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囁かれた風 ―― 橋

二日目の旅は、香りの交響曲とともに始まった。湿った草のほのかに甘酸っぱい匂い、掘り返されたばかりの土の濃い香り、そして薪の煙と焼きたてのパンの紛れもない気配。馬車は一定の揺れで進み、その単調なリズムは魂を包み込む子守歌のようだった。昨夜アーサーに叱責されてから、ブリアナが「これ以上はだめ」と言いながらもかろうじて許してくれている最小限の隙間から、俺は外の世界を眺めていた。入り込む風は遠くの声、鶏の鳴き声、犬の吠える声、そして生活の匂いを運んでくる。村が近い証拠だった。


だが、突然そのリズムが途切れた。馬車は減速し、揺れが変わる。重く、鈍く、やがて軋みながら引きずるように進み出す。


「どうして止まるんだろう……」

俺は不安に胸をざわつかせながら呟いた。隠密が最優先だ。予定外の停止は、すなわち危険を意味する。


「きっと道に何かあるんです」

ブリアナは膝の上の杖を震える手で抱え直しながら答えた。目に見えて緊張している。風の神童でも、恐怖は彼女を軽い羽のようにしてしまうらしい。


頭より先に体が動いた。隔離状態への苛立ちと、突然の停止に反応した工場仕込みの“技術者の勘”が俺を突き動かす。カーテンの隙間をさらに広げ、前方を覗き込んだ。


そこにあったのは単なる障害物ではなかった。幅広く、荒々しく、ほとんど野生のような川が怒涛の勢いで流れている。中央には、巨大な骸骨の露出した骨のように、橋の残骸が横たわっていた。流れにさらわれた木材が、濁った水面を漂う溺死者のように揺れている。岸辺では、鋼の壁――アーサー隊長が、汗と土にまみれた屈強な中年男と口論していた。絶望が川辺に重く漂っている。


好奇心が常識と叱責への恐怖を押しのけた。問題を理解しなければ気が済まない。


俺は馬車の扉を開けた。


「ゆ、勇者ア――いえ……だ、だめです!出ちゃ!」

ブリアナが杖を落としかけながらどもる。必死の囁きだ。最重要ルールを破っている自覚がある声。

「見られてはいけません!」


「フードをかぶってるよ」

さらに布を深く引き下ろし、胸元の短剣の重みを感じながら答える。

「顔は見えない。大丈夫」


彼女は手を伸ばし、懇願するように掌を開いた。

「で、でも……」


「落ち着いて。ちょっと様子を見るだけ。話もしない、約束する」


外へ降りた瞬間、ほとんど痛みを伴う静寂が訪れた。


朝の冷気と同時に、十数の疑いの視線が突き刺さる。まるで幽霊でも現れたかのようだ。干し草を積んだ荷車のそばにいた子供たちが、動きを止めてこちらを見つめる。


「ねえ、あのフードの人だれ?」

一人の少年が好奇心いっぱいに尋ねる。


「魔法使いじゃない?」

歯の抜けた笑みで別の少年が言う。少しの憧れが混じっている。


だが、一番小さな金髪の三つ編みの少女は、まるで死神を見たかのように青ざめていた。大きな青い瞳が恐怖で潤む。


「……こ、ころし屋……」


残りの二人が息を呑む。


「ころし屋!?」

悲鳴とともに駆け出し、川辺で洗濯をしていた女性のスカートにしがみつく。


女性は振り返り、子供たちの震える指が示す先――俺を見るや否や、顔色を失った。


「私の後ろに! 子供たち、後ろへ!」


俺は立ち止まり、フードの下で瞬きを二度する。

マジかよ。


アーサーが踵を返し、俺を見つけた。瞳は抑え込まれた怒りの残り火。


「……なぜ出てきた」

低く、苛立ちを含んだ声。無能な新兵に向ける将軍のそれだ。


彼の視線は俺を越えて、後ろから走ってきたブリアナへ向かう。


「と、止めました、隊長! で、でも……彼が……」


「俺は状況を見に来ただけだ」

できるだけ罪悪感を抑えて説明する。


アーサーと口論していた屈強な男が、俺をじっと見つめた。恐怖ではない。観察だ。


「その若者は?」

汗を腕で拭いながら尋ねる。


アーサーは顎を引き締める。

「私の管理下にある者だ。……ただの、旅人だ」


男はわずかに頷いたが、納得はしていないようだ。一歩前に出て手を差し出す。


「ルルベク・タンドラムだ。この村の長をしている」


その手は分厚く、労働に慣れた硬さを持っていた。


「アルヴェンです。ただの旅人です」

アーサーたちを親指で示す。


ルルベクの目が細まる。

「ただの旅人、ですか。魔術師と王国の兵士に護衛される旅人とは、ずいぶん高価ですね」


鋭い。論理が早い。


「まあ……事情はいろいろあって」

苦笑する。


だがアーサーが割って入った。


「詮索はそこまでだ、ルルベク。彼は馬車へ戻る。橋の問題に集中しろ」


ルルベクは両手を上げる。

「悪いな。ただ、道を通る者は把握しておきたいだけだ」


「それより……何が起きたんです?」

俺は橋の残骸を指した。

「怪我人は?」


「幸いにもいない。夜中に水位が上がってな。轟音で目が覚めたときには、半分は流されていた」


「よくあるんですか?」


彼は苦々しく笑う。

「九ヶ月から一年。もってもそのくらいだ。壊れれば、また作り直す。人手次第だが、数週間はかかる」


一年ももたない橋。


俺はフードの下で眉をひそめた。


資源の浪費だ。労力の無駄だ。

俺の世界では、こんな問題は何世紀も前に解決されている。


……そして、その瞬間。


俺の中の“技術者”が、目を覚ました。


アーサーは腕を組み、まるで激流そのもの、あるいは問題そのものを威圧しようとするかのように川を睨みつけていた。


「ならば川を迂回するしかない。順調にいっても二日は余分にかかる。遅延は容認できない」


ブリアナが前に出る。杖を握る手はあまりに強く、折れてしまいそうだった。


「わ、わたしが……風の魔法で試せます」

小さな声だが、震えの奥に決意がある。

「一度に全部は無理ですけど……馬車を一台ずつ、人も乗せたまま浮かせられます。み、皆さんの隊列も……。ま、魔力はかなり使いますけど、できます」


アーサーは即座に頷いた。遅延を嫌う気持ちが、露出の危険を上回ったのだ。


「それでいこう」


そして俺を振り向く。


「少年。馬車へ戻れ。関わるな」


俺は返事をしなかった。壊れた橋と、それを当然のように受け入れているルルベクの姿が、胸に刺さっていた。

これは、俺の“現代人”としての知識で解決できる問題だ。


そのまま川岸へ歩き出す。


「少年!」

アーサーの声が雷鳴のように響く。

「どこへ行くつもりだ!」


川辺の茂みのそばにしゃがみ込む。細くて真っ直ぐな乾いた枝が何本も落ちている。一本ずつ拾い上げた。


困惑した様子でルルベクが近づいてくる。


「何をしているんだ、若者?」


「ちょっと見せたいものがあって」


枝を並べる。二本を平行に置き、その上に一本を横切らせ、上下で噛ませて固定する。さらに二本を弧を描くように重ねる。

一本がもう一本を支え、絡み合う腕のように締め合う構造。


原理は、レオナルド・ダ・ヴィンチの自立橋。

あるいは俺の知る「セルフサポート式橋」。


アーサーが眉をひそめる。


「子供のままごとか? 我々は現実の問題に対処している。急げ、勇――」


言葉を飲み込む。ルルベクの前で“勇者”とは言いかけた。


川辺に重い沈黙が落ちる。


ルルベクの目が見開かれた。


「勇者?」


俺を見る視線が変わる。


「あなたは……予言の勇者の一人か?」


ため息をつく。秘密は崩れた。


「ええ。ですが、どうか内密に。今は……機密任務中です」


「もちろんです、勇者様。だからそのフードか。なるほど」


「はい」


作業に戻る。


完成した小さな模型から手を離す。

枝の構造は、そのまま自立して立っていた。


ルルベクがしゃがみ込む。


「……これ、自分で立っているのか?」


「そうです。自立式の橋です。部材同士が噛み合い、重みがかかるほど締まる。上からの力が摩擦を増やして、より安定する。釘も縄も不要。正しい組み合わせだけ」


彼は慎重に指で押す。枝は震えるが、崩れない。


「すごい……」


さらに力を込める。模型は耐えた。


ルルベクは思わず笑う。


「素晴らしい! だが……本物で試せるか?」


胸の奥で何かが灯る。

俺の居場所は、短剣でも外交でもない。

問題解決だ。


「できます。もっと太い木材が必要です。古い橋の梁は使えないので、あの細めの木を切りましょう。あれは密度が高そうです」


ルルベクが笑みを浮かべる。


「男たち! 斧を持て! あの木を何本か切るぞ!」


命令が飛ぶ。


その瞬間、鋼のような手が俺の腕を掴んだ。アーサーだ。


「今すぐ馬車へ戻れ」

低く、鋭い声。

「関わるなと言ったはずだ。橋一つより任務が優先だ」


俺は睨み返す。


「腕を引っ張らないでください。子供じゃない。教えるだけです。すぐ終わる」


「だめだ」

彼の目は氷のように冷たい。

「戻れ。今すぐに」


視線がぶつかる。

松明の勇者と、歩兵隊長。


「お、お二人とも、け、喧嘩は……!」

ブリアナが割って入る。

「隊長、少しだけ……試させてください。時間はかかりません」


アーサーは彼女を見る。そして再び俺を。


任務の遅延と、露出の危険を天秤にかけている。


数秒。だが永遠のように長い。


やがて、腕を離した。


「……いいだろう。終わり次第、即出発だ」


「了解」


ブリアナに小さく微笑む。彼女は頬を赤らめて目を逸らした。

彼女はただの天才魔術師ではない。

俺の理性への架け橋だ。


やがて伐採された細い丸太が運ばれてくる。

村人たちと協力し、より大きな構造を組み上げる。

丸太が弧を描き、交差し、一本が次を締める。巨大な木製パズル。


手作業は心を落ち着かせる。汗がフードの下を流れる。


やがて完成した。

幾何学と物理の芸術。


「……試すぞ」


ゆっくり片側から登る。

軋む音。

だが崩れない。


体重を乗せる。

橋はわずかに揺れたが、踏ん張る。


「落ちるぞ!」

子供の声。


落ちない。


ルルベクが目を見開く。


「信じられん……」


彼も隣に立つ。橋は唸るが耐える。


さっきまで逃げていた子供たちが、笑いながら駆け寄る。

まるで遊具のように橋に登る。


そして――


それでも、橋は立っていた。


三つ編みの小さな子が、目をきらきらさせて俺を見上げた。


「おじさん、これすっごくかっこいい! なんていうの?」


「自立式の橋だよ」俺は笑って答えた。


「ちがうちがう!」彼女も笑って首を振る。「名前じゃなくて……おじさんの名前!」


一瞬、理解が遅れた。

俺には名前がある。「勇者」でも「旅人」でもない名前が。


「ああ。俺の名前はアルヴェンだ」


「かっこいい! アルヴェンおじさん!」


気づけば、村人の半分は笑っていて、残りの半分は感心したようにざわめいていた。

そのときルルベクが、思わず叫びかける。


「これはすごい、我が親愛なる勇者――」


彼は途中で口を押さえた。遅すぎた。


「……勇者?」

誰かが小声で繰り返す。


周囲の労働者たちが、ほとんど同時に言った。


「勇者?」


全員の視線が俺に集まる。まるで伝説から抜け出した存在を見る目だ。

フードの下で汗がにじむ。秘密は、俺の失言じゃない。村長の驚きで漏れた。


アーサーを見る。彼は額を押さえ、首を横に振り、重くため息をついた。避けられない現実を受け入れた顔だった。


その後の三十分は、握手と礼の嵐になった。

ごつごつした手が次々と俺の手を掴む。俺は「大したことじゃないです」「皆さんの努力のお返しですよ」と言い続けながら、内心ではこう思っていた。

これ、昔YouTubeで一回見ただけなんだけど……。もし隊長が「千年の知恵」がSNSから来たと知ったら何て言うんだろう。まあ、そもそもそれが何かも知らないか。


ようやく息ができるようになった頃、俺はルルベクと話を再開した。今度は橋の上に立ったまま。


小枝を拾い、構造の要所を指し示す。


「これが基本です。でも、数年どころかもっと長持ちさせたいなら補強できます。主梁をもっと強い継ぎ手で繋ぐんです。例えば、ほぞと込み栓みたいに。そうすれば時間が経っても動きにくい」


別の箇所を指す。


「それと、ここに斜材を入れてください。ここにも。そうすれば風や動物の重みで橋が揺れにくくなる。こういう橋の最大の敵は横揺れと疲労です」


さらに基礎。


「あと、木を湿った地面に直接触れさせないこと。土台に大きな石を置く。そうすれば水を吸い上げにくくなって、毛細管現象で腐るのが遅くなる」


ルルベクは、俺が神々の秘儀を語っているかのように聞き入っていた。


「それを全部やれば……この橋はどれくらい持つ?」


俺は少し考えた。手入れの頻度と、この土地の木の質。


「きちんとやれば……今生きている全員より長く持ちます。たぶん千年。百年ごとの簡単なメンテさえすれば」


一帯が完全に静まり返った。川の音さえ小さくなった気がする。


「せ、千年……?」

ルルベクがほとんど声にならない声で繰り返す。


「はい。十分可能です。手間はかかるけど、できます」


ルルベクは二歩下がり、深く息を吸って笑った。大人がする笑顔じゃない。夢の玩具をもらった子供みたいな顔だ。


「若者……希望をくれた。毎年この呪われた橋で、何週間も人手も時間も奪われてきた。もし本当なら……」


「後は皆さん次第です」俺は両手を上げた。「俺は基本を教えただけ」


村人たちがまた集まり、抱擁、握手、祝福、幸運の言葉が降り注ぐ。


「神々の加護を、勇者アルヴェンに!」

ルルベクが十回目くらいの握手をしながら言う。

「英雄がこの大陸を救いに来ると、私はずっと信じていた。そしてあなたが……それを証明してくれた」


本当に嬉しかった。初めて、俺は「勇者がするべきこと」をした気がした。


アーサーは馬にまたがり、深く息を吐いた。明らかに苛立っているが、その冷たい表情は、ほんの少しだけ――嫌々ながらの敬意のようなものに和らいでいた。


「行くぞ」

短く命じる。


ブリアナが近づいてきた。騒ぎの余韻で息が上がっているのに、目は星みたいに輝いていた。


「あなた……すごい。分かってる?」


「俺が?」笑って首を振る。「違うよ。あれはただの簡単な工学だ。ここを渡すのは君の魔法だろ」


彼女は恥ずかしそうに小さく笑う。


「あなたにとっては簡単なんだね」


アーサーが呼ぶ。


「ブリアナ、準備しろ。渡るぞ」


彼女は杖を握り直し、深呼吸した。俺に一瞬だけ視線を向ける。緊張と誇らしさが混ざった目。


「私の出番……だね」

頬を赤くしながら言う。


俺は親指を立てた。


ブリアナは川岸の開けた場所へ歩き、杖を地面に突き立て、目を閉じた。

それまで気ままに流れていた風が、彼女を中心に回り始める。最初はそよ風、次にしっかりした流れとなり、外套を翻し、髪を輪のように揺らした。


空気の圧が変わる。村人たちも息を呑む。風魔法への畏敬が広がる。


やがて、俺の乗る馬車、補給の馬車、馬、護衛たちが、螺旋状の濃い風の流れに包まれていった。

地面が遠ざかる。車輪が浮く。馬の蹄が土を離れる。


――俺たちは浮いていた。


窓から見ると、下に激流がうねっている。俺たちは両岸の間を、十八歳の少女の魔法だけで渡っていく。

彼女が放つ力は否定できない。隊列全体の重みを抱え、重力と時間に逆らっている。


「……信じられない……」

思わず呟く。工学は理屈だ。魔法は崇高だ。


対岸で、風の力が少しずつ弱まる。車輪が軽い衝撃とともに地面へ戻った。馬は落ち着かない嘶きを上げたが、怯えて暴れるほどではない。


止まると同時に俺は馬車を降り、ブリアナのもとへ駆けた。


「すごかった!」

息が切れる。彼女の疲労は明らかだ。それでも勝利がそこにあった。


「……あ、ありがとう……」

声がかすれ、ほとんど囁きになる。


次の瞬間、彼女の身体がぐらりと揺れた。

糸を切られた操り人形みたいに、横へ倒れる。


俺は地面に落ちる前に受け止めた。


「ブリアナ!」

腕の中の身体は軽く、冷たく、力が抜けている。

「大丈夫か? おい!」


彼女は目を開けようとして、風だの重いだの、聞き取れないことを呟き……そのまま意識を失った。


「隊長!」

俺は叫ぶ。

「彼女が倒れた!」


アーサーが素早く馬を寄せ、ひと跳びで降りた。ブリアナの肩に触れて状態を確かめる。


「一度に魔力を使いすぎた」

真剣な声だが、先ほどまでの刺すような口調ではない。

「一台ずつと言ったのに。無謀さが力を上回ったな。ここまで無理をさせる必要はなかった。無鉄砲な娘だ……」


俺は眠るように静かな彼女の顔を見る。努力でまだ頬が赤い。

そして、抑えきれずに尊敬の笑みが浮かんだ。


ブリアナ、本当にすごいよ。


「馬車へ運べ、勇者アルヴェン」

アーサーが命じる。俺を“勇者”と呼ぶ声が、少しだけ柔らかい。

「休ませろ」


俺は頷いた。


「任せてください」


ブリアナを慎重に抱えて馬車へ運び、座席に寝かせる。杖も隣に置いた。ぬいぐるみみたいに。

ずれたフードを直し、席に戻り、揺れに身を任せながら、彼女の胸が上下するのを見守った。


カーテンの隙間から振り返ると、川向こうではルルベクと村人たちが、すでに木材を指し示し、作業の段取りを話し合っていた。

壊れた橋はまだそこにある。だが初めて、それは「絶望」ではなく「移行中の問題」に見えた。


馬車は再び走り出す。


橋は、まだ存在しない。


だが村は、すぐに新しい橋を手にするだろう。より強く、より長く。千年も持つ橋を。


俺は背にもたれ、疲れ切っていた。だが胸には奇妙な満足があった。


怪物を倒したわけでもない。伝説の剣を振るったわけでもない。

それでもあの日、俺は村を丸ごと救った。毎年、何週間も、そして命までも奪われていたものから。


俺の世界の工学が、この世界の魔法と出会い、結果は希望になった。


この世界に来て初めて、俺は勇者の仕事をした気がした。

たとえ松明の勇者でも。

そして、まだ形になっていなくても、村人たちの頭と手の中ではもう存在している橋の勇者でも。


俺のルクス・ミニマが、解決策を照らしたのだ。

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