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異世界でレベルアップしたら全ステータスが0になりました。  作者: シラクサ
第二章 魔法の存在
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全ての始まりを話そうか。今ようやく。

十五話目

「これはこれは……驚いた。これほどステータスが低いヒューマンがいたとは」


 俺のカードを見ながらブツブツ何か言っている。やはり低いか。まぁそうだよな。


「これはカードを作ったときから? そして君は本当に"ヒューマン"か?」


「作ったときからですけど。本当にってどういう意味の?」


 本当にも何も、カードは嘘をつかないとあなたが言っていたじゃないか。と言いそうになってしまった。


「カードは魔道師が作っている。だが、完全に君の情報が反映されているとは僕は考えていない。隠れステータスがあると思っているからね。」


「なるほど。俺は……」


 転生者で、この世界にイレギュラーな存在としてやってきた。だからかもしれない。なんて言って良いのだろうか。分からない。分からないが、言わなければ何も進まないだろう。


「君は?」


 俺が語りづらいと察してくれたのだろうか。優しい笑みを浮かべながらこちらを見てきた。


「あなたは頭が切れる人だと思って話します」


「光栄な話だね」


「俺は、転生者なんです。こことは違う世界で、一度死にました。そして気がついたらここにいた。この世界にいたんです」


 すべての始まりのあの日のことを思い出しながら、俺はノイマーに話し始めた。




 8月の頭、カーテンを突き抜け、クーラーで冷やした部屋の気温すら上げるほどに日差しが強い日、俺は4年ぶりに家を出た。


 昼間から外に出た理由は何かがあったわけではない。引きこもりになった原因を思い出しながら、頬の横を流れる汗を感じていた。


 小学から中学に上がり、親しい友達もいたはずなのに、気がついたら一人だった。友達もできないまま一学期を過ごした。気が弱いと思われたのか、夏休みを前にして変な輩に絡まれるようになった。


 金やら煙草やら酒やら薬やら。使うことを強いられることはなかったが、足役として重宝された。


 夏休み中盤、警察に捕まり、俺も前科持ちとなった。共犯扱いになるらしい。親に泣かれた。特に母親に。


 外に出れば変な目で見られる。仕方ないよな。反対の立場だったら俺でも変な目で見る。


 外に出なくなったのは必然だろう。


 そうして俺は外に一切出ない、引きこもりになった。原因も立ち上がらなかったのも俺自身だ。


 考え事をしながら歩いていると、家からだいぶ離れていた。思っていたよりも街の様々な所が変わっていた。知らない建物が増えていて、知っている建物や場所がなくなっていた。


 自分だけが取り残されていた。そう感じた。


 帰ろう。もういい。気分が悪くなってきた。人の目線が恐ろしい。そんなことはないはずなのに、自分を見る目が犯罪者を見る時のそれに感じる。


 赤信号だ。イライラする。気持ちに余裕が持てない。


 ふと目を上げる。道路を挟んだ先に女子中学生がいる。俺が通学していた学校の制服だ。忘れもしない。


「なんでこんな昼間からいるんだよ……」


 周りに聞こえない程度にボソボソ独り言を言う。


 彼女は下を向いている。右手のスマホに夢中な様子だ。


 昨今、少年少女がインターネットによる被害が増大しているというのに。こんな時間からぶらついているような不良に、持たせてはいけない道具ランキング一位だろう。いや、どの口が言ってるんだろうな。


 目線を下に下げる。顎から汗がしたたり落ちる。目をつむる。周りの音が大きくなる。電子音が鳴る。青信号の合図だ。歩き出す音が聞こえる。


 顔を上げ、目を開ける。車道を見ながら叫んでいる人がいる。声は聞こえないのに、スリップ音は聞こえる。


 目の前では先ほどの少女がようやく顔を上げた。


 俺は走り出していた。


 少女が目を見開く。


 近いのだろうか。


 走る。


 間に合え。


 手を伸ばす。


 少女の肩を押す。


 目がこちらを向く。


 絶望と衝撃と困惑と。


 そんな目をしている。


 押し飛ばす。


 少女の手がこちらへと伸びてくる。


 それを視認すると同時に、右側から衝撃を受けた。


 吹っ飛ばされる。


 地面に、二度三度打ち付けられる。


 呼吸ができない。


 口から温かい何かがこぼれた。


 死ぬのだろうか。


 こんな俺でも、最後は、役に立てたのだろうか。


 意識が朦朧としてくる。


 彼女は無事だろうか。


 母親は泣くだろうか。


 申し訳ないなぁ。


 両親へ。親不孝者ですが、許してください。


 途切れゆく思考の中で涙を流しながら謝っていた。涙は痛みによるモノか、申し訳なさによるモノか。





 これが俺が覚えているあの日のことだ。包み隠さず、全てを話した。ノイマーは目を閉じて聞いていた。


 ゆっくりと目を開くと、一言。


「突拍子のない話だが、全て信じるとしよう。だが分からないことがある。君の話を聞いた限りでは、その女の子を助ける道理なんて無かったんじゃないのかい?」


「うん。まぁ、そうなんだけどね。なぜかは俺にも分かんないや」


「ふーん」





「下心か」


「ふざけんな」

書きたかったところを書けました


いちゃラブやチートものになるにはもう少し時間がかかりそうです

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