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氷銀の魔女  作者:
21/23

3-1 深淵の邂逅

⚠️【注意】⚠️


 このエピソードには、ちょっとショッキングな描写が含まれております。心臓の弱い方、精神的に不安定な方は、「*」以降を読み飛ばすことを推奨します。

 今から15年前━


 私は「おとうさん」と「おかあさん」の間に生まれた。それから2年後に妹が生まれた。


 「おかあさん」は私が5歳の時に何処かへ旅立った。


 「おとうさん」はすごく優しくて、あたたかった。


 「おとうさん」はどんなにお仕事で忙しくても、私たちと遊んでくれた。私はそんな「おとうさん」が大好きだった。


 ━でも


 私が10歳の頃、「おとうさん」は私達の前からいなくなった。事故で車に轢かれて、亡くなった。


 でも、運命は私達に悲しむ暇すら与えてくれなかった。


 その日、私達は、()()()()()()()()







 私達は、「おとうさん」よりもずっと年上の男に引き取られた。


 真っ白な壁、真っ白な床、真っ白な天井。


 その男は、まるで私達を道具の様に扱った。


 私は妹を守るために必死だった。でも、私は無力だった。


 男は言った。


「お前の力は世界を支配できる、だから俺が存分に利用してやる」


 私は、手足を縛られて、手術室のような場所でうつ伏せにされていた。 医者のように青色の手術着と手袋とマスクを着用した男達が私を囲う。刃物の様な物を手にし━  


 私の背中を切り裂いた。


 私は想像を絶する痛みで泣き叫んだ。しかし男達は淡々と私の背中に「何か」をしていた。私はいつの間にか気を失っていた。


 次に目を覚ました時、男は残酷な事実を私に伝える。


「ふへへへ、どうだ、人造兵に改造された気分は?」


 目を覚ました時には自分が何をされていたか、薄々分かっていた。男の言葉で、それが確信に変わった。


 その時、私は「光」を失った━


 意識があやふやになった。私は自分を守るために感情を「凍結」させた。


 それからも男からの暴力は続いた。 実験がうまくいかなければ男は激昂した。


「親子揃って役立たずだな、本当に役に立たないな貴様!」


 男は私の顔を何発も殴り、髪の毛を鷲掴みし、頭を壁に何度も叩きつけた。目の前が赤い、額が生温かい。  


 妹がガラス越しに泣き叫んでいる。


 男はようやく気が済んだのか、部屋を出て行った。


━このくらいの傷なら平気


 でも私は立ち上がれなかった。立ち上がる気力がなかった。


 しばらくしてまた男がやってきた。私は意識的に身構えた。一転して穏やかで優しい口調で言う。でも、その目には優しさなど微塵も無かった。


「ごめんね、ユリィ。これは君のためなんだ。今度は傷ついた君を━」  


 男は私の耳元で囁く。


 聞きたくない。理解したくない。


 ここから始まるのは、痛みをはるかに超える、グロテスクな地獄。


 自分が自分でなくなるような感覚。取り返しがつかなくなった瞬間、芽生えてきたのは、屈辱と憎悪。


 吐き気がする、息ができない。


 私は、感情を凍結させることで耐えることしか出来なかった。


 時間の経過とともに、「おとうさん」の「ぬくもり」と「光」が、記憶から薄れていった。


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