表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/100

初めての街

1話目

「……痛い」


 右半身に走る痛みで彼は起き上がった。

 真夏の代名詞とも言える鋭い日差しはなくなり、空を占める雲が9割を超えていた。この天候は気象庁の規定によると、確か曇りだ。

 コンクリートではなく、岩と砂が入り交じる荒野と呼ぶに相応しい地面。それは硬く、本物であることを教えていた。


「いや…いやいやいや、教えてる場合じゃないでしょ。どこだここ」


 さっきまで何をしていたのか。どうなったのか。


「少女を颯爽とイケメンの如く助けて……何かに、恐らくトラックに轢かれて……」


 生きてる。助けられた? だとしたら患者を荒野に野ざらしにする病院は怒られるべきだが。たぶんそうではない。


「異世界転生しちゃったかなぁ……」


 元居た世界では無い、どこか。異なる世界。

 トラックにぶつかって生きていられるほど、自分の体は頑丈じゃ無かったはずだ。タンパク質が主成分だったはずだ。きっと、恐らく。

 テンパっているせいで、自分は非人間説を唱えてしまっている。落ち着け自分。


「難しいことを考えたところで、すぐに答えが出る訳でもないし、とりあえず」


 定番である街探しだ。ぐるっと周りを見渡す。

 すると、後ろに巨大な崖がそびえ立っていた。


「高いな。ビルくらいはあるだろ」


 ひとまずソレに向かって歩き出す。

 周りには赤黒い地面が続くばかりだ。右手には小さいが木々が生えていて森の様になっているが、それくらいしかない。周りを見渡(みわた)しながら歩いていると、崖に一層近づいていた。

 黄土色の土だ。岩と言うよりは粘土を塗り固めて作ってあるように見える。


 崖の中から人の声が聞こえる。


 崖じゃ無く、もしかして大きな壁か?

 壁らしきものに沿()って歩いていると、扉のようなものが見えてきた。

 そこには二人、おそらくだが門番がいた。


 異世界に転生して初めての生物との会合(かいごう)となる。

 中世西洋の甲冑を着用し、手には背の丈よりも少し長めの2mほどの槍を持っていた。


「ヒューマン?」

「見たことない格好だぞ」

「怪しい?」

「怪しい怪しい」

「死刑?」


 何やら恐ろしい事を話し合っているが、両手を上げながら話しかける。無抵抗アピール大事。マジガンジー、略して卍。


「旅人なのですが、道に迷ってしまい。この……街? に入れないでしょうか?」


 門番は顔を見合わせ話し始める。


「旅人?」

「ここに?」

「怪しくない?」

「死刑?」

「困ってる風だけど……」

「「うーん……」」


 やたらと俺の命を取りたがるが、もう一押し。


「ここ二日何も食べてないのです……せめて食べ物だけでもでも……」


 門番二人は顔を見合わせてアイコンタクトを取る。ちゃんと通じてる? それ。


「「ようこそ旅人さん! 最果ての街へ!」」

「は? 最果て?」

読んでくださった方はありがとうございました。


異世界で弱すぎたらどうなるのかなぁ、とか、経験値とかステータスとかの概念を真剣に考えた結果生まれた作品です。

頑張ります。たぶん。きっと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ