞬間、ネックレスの青い宝石が輝き出す。すると、海が裂ける。ガウルを避けて。


 そのまま走り出す。ガウルの周囲3mほどは海の中なのに海水がない。あの宝石は魔法の類いだろうか。


 砂浜からではよく見えないが、海の中から攻撃してくる足を切っているようだ。ガウルの雄叫びと何かを切る音が聞こえる。楽しそうだ。


 一方ルルは、杖を持ってこちらに戻ってくる。笑顔で。可愛い。


 右手で杖の中程を持ち、天に掲げ、左手は握り、胸に当てる。可愛らしい唇が詠唱を始める。美しく、力強く。


(いか)き精霊の加護をこの杖に。全てを焦がし、大気を(つんざ)く爆音を(とどろ)かせたまえ」


 杖の先に、2mほどの大きさの爆音を鳴り響かせて、眩しい何かが生成される。その塊から、小さな雷のような物が周囲に飛ぶ。塊が電気そのものであることを示している。


穿(うが)て! 雷龍!」


 その塊から、普段、空から落ちてくる雷そのものがクラーケンに向かって飛んでいく。蛇行しながら。猛りながら。


 タコの丸くふくれた頭に直撃する。


 ジュゥゥゥウウウウウウウウという音を立てて頭が焼ける。体表が赤く染まり、クラーケンが叫ぶ。


 ピギャァアアアアアアアアアアアア!!!!


「ぅおおおおおおお!!」


 ガウルも負けじと叫び、足を切り落とす。


「駆けろ! 雷獣!」


 ルルが雷魔法を唱える。段々と辺りに良い香りが立ちこめる。


「どりゃぁああああああああ!!」


 ガウルが切る。


「裂け!鎌鼬(かまいたち)!」


 ルルも切る。


 ピギョォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!


 クラーケンが叫ぶ。


 切れた足を振り回す。


 全ての足を振り上げ、静止し、倒れる。


 倒れた衝撃で波が襲ってくるが、ガウルの宝石のおかげで当たらなかった。ガウルの宝石の有効範囲に入った波が水しぶきを上げ、映画の始まり見たくなっている。


 ガウルは切った足を嬉しそうに持って来た。


「タコ唐な!!」


 分かった分かった。


「タコ唐ですね!!」


 分かったって。



 酒場の皆さんに手伝ってもらい、クラーケンを回収する。皆さんと一緒に揚げ始める。


 塩の概念があるらしいがそれだけだ。醤油欲しい醤油。今まで食べてたあのおいしい料理も塩だけだったのだろうか。


 揚げずに生で食べてみた。コリッコリだ。うまい。だがこの世界では、生で魚を食べるという概念がなかったらしい。驚かれた。おいしいよ。


 タコをモグモグ食べながらルルに魔法について教えてもらう。


「さっき使ってた魔法って?」


「魔実学校で習う魔法です。雷の力を持つ精霊達の力を借りたのです」


 なるほど。力を借りて魔法を使うのか。


「じゃあさ、全人類と全魔族の戦争後に生み出された、転生の魔法の仕組みは?」


 タコをモグモグしてる。飲み込んでからで良いよ。


「転生についてはですね。簡単に言うと、魔力を使って殺された体を生み出し、魂を定着させる事です」


 もっと詳しく。


「体を生み出す?」


「はい。魔力というのは、基本的に何かの事象を手助けするモノでしかありません。人の体は基本的に自己再生能力を持っているので、魔力でそれを手助けしているだけです」


「死んだ場合、教会で生き返るけど、教会には体の情報は何も無いよね?ゼロから生み出してるの?」


「ほぼゼロですが、全くないわけではないです。教会で生き返るとき、法則があるのですが、分かりますか?」


 これ難問では?


 ゲームだと、最寄りとか、最後に立ち寄った街とか。この世界でそのルールに当てはめるなら、最後に寄った街だな。


「最後に寄った街?」


「そう、その通りです。街に来てから何らかの行動を行えば、体の何らかの情報がどこかには残るはずです。その体の情報を魔力で増幅して、といった結果です。最後に立ち寄った街になるのは、最新の情報だからですね」


 ほーん。なら、だ。


「街に入った瞬間に街を出て、戦闘で死んだ場合どうなるの?」


 困っている。意地悪だっただろうか。だって気になるじゃないですか。


「恐らくですが、その前の街に転生されることになるのではないでしょうか」


 困りながらも答えてくれる。ありがとね。ごめんね。


「えっと。あと魂? だっけそれはどうやって?」


「これはちょっと難しい話なんですけど、魂というのはここではない別の世界にあるらしいです。それをこちらの世界に持ってくる魔法を生み出したのも戦争後だそうです」


「別の世界?」


「はい」


「どこに?」


「ここではない場所です」


 なるほど。分からないのか。ちょっと不機嫌な顔でタコをモグモグ食べてる。可愛い。


 まぁ少し分かっただけでも収穫だ。つまり死ぬことにリスクはない、と。ならいいか。


 そういえば、ルルは今回の戦闘でレベルは上がらなかったのだろうか。


 酒場のクエストでレベルが上がって、次のレベルまでの必要経験値が多くなった結果、今回の戦闘では上がらなかったのだろうか。


 そういえばルルは俺がノイマーから話を聞いていた間、頑張っていたんだよな。この小さい体で。


 陶器のように白く、折れてしまいそうなほど華奢な体で。


 こちらを見てくる。頭に? を浮かべている。可愛い。チー(ト)ハー(レム)物ならハーレム要員第一号だろう。


 それにしても水着可愛いな。俺が押しに押して着てもらったが似合うなぁ。こう、マイクロビキニでもよかった気はするけど、紐は正義よな。





「可愛いね」


「ふぇ!?」





 タコをポロッと落として顔を赤くする。ぐぅかわ。

二話前「なんで死ぬんやろうね」


一話前「よく分からないね」


今回「謎は全ては解けないよね」


要するに何も進んでないです。ごめんなさい。


昨日の昼間に事故って左手を負傷しました。だめかも。

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