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氷銀の魔女  作者:
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1-4 均衡が破られる直前

 本格的な授業が始まってあっという間に1週間が過ぎた。


 古典物理学や数学、現代社会、倫理などの魔法とか以前の基礎的な授業が中心だ。「魔法基礎」という科目で初歩中の初歩を学ぶ。


 寮部屋で授業の復習を終えた後、学院の食堂で夕食をとることにした。好きなおかずやご飯、カレーやラーメンなどをトレーに乗せてレジで会計するタイプの学食だ。国立大学の学食と同じようなシステムが暁星学院では採用されている。


 茶碗に盛られたご飯、わかめとじゃがいもの味噌汁、小鉢のほうれん草のおひたし、大根おろしのハンバーグ。


 レジで会計し、どこに着席するか食堂全体を見渡す。


 時間は19時12分、夕飯時なのでそれなりに生徒がいる。食事するものもいれば、お菓子を片手に雑談に花を咲かせるものもいる。


 見渡すと祐一が食事していた。和真は祐一のいるテーブルの対面に座る。


 お疲れ、とお互いに挨拶した。


「またトレーニングか?」


「この後ね、またお腹空くだろうから先に夜食を用意しとかないと」


 祐一の問いに和真は箸を動かしながら答える。ハンバーグを箸で一口サイズに切っている。


「お前はストイックだなあ、漫画読みたいとかテレビ見たいとか、女の子とデートしたいとか考えないのか?」


 要するに娯楽はないのか、と聞いている。


「もちろん漫画も読むし、テレビも見るよ(ニュースしか見ない)」


 和真にも趣味がないわけではない。実は数学が得意で、趣味で大学数学まで勉強していたが、あまり人に言うような内容ではない。


 浮世離れしている自覚はあるため、数日前から、会話のために、主に流行の少年コミックを中心に読み込んでいる。


「まあ分かったのは、東条はクソがつくほど真面目なやつだってことだな」


 それは和真も自覚している。否定はしない。


 ……米が足りなかった。おかずが余った。ハンバーグまだ半分しか食べてない…。


 やっちゃった、といった顔をした和真に、祐一はつい笑いを溢してしまった。


 先に完食した祐一は、トレーを両手で持ち上げ、「じゃ、お先」と席を離れた。

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