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氷銀の魔女  作者:
23/24

3-3 ユリィ•フロスト•ファンクラブ

 放課後。


 帰宅前に和真は祐一、竜二と他の男子クラスメイト数人と雑談していた。その中でユリィについて言及があった。


「フロストさんって『氷の魔女』って呼ばれてるらしいぞ」


 クラスメイトの1人、山内がそう言った。


「マジ?でもそう呼ばれても全然違和感ないな」と竜二。


 和真は「言い得て妙だね」と、賛同も反対もせず、濁して答える。この前、懐いてくる猫に本気で困っていた少女が「魔女」と呼ばれているという事実が、和真には可笑しくて仕方なかった。


「近寄りがたくて、周囲が凍っているように見える、無口で無表情だから間違いではないな」と祐一。


 さらに山内は続ける。


「そんなフロストさんに、『ファンクラブ』が出来たとかなんとか」


「ファンクラブ?」


 和真はあまりピンと来ていないようだ。ファンクラブというのはある特定の芸能人を応援する集団という認識だ。しかし、一生徒に対して、ファンクラブとは?という疑問は和真にはあった。


 その疑問に答えるように山内は続ける。


「ほら、漫画でもあるじゃん、学園のマドンナを追っかけする集団、みたいな」


「それってただのストーカーでは?」


 和真のストレートな感想。


 祐一と竜二は少し噴き出した。認識のズレがあったのだろうか。祐一は補足する。


「まあ、ファンクラブって言っても、その人の言動に関しての感想を言い合ったり、議論したり…。

 なんなら『実際には言っていない』事まで妄想で補完したりするな」


「なにそれこわい」


 裏を返せば、言っていないことを、さも言ったかのように扱われることがあるということだ。「ないこと」の証明がいかに難しいか。


「まあフロストさんの場合、クールで無口でめちゃくちゃ小柄な美少女だし、刺さる人には刺さるんだろうな」


 「刺さる」とは?個人の好みやフェティシズムに合致するという意味だろうか。


 和真の目から見ても当然、ユリィは「綺麗で繊細な人」だ。


 だが、ファンクラブという概念までは理解できなかった。





 ユリィ•フロスト•ファンクラブ(仮)━


 放課後の空き教室にて男子2人、女子1人━


「あぁ、ユリィ様……今日もお美しい…」と男子A。


「わかる、まさに女神…」と男子B。


「こっちに微笑んでくれないかな…想像したら萌え死にそう…」と、なぜかうっとりしている女子。


「こうなったら、微笑んでおられるユリィ様を『勝手に』想像してイラストを描いてやる!」


 女子生徒はペンを持ち、息巻いている。


「いいね〜」


 暁星学院は、今日も平和である。


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