6-7 権力者の思惑①
※執筆具合でサブタイトルを変更する場合がございます。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
シマ研の貝塚グループ。
兼孝と、Bグループの魔法実習のTAから戻ってきた紅葉は、互いに起きたことを報告し合った。特に話題なのは、ユリィのことであった。
「ふーん、極光魔法ねえ」
「この事はお口チャックでおねが〜い」
兼孝はそう言って、口を手で閉じる動きを見せた。
「それにしても、この嫌がらせは本当に酷いわね」
紅葉は兼孝のスマートフォンの画面を見て顔を引き攣らせた。その画面には、原型を留めずに切り刻まれた女子の制服が映っていた。
「今はコレについて急遽調査することにしたよ、まずは真っ先に疑うべきなのは小渕紗子だね」
兼孝はノートパソコンに向かい、世界的な検索エンジンに1人の政治家の名前をカタカタと一度も間違えずに入力した。
小渕善幸
「政権与党の共和民主党の幹事長か、妙だね」
兼孝は何か疑問を抱いたようだ。兼孝の眼鏡が不気味に点滅した。
「紅葉さん、ボクが何に疑問を抱いてると思う?」
唐突に話題を振られた紅葉は、自分が知っている政治的な内容を頭の中で整理した後に答える。
「えっと、今の与党の共和民主党は反魔法主義系の政党で━━あ、そういうこと?反魔法主義の政治家が、なぜ自分の娘を暁星学院に入学させたのか、ってこと?」
「ご名答。そこが矛盾なんだよね。彼女が自分の意志でここに来たのなら話は別だけどね。そうでなければ政治の道具にされてる可能性が高いね」
兼孝は眼鏡の位置を人差し指でクイッと上げた。
「…つまり、スパイとかそういうやつ?」
紅葉はあえて言葉を選ばず思い切って兼孝に訊ねた。
「あのお嬢様にそんな悪知恵はないと思いたいけどね、可能性としては考えられるね、ヤレヤレ」
兼孝はわざとらしくため息をついた。
「話が少し逸れちゃったね━あとは、小渕紗子の従者の女子生徒━」
次に兼孝は学院のデータベースを開いた。
「岩倉詩子」
画面に映っている人物は黒髪のおかっぱの女子生徒。
「じゃあ、ちょっと聞き込みに行こうかな」
兼孝はおもむろに立ち上がり、研究室から出て行った。
「待って、私も行く」
*
放課後の教室。
和真は祐一、竜二、山内や他数名の男子と談笑していた。魔法実習でAグループとBグループで起きたことを報告し合っていた。
「すごかったんだぜ、フロストさんが虹の光を発したんだぜ、なんか俺らとは格が違うって感じがするわ」
その場を目の当たりにした山内はそう言うと、他のAグループの男子もうなずいた。
「それを見た小渕さんが『化け物』とか言って、東条がブチ切れたんだよ!」
和真は目を逸らした。否定したいが、事実である。反論材料がないため、何も言えない。
竜二が和真の方を見る。
「和真、お前やっぱすげえな」
「いやぁ、そうでもないと思うよ……?」
和真は引き攣った顔で答えた。
「それにな、和真にはな、好きな人が━」
「わーわーわー!あの雲の形フライパンみたいだー!」
祐一がニヤけながら言おうとすると、和真は立ち上がり、顔を真っ赤にしながら大声を出しながら窓の外を指差した。その様子を見た他の男子は怪訝な顔をした後、男子達の間で爆笑の渦が巻き起こった。
教室の何人かは和真の方を見ていた。その中には、ゆかり、西山がいた。
和真はチラッとユリィの方を見た。ユリィはじっと睨みつけていた。和真の背筋が凍てついた。
数分後、会話の途中で、貝塚兼孝と秋野紅葉が教室に入ってきたが、目的は和真ではなくとある人物。
━あの人は、岩倉さん。
彼女は常に紗子と行動を共にしているが、紗子は教員に呼び出されたのか教室にいない。
━あの件の聞き込みかな。
和真はスマートフォンでユリィにメッセージを送った。
『17時にいつものベンチで』
気が付いた時にはユリィは居なくなっていた……。




