1/100
プロローグ
さぁさぁ御立会い。
これから語られるは奇想天外、奇妙奇天烈にして、どこにでもある不思議なお話。
何から話すか、何を話すか、何で締めくくるか。そんなものは御愛嬌。
事の始まりは、ある青年が4年ぶりに家を出たところからで、御座います。
彼は怖いほどに白い肌を、真夏の日差しがゆっくり焼いていく中、ある少女に目を惹かれていたので、御座います。
何があるわけでもない彼女に、何故目を奪われていたのか、今となっては、誰にも分かりはしません。
おおっと、物語が始まってしまう前に伝えることが一つ。
彼は正義の味方でも何でも無かった、それだけは忘れないで頂きたい。
物語の始まりは、とある事故から。
青信号。
渡り出す。
重低音。
悲鳴。
甲高い音。
走り出す。
手を伸ばす。
間に合う。
弾かれるような感覚、焼けるような痛み。
それらを感じると同時に、彼はここではない何処かへと連れ去られて行きました。
"普通"という枠から外されて。
それでは。
お楽しみ下さいませ。