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異界のレベルアップで運のステータスが0になりました。

十話目

「う、嘘だろ…?」


 食っちゃ寝生活でもステータスは上がると仮説を立てていた。

 しかし、戦ってみたい。男の(さが)だ。だから戦って、勝った。その結果がこれだと? 異世界チートハーレム。略して異世界チーハーの夢は完全についえたのか?

 この世界にない技術を持ち込むか? 前の世界の文明の産業物の原理など、中学生レベルでしか覚えてないぞ。ど、どうする……


「だ、大丈夫ですか?」


 落ち込んでいる俺の顔を覗き込んでいる。心配してくれているようだ。可愛い子に心配させる訳にはいかないな。


「大丈夫。ちょっと驚いただけだから」


 落ち込むことなんて後でいくらでもできる。別に今じゃなくていい。


「君が戦えるように補助するよ。君もやってみよう?」


「あ、は、はい!」


 装備を外す。見た目はモコモコだが、中身は金属なので結構重い。今日はもう戦闘しないから良いだろう。

 ルルが敵を倒せないのは、ステータスではなく気持ちの問題だ。少し後押ししてあげられれば、すぐに強くなるだろう。


「よし、じゃあ……あのスライムを倒そう」


 少し遠目にいるスライムを指さす。

 ルルがコクリと頷く。スライムの方へと歩いてゆく。

 ルルが、服の間から杖を取り出す。体の半分ほどある杖だ。赤く綺麗に光る大きめの宝石が先端に付いた木製の、いかにもなやつ。右手で杖の真ん中を持ち、ゆっくり前に構える。左手は広げて真っ直ぐ前に伸ばし、杖の横で静止させる。

 口を開いて可愛らしい声でゆっくり、ハキハキと、呪文を唱え始める。


「紅き精霊の加護をこの杖に。全てを灰へと化す力を今ここに具現化したまえ。燃やし尽くせ! フェニクス!」


 え? フェニックス? 不死鳥?


 ゴオオオオ以外に表現しようのない力強い音とともに、1mはある炎の塊がルルの杖の先に現れ、スライムへと飛んで行く。

 飛んで行く間、ゆっくりと鳥の形へと変形し、スライムを飲み込んだ。スライムが炎を吸収しているように見える。吸収され終わると、スライムの体色が青から赤へと変わっていた。失敗か? と思っていると、スライムの大きさが何倍にも膨れ上がり、内側から破裂し、炎上する。5mはあろうかという火球になり、収縮して消えていった。

 肌が焼けるかのような熱さと、魔法というものの凄さを体感する。

 振り返ると、ルルと目が合う。目がキラキラしてる。


「や、やりましたー!!!!」

「お、おめでとう」

「ありがとうございます! 初めて倒せました! やっりっまっしったっ!!」

 

 ピョンピョン()ねてる。可愛いなぁ。

 それにしても魔法か。前世では空想的なものだったが、さすが異世界。カッコいいなぁ。


「わぁっ!?」


 ルルの方を見ると青い光が吸い込まれていくのが見えた。


「レベルアップしました!!」


 良かったねー。


「まだまだ倒してきます!」


 さて、ルルが魔法を夢中で撃っている間に考えをまとめよう。

 レベルが上がるとステータスは上がる。当然の原理だな。しかし、それが適用されないということは、原理から外れている。イレギュラー? 異世界に来るってだけでイレギュラーだが。

 分からないことが多すぎるが、少なくとももうレベルは上げない方がいいな。他のステータスまで下がっちゃどうしようもない。

 ん? 何か忘れているような……大事な……


「あっ! ルル! もうスライムを倒すな! 俺が!」


 心臓が強く、ドクンと鳴る。

 急いでカードを確認する。発光している。更新だ。上がればいいのだが。




 Name:シロ

 Lv:3

 HP:5

 ATK:2

 DEF:2

 AGI:2

 LUK:0




 LUK、ラック、運、と呼ばれるもの。日常の行動から、致命的な攻撃まで。運で左右される部分も少なくはない。その、その運が。


0(ゼロ)ってなんだよ!!!」


 ルルが駆け寄ってくる足音が聞こえる。


「ど、どうしました?」


 心配そうな顔をしている。ルルは悪くない。パーティーを解散してから、と一言声をかければよかっただけの話だ。俺の失態だ。


「ルル。じゃんけんって知ってるか?」

「ぐーちょきぱーのですか?」

「そうそう、やろうぜ」

「え、あ、はい」

「「最初はグー。じゃんけん」」


 勝った。勝利だ。栄光だ。架け橋だ。でもなんでだ? じゃんけんで縛りを入れなければ運以外で勝つ方法なんて……


「ルル! 俺がスライムに蹴りを入れてから、もう一回じゃんけんするぞ!」


 一気に走り出す。そして足を振り上げ、もにゅんという音を立てながらスライムを蹴る。そしてルルの方に向き直し、じゃんけんをする。


「「最初はグー! じゃんけん!」」


 負け。もう一度。


「「最初はグー! じゃんけん!」」


 負けた。もう一度。負けた。もう一度。負けた。負けた負けた負けた負けた…………

 20連敗ほどした。ほぼ確証を持っていいだろう。戦闘時、俺は運が全くない。全くと言っていいほど、ではない。全くだ。


「なんで神は俺をこんなに嫌っているんモゴォ!?」


 スライムが……しまった……装備も外……して……


「おぉ、神よ。彼の者に再び立ち上がる勇気と立ち上がる力を!」


 異界のレベルアップで運のステータスが0になりました。

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