旅先は鍛冶の街・オルトゥ
十二話目
「揺れますねぇ〜」
「なぁにまだまだ旅は始まったばかり!」
「ケツいてぇ」
最果ての街を出てから、ガウルとルルはお互いの自己紹介をした。昼飯休憩を挟み、次の目的地であり、ガウルの故郷でもあるオルトゥの話を聞いた。
「最果ての街よか人は多いが、人種は少ない。ヒューマン、そして嬢ちゃんみたいなデミヒューマン。そして大半はワシら巨人族! とは言っても亜巨人だがな」
亜巨人族っていうのが、前言っていた小さめの巨人族のことだ。
大男ばっかりとか、絶対良い人達ばっかの街だな。酒場でケルト音楽とか流れてそう。
「そこには鍛冶師ばっか住んでるんだ。街自体がめちゃめちゃデカいわけじゃないんだが、周りを海、山、森に囲まれててな。探険者御用達の街なんだよ」
敵と戦えば、武器も防具も傷がつく。それを直したり強くしたりする人達が鍛冶師というわけだ。
ガウルは最果ての街で、鍛冶用の素材を買い込むついでにバカンスだったらしい。俺に付き合わせてしまって申し訳なかった。素材を買ったということは、ガウルも鍛冶師なのだろう。その腕前を見せて欲しいものだ。
次にルル。俺の泊まっている宿を見つけ、主人に話を聞いて馬車まで走ってきたらしい。行動力の塊だ。
オルトゥでは、先程も言ったが、周りは戦闘場所ばかりなので、レベルアップと魔法の腕を磨くのにはもってこいな場所だ。行き先を俺すら知らなかったのに、たまたまではあるがルルにとってもいい場所になりそうだ。
鍛冶というと金属を扱っているイメージがあるが、ガウルの話を聞くと布系の防具を作っている場所もあるらしい。魔法使いや金属系の防具をつけない冒険者用なのだとか。
そして最後に俺の目的である、学者に話を聞くことだ。ステータスについて研究しているらしいが、俺はどういう部類になるんだろうな。データにない最弱のヒューマンとかかね。やだね。
馬車に乗ってからもあれこれ考えてはみたものの、自分では結論が一切出なかったので、会うまでは気楽に行くことにした。
日が傾き始めた頃、遠くからでも分かるくらい明るく光る壁が見えてきた。夜は外壁が光るのか。原理はなんだろうな。
「懐かしの故郷! ワシの熱き魂が震えるわい!」
「わぁ〜! 大きな街ですねっ! ねっ!!」
二人ともテンションが高い。
近づくにつれ、壁の明かりが何なのか見えてきた。通気のために空いている穴から、鍛冶の光が盛れているのだ。流石鍛冶の街。熱いぜ。
馬車が入口へと到着した。門番は居ないが、門がでかい。城の門か? っていうくらいデカい。
ギギギッと音を立てつつゆっくりと扉が開く。そしてその奥には………門だ。
一つ目の門が開くと、二つ目の門との間に馬車二つ分ほどの空間があった。そこで荷物の検査や中身の確認などを行うらしい。
人しか乗っていないので、すぐに二つ目の門が開いた。
鉄を打つ音が聞こえる。四方八方から。笑い声や怒った声、張った声に雄叫びが聞こえる。これも四方八方から。様々な音が入り交じり気持ちを高揚させる。
山の側面を人が住める形に設計した街なので、門から進むと上り坂になっている。奥に行けば行くほど上へ上へと進むので、店の正面が門側になっている場所の全てから鍛冶の光が押し寄せてくる。
音と光で圧倒され、言葉を失っていると、ガウルに背中を叩かれた。
「ようこそ鍛冶師の街オルトゥへ! ここは世界一熱い街だ!!」
「んふぇっ」
叩かれた衝撃と高揚感で変な声が出た。
どうやら俺もテンションが上がってたらしい。
移動だけで一話使ってしまった。
次こそ学者と出会い、ステータスの謎を解きます。




