祖父(極道)、父(元極道)、婿(予定)←今ココ
「今月のお題は南極点到達の日にちなんで、『極』です」 12月14日、目にした1件のリツイート。そこから生まれたツイートノベル連作。140文字の遊び心をまとめときます。暇つぶしにどうぞ。ツイートノベル初挑戦なので期待しないでくださ・・・・・・!
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「手前、縁もちまして妻に所望いたしますは○○家ご息女」
青年は跪いて娘の名を告ぐ。
「手前いたって不調法、しがない駆け出しもんにございますが、どうかお取立ての程お願い申し上げますっ!」
「昔気質の見上げた度胸だ。小指出しなァ・・・」
「親分落ち着いてぇぇ!」
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「お祖父さん」
師走の駅は人で溢れているのに、初めて会う孫は儂の手を選んだ。
何故分かった? 駆け落ちした娘が儂の写真を持って行ったはずもない。
「小指が父と同じです。母が赤い糸で引っ張りすぎちゃったんだ、と教わりました」
極道泣かすたァいい度胸だ。
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彼女の祖父は極道だ。
式への出席をためらう老人の説得に彼女は成功した。
「泣いて喜んでくれた。すぐ分かったよ? 昔、パパが剥がしまくってた指名手配犯ポスターの人だったから」
俺が式をためらいたい。手首を捕捉された。
「で、あたしに指名手配された気分はどう?」
極楽です。
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「君が来ると聞いて包丁を研いだよ」
彼女宅初訪問の日、元極道の義父(今日から予定)は笑顔でフグをさばいてくれた。
「フグ調理師免許? 持ってるよ。知識と実践は別だけどね。交際と結婚が別なのと似てるよね・・・」
「究極の選択ですね・・・」
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娘が家に連れてきた男は、元極道がさばいたフグを悠然と平らげた。
「娘のためか」
「俺のためです。好きな子のために命を懸けたパパみたいな人なら結婚してあげる、と言われたので」
義理の息子(今決定)は人を動かす極意を知っているかもしれない。
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彼女の祖父は極道だ。
「ソバ打ちが趣味なんて、フツーのお爺ちゃんでしょ? 直々に打ってくれるらしいから行かない?」
と彼女に誘われ一緒に出向いた。
彼女の祖父は腕をまくり、怪我だらけのコワモテ集団を仲裁していた。
「あ、手打ちってそっち?」
彼女のそばだけで満足しとこう。
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彼女の祖父は極道で、彼女の父は元舎弟だ。
「若い頃、極貧でも舎弟にお年玉を下さってね。ありがたくて使えなかったが」
義父(予定)はお年弾(現物支給)をゴトリとテーブルへ置いた。
「ありがたく使わせてもらえそうだ」
義理の息子(未遂)のタマを現物徴収?
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彼女の祖父は極道で、彼女の父は元舎弟。
義父(予定)が義祖父(予定)からもらったお年弾(現物支給)を手に凄味のある笑みを浮かべている。
「だめだよパパ、彼のタマはあたしの手中にあるの」
お父さんの前で下ネタ言っていいの?
「3つともね、くふふ」
彼女はたまに刺激的。
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彼女の祖父は極道だ。
義母(予定)にクリスマスの思い出を聞いた。
「父は日頃からサンタの練習をしてたわ」
意外にもイベントにノリノリだったらしい。
「煙突なんてないから、換気ダクトで。服役中にもプレゼント置きに来たわねぇ」
囚人服のサンタはパトカーで帰ったそうだ
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彼女の父は元極道。
お笑い好きと聞きつけ、式の余興に芸人を呼ぼうと考えた。
「整いました!」
披露予定のネタを聞く。
「極道とかけまして、演歌歌手とときます」
その心は?
「こぶしで人を泣かせます!」
クビにした。
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彼女の父は元極道。
お笑い好きと聞きつけ、式の余興に芸人を呼ぼうと考えた。
「整いました!」
披露予定のネタを聞く。
「極道とかけまして、頼りになる神様とときます」
おぉいいね、喜ばれそう。その心は?
「お礼参りが有効です」
クビにした。
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彼女の父は元極道。
お笑い好きと聞きつけ、式の余興に芸人を呼ぼうと考えた。
「整いました!」
披露予定のネタを聞く。
「極道とかけまして、婚活とときます」
彼女の独身の友人に受けるかもね。その心は?
「縁故がなくてシノギを削ります」
クビにした。
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彼女の父は元極道。
お笑い好きと聞きつけ、式の余興に芸人を呼ぼうと考えた。
「整いました!」
披露予定のネタを聞く。
「極道とかけまして、小銭の無い店とときます。その心は」
「サツが来ると困ります?」
芸人は黙って帰っていった。
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彼女の父は元極道。
極道から足を洗う時、キックボクシングの達人だった義父(予定)に義母(予定)は寸止めの過酷な修行を課したそうだ。
「当時の写真よ」
必死の形相で足を洗う男の脇には潰れたゴキブリが落ちていた
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彼女の祖父は極道だ。彼女の父は元舎弟。親分の愛娘との結婚時、極道から足を洗ったそうだ。
でも家族で海水浴や温泉に行けないと彼女は寂しそうに笑う。極道をやめても彫り物は消えない。
俺は家族風呂のある温泉宿を奮発した。
「わーママも温泉入れるよ!」
えっ彫り物があるのって。
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彼女の父は元極道。
家族での温泉経験がない彼女に、家族風呂付き宿を奮発した。
義父(予定)はご機嫌だ。
「予約を減らさないと。君はまだ家族じゃないからね・・・・・・」
「パパ、その理論だと結婚後のあたしとは家族風呂入れないよ」
貸切風呂と言い直すまで家族会議は白熱した
お題の日が過ぎても一人ひそかに継続中。増えたらコッソリ追加します。




