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氷銀の魔女  作者:
22/23

3-2 予想通りの週明け

 日曜日。


 週明けに備えて、和真は午前中にドラッグストアへ胃薬を買いに行くことにした。昨日の祐一と竜二の会話で既に胃がキリキリしていたのだ。


 喧嘩を売った相手が1年生ならともかく、3年生である上、目撃者に2年生もいただろうから、自意識過剰とかではなく不特定多数に注目されるだろう。


 さらに面倒なのは、「剣の技術を過大評価されている」可能性だ。本人には大変申し訳ないが、剣の振り方が素人すぎて自分の腕前の評価に値しない。だから「誇張が入っている」と和真は分析したのだ。


「まだ1ヶ月も経ってないのに……はあ」


 思わず溜息をついてしまう。国武院より穏やかな生活ができているからまだマシ、と前向きに捉えるしかない。





 月曜日。


 6時に起床。紺色のカーテンを開け、太陽の光が部屋に差し込む。テレビのニュースをバックグラウンドに、昼御飯の弁当を作る。和真の大好物は、お師匠が作る玉子焼き。お師匠から作り方を教わった玉子焼きを和真はよく作っている。たまに盛大に失敗してヤケクソになってスクランブルエッグになるが。


 弁当を作り終え、朝ご飯のおにぎりを頬張りながらニュースを見る。


「また戦争のニュースか、気が滅入る」


 魔法が発見されてから、世界情勢は悪化の一途を辿っている。それまで戦争していなかった国も参加している。幸い日本は平和でどの国とも争ってはいない。ただ、裏で政府は準備をしているのでは、という根拠の薄い陰謀論がSNSでも注目されている。


 7時50分くらいに、必要な筆記用具、教科書、ノートが入ったリュックサックを背負って最初の授業を受ける教室へ向かう。


 途中で教員や用務員とすれ違うと「おはようございます」と会釈しながら挨拶をする。中には肌の黒い男性もいた。


 校舎に近づくに連れて生徒からの視線が増えている気がするが、表面上は気にしない。


「あの新入生めっちゃ強いらしいよ」


「まじ?」


「野田の迷惑行動にはうんざりしてたからちょうどよかった」


「野田のやつ、貝塚に痛い目見せられたのに懲りねえな」


 まあ、悪口を言われるよりはマシか、と和真は前向きに考える。


「よっす、東条」「おはようヒーロー」


 後ろから走ってきたクラスメイトに背中を叩かれ、和真はびっくりしたため、遅れて「おはよう」と返す。


 教室に入り、席につく。しばらくすると祐一と竜二、さらにはゆかりも近くにやってきた。お互いに挨拶を交わした後にゆかりが話を切り出す。


「聞いたよ東条君!ああ、私も見てみたかったなあ」


 祐一は昨日と同じ、「ひょいひょい、バァーン!」という擬音とジェスチャーだけで昨日の試合内容を振り返っている。


「東条は未来の『剣聖』だからな」


「最強の剣士、カッコいいなあ」


 どいつもこいつも好き勝手言ってくれる。


 和真はずっと引き攣った笑顔しか出来なかった。


 休み時間の間に、剣術部への手紙を部室に届けておいた。その内容は、部長や部員に対する非礼の謝罪、改めて入部しないという意思表示だ。


 あの事件の裏話である、図書館に行こうとして事件で失念して行けなかった話をしたら、ゆかり達だけでなく、興味本位で話を聞きにきたクラスメイト数人もその場でズッコケた。


 ……それはそうと、視界に銀色が入る様になった気がする。





「東条……なんかすごい」


 ユリィは和真の周りに人が集まっている光景を遠くから眺めていた。


━気づいたら彼を目で追っている。どうして。


━でも、あの笑顔を見ているだけで、どこか安心する気がする。


 和真と目が合う。彼はユリィに手を振った。ユリィも小さく頷く。


 休み時間、教室を離れて1人で過ごす。


 和真が眩しく見える。あたたかい。


━わたしは


━わたしは、この感覚を()()()()()

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