夏か!?水着だ!クラーケンだ!!
十八話
ガウルが泣き止むまで待ち、少し話をした。
「すまんなこんな長々と」
「いや。話してくれて嬉しかった」
いつもの人なつっこい笑みを浮かべるガウル。
「さぁ。嬢ちゃんのところに戻りな」
「うん。また明日」
「おう。あ、そういえば明日はワシ暇だから兄ちゃんについて行くぞ」
「そりゃ嬉しいよ」
空を見上げながら、ゆっくりと宿屋へと戻った。深夜にも関わらず、ルルは起きていた。
「なんで寝てなかったのさ」
「なんとなく。寝ていてはいけない気がして」
「そっか。ガウルの所に行っていたよ。少し話をしてきた」
「どんな話ですか?」
ルルにも話をした。
「……なるほど」
難しい顔をしながら頷いている。
「その話の大半は知っていました。ガウルさんのお父さんに関しては、私の種族の責任です。明日謝りに行ってきます」
「いやガウルは別に」
「いえ。私もお世話になっていますから」
「そっか」
優しいというか真面目というか。
話をしながら、ルルと一緒に布団に入る。
「私も何も話していませんね」
困った感じの笑顔を浮かべていた。
「いいよ。ゆっくりで」
その一言に安心したのか、ルルの瞼が重くなっていく。
「いつか……必ず……ガウルさんにも……」
やはりルルは優しい子だ。
ガウルの話は衝撃的だったが、俺の話もガウルにとっては衝撃的だっただろう。
お互いに信用を失うかもしれない話をして、受け入れて。俺だけが思ってるのかもしれないが、少し絆が深まった気がする。
そんなガウルが明日は時間が空いているという。ルルも連れてどこか一緒に行きたいな……
どこか……良い場所は……
ゆったりと暗くて暖かい海に、沈んでゆく。
今日は何の夢も見なかった。
朝の日差しで目が覚める。目を開けるとそこには。天使のような寝顔のルルが目の前にいた。規則正しい寝息と共に、可愛らしい唇が開いたり閉じたりしている。
見とれいてはいけない。ルルを起こさないように布団から出る。ノイマーに助言を求めに行こう。こんな俺でもみんなの役に立てる方法を。
風がまだ少し寒いが、朝特有の空気の香りがする。昨日歩いた道を、周りを観察しながら目的地である屋敷へと向かう。
左手に細道が見える。お参りしておこうか。
歩いて行くと、墓の前にノイマーがいた。こちらに気が付いた。
「やぁやぁ昨日ぶり。早速困ったことでもあったのかい?」
頼もしい笑顔だ。
「助言を少し。後、昨日の夜、ガウルの話も聞いた。その結果質問があるんだ」
「ほう? 良いよ良いよ。なんでもどうぞ」
「ノイマーの親友も、ガウルの親も。この世界では死者蘇生の概念が存在するのに。何故死んでしまったのかっていう」
「あぁ。それはだね。戦争後にね、魔道師が死者蘇生の流れを生み出したのさ」
「魔道師が?」
「そうそう。魔道師が」
「仕組みは?」
「さぁ? 魔法の類いだとは思ってるんだけどね」
「仕組みの分からないものを頼っているのか……」
「最初はみんな疑心暗鬼だったんだけどね。大丈夫なことが証明されていくうちに、あんまり気にしなくなっていったのさ」
なっていったのさって……
「そ、そうですか」
「そうなんですよ」
もっとこう、輪廻転生の考え方を聞きたかった。ルルに聞いてみても良いかもしれない。
「そして助言の方は?」
「えっと……最底辺ステータスの俺でもなにかできることはないかな」
「ふむ……そうだねぇ……海に行ってみるのはどうだい?」
「海? 何故?」
「魚取りは、戦闘ほどではないが経験を積める。体の動かしかたとかね。でも経験値は入らないからレベルは上がらない。信用してもらって良いよ」
「なるほど。体の動かしかたか」
「非戦闘時では味方の足は引っ張らなくなるからね。ダンジョンで荷物役として重宝されると思うよ」
「なるほどね。お金を稼ぐことを考えると大事だな」
「あとこれが一番大事なんだけどね?」
「うん?」
「海では水着だよ」
「それはもう行くしかねぇ!!」
ガウルが赤い海パン。男らしい。
ピギョォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
ルルは青色のタイサイドビキニ。可愛い。
ギョルェェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!
俺は黒と青の海パン。普通。
そして、海を目の前にして絶望していた。
ブルォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!
目の前の巨大すぎるタコが叫んでいた。
「今日の昼飯はタコの唐揚げぞ!!」
今日も異世界は平和です。
ルルの水着で一話使いたい




