協調と独善
お待たせしました!週一ペースは無理そうなので、ゆっくり続きを書いていきます。
授業の内容を全く聞いてなかった。原因は話が簡単過ぎたからだ。おかげで途中から眠くなり、暇つぶしに新しいイタズラのアイデアを練っていた。
午後の二時間目、つまり最後の授業の中間ぐらいの時間にムイナから念話が来た。
『レグル?ムイナだけど・・・チームって何?』
『ムイナ?念話ができるのか?チームは仲間とか家族みたいなもんだけど・・・どうした?』
『所属チームを聞かれた』
『あ~、一応フレイムエッグって言っておけ』
『一応?』
『まぁ、とりあえずな』
『わかった』
正確には町中での暮らしや、外での狩りが便利になるように相互支援を目的とした集まりを規模に応じてグループやチームと呼んでいるだけなのでムイナが違うチームに入りたいのなら入ってもいいが、一応今は影響力の大きいフレイムエッグを名乗らせておく。厄介なのに絡まれる危険を減らす為だ。この世界のルールの条件が整えばその限りでは無いが・・・・・・。
余計な事を考えているうちに授業終了の鐘が鳴った。結局授業を全く聞いてなかった。どのみち内容も簡単だし、もう授業を受ける必要性を感じないのだが・・・・・・。
◆◆◆◆◆
放課後になったので生徒会室に行こうとすると、午前中の出来事と午後最初の休み時間に余り周りに群がらないで欲しいと俺が言ったのに遠慮して、皆が近付くのを控えているのにも構わず話し掛けて来た奴がいた。
「なぁなぁ、今からどこ行くの?どうせなら歓迎会でもやろうと思うんだけど」
チャラい、とにかくチャラいがこの状況でこうやって話し掛けて来るなんて、よっぽど根の良い奴かよっぽど空気の読めない馬鹿なんだろう。しかし、・・・・・・・・・・・・とにかくチャラチャラしている。今の話し掛け方、何かナンパっぽかった。取りあえずその赤茶色の髪が変な風に跳ねている事を教えるべきかどうかでレグルは悩む。
「ふむ、一応計画だけは聞いてやる。場所はどこでやる?」
「先生に許可を貰って教室でやろうと思う」
「どんな人が何人くらい来る?どうやって集まる?」
「クラスメートには全員声を掛ける積もりだから、そいつらはほぼ全員。後は他のクラスの奴も勝手に話を聞きつけて来たい奴が来るよ。先生も手が空いている人が何人か来ると思うよ」
「何時くらいに始める?」
「う~ん、酉の刻に皆で集まってパーティーかな。食事も参加者が一品ずつ持ち寄れば相当な種類が揃うだろうし」
意外としっかりとした計画らしく、見た目との違いにレグルは軽く驚いた。
「そうか、なかなか良いアイデアだ。面白そうだな」
「だろ~今日授業中に一生懸命考えたんだ」
(いや、勉強しろよ。まぁ俺も人のこと言えないかな)
ひとしきり誉めて持ち上げ、調子に乗せた後落とす。
「本当に凄いよ、流石だなぁ・・・・・・・・・・・・まぁ俺は行かないけど」
「いやぁ、それほどでも・・・・・・へ?・・・・・・えっと、え~~~!!!」
反応が良い。こいつは弄られキャラの素質があるな。乗り気に見せて会話を誘導し、最後に否定して突き落とす。相手の驚いた反応が面白いが相手を選ぶからかいかただ。人によってはいつまでも根に持ったり、何故か怒り出したりするからな。
「面白そうだって言ったじゃないか!!」
それとこれとは話が違う。取りあえずレグルはその男の両肩にゆっくりと手を置き、目を合わせると今更な事を聞く。
「なあ、まず俺、お前の名前を知らないんだが」
「あっ!!すまない、俺はライン・フォト・ガルバス、ガルバス家の長男だ。ラインと気軽に呼び捨ててくれ」
「分かった。じゃあ早速だがライン、俺はこの後用事があるので失礼する」
「えっ!?あぁ、分かった・・・・・・・・・・・・?」
横を通り過ぎるときに軽く肩を叩いて別れる。・・・・・・さて、いつはぐらかされたと気付くかな?
生徒会室に行くとまだ誰も来ていないようだった。やることも無いので暇しながら一番豪華なディアの椅子に座って寝て待つことにした。しばらくうとうとと微睡んでいるとドアが開いて一人の女が入って来た。
「貴様!!ここで何をしている。その席はディアノウス様の席だ、勝手に座っているんじゃない!!」
黒い長髪、鋭い目つきのいかにもエリートっぽい女は俺を見て怒鳴りつける。副会長の腕章を付けているので生徒会の人間だろう。いきなり怒鳴りつけてくるその態度は気に入らんが、今後のことも考えると仲良くしておくべきかな。
「失礼、私の名はレグルです。今日はディアに招かれて「黙れ!!貴様ごときの穢らわしい平民の分際でディアノウス様の名を馴れ馴れしく呼ぶな」
嗚呼、こいつ差別主義者だ。絶対仲良くなれんな、態度がすげームカつく。どうやら女はレグルが名前だけしか名乗らなかった為、苗字を持たない平民だと勘違いしたらしい。確かに貴族なら苗字があるし、上位貴族なら二つも苗字が付くからそこで見分けるのが一番簡単だが、勘違いも甚だしい。ムカつくので馬鹿にして侮辱すると戦闘になりかけた。そこへ丁度ディアがやって来た。
「悪いなディア、俺今日はもう帰るわ、そこの女のせいで気分が悪りー」
「貴様!!無礼だと言ってるだろう!平民風情がディアノウス様に馴れ馴れしくするな!!」
うぜー、超うぜー。仕返しにプープークッションを奴のいすにのせてきた・・・・・・本当は他の悪戯で利用するつもりだったが、まあいいか。
肩を怒らせて歩いていると、正門でリリアが待っていた。この後一緒に第三区へ買い物に行こうと誘われたが断った。せっかく誘ってくれたのに悪いなと思い、お詫びとして今度何でもお願いを一つ聞くと約束した。
何でもですね!と念を押してにやけたリリア・・・・・・・・・・・・はやまったかも。
二章完結!!