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【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
2ー2:コボルトの眠る喉元

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第69話 コボル洞窟へ

コボルトだらけの洞窟。

だからコボル洞窟。

 コボル洞窟に突入した僕ら。少し湿っていて、普通の洞窟っぽい。

 それでも魔力の流れを感じるのは気のせいでは無い筈。

 師匠達が教えてくれた経験を活かすと、視線を右往左往させる。


「ここがコボル洞窟?」

「そうよ。オボロは初めてなのね」

「初見だよ。一応地図は頭に入れて来たけど」


 コボル洞窟に来るのは初めて。だから一応地図だけは入れている。

 頭の中に入っている情報を基にすると、ここは横よりも縦に広い。

 ネイルを捜すのは骨が折れそうで、正直見つかる気はしない。


「ここは知っての通りよ、コボルト達の楽園ね」

「楽園」


 確かにあれだけのコボルトが次から次へと湧いて出てきたんだ。

 ここが楽園と言われてもおかしくは無くて、僕も納得する。

 そんな奴等に捕まる訳には行かないと、胸が騒めく。


「まさか戦うの?」

「そんな訳がないでしょ。面倒な事になるわ」


 斜に構えているかと思ったけれど、エメラルは効率を重視した。

 ネイルの身が心配だからで、早めに捜すことへと移る。

 そのためには……の前に、コボルトが現れる。


「バウワッ!」


 群れではなく、単独で現れた。手には槍のような武器を持っている。かなりボロボロだ。

 使い古した武器を構えると、僕達を威嚇して来る。

 余裕を持って対処に移ろうとするが、その前に不満が漏れる。


「ちょっと来たわよ」

「そうだね。これだけ流入が激しいと、鉢合いそうだよ」


 コボル洞窟はコボルト達の住処にして楽園。そんなことは分かっていた。

 でもこれだけ早く遭遇するとは思わなかった。

 ここから鉢合わせの連続になりそうだと危惧すると、エメラルはクロンの魔法を頼る。


「クロン、隠密の魔法とか掛けられる?」

「そう思って持って来た」


 クロンは黒魔法が得意。つまり攻撃系。サポートは得意じゃない。

 そのため今回は魔導具を持って来ていた。手製の道具で、ペラペラの湿布を取り出す。

 何故湿布? と真っ先に思うも、エメラルに取られた。


「なに、これ?」

「湿布よね。って、ちょっと!」


 何故湿布なのか? そして湿布を持って来たのか? これに魔法が付与されているとは思えない。

 にもかかわらず、迷いなくペタリと貼ったクロン。エメラルの腕にくっ付くと、ひんやりとするみたい。

 一瞬だけ鳥肌が立つもすぐに慣れ、僕にも貼られた。


「これで認識阻害ができた」

「嘘よっ! これで……って来たわよ!」


 湿布一枚で認識阻害が出来る? そんな簡単な話があっていいのか。

 疑ってしまうのも無理は無いけれど、コボルトは如何でもいいらしい。

 槍を突き出し、ドンッ! と地面を蹴った。


「バウワッ!」


 コボルトが向かって来た。槍を突き出してくる。

 普通に短剣で切れるけれど、何故かクロンに引き寄せられた。

 グッと動きを封じられると、コボルトの槍が通過する。


「あれ?」

「大丈夫、見えてないから」

「見えていない? ってことは、本当に認識阻害されている?」


 コボルトは何故か僕達を攻撃しなかった。素通りしてしまったのだ。

 キョトンとしてしまうのも無理は無い。これがクロンの作った湿布の効果? 付与した魔法なのかもしれない。

 僕は驚かされるけれど、これなら戦わなくてもよさそうだ。


「クロン、いい物を作ったわね。これなら体力を温存して行けるわ」

「うん。でも効果の持続時間は決まってる」

「ってことは、バレる可能性もあるの?」

「もちろん」


 クロンの作った魔導具の効果があれば、楽にコボル洞窟を進める。

 実証させてくれると、何故か胸が心地よく踊った。

 ネイル捜索も効率が上がる……課と思ったけれど、持続時間があるらしい。

 湿布と言うこともあって、かなり長めだとは思うけれど、効かないこともある。


「ふぅ。それならできるだけ身を潜めて行くわよ」


 エメラルの言う通り、身を潜めて進んだ。

 でも湿布だけに頼ったらダメで、個体によってはバレてしまう。

 その可能性も考慮すると、本当にバレることになった。どんな魔導具も完璧じゃない。


「「「バウァッ!!!」」」


 何度も何度もコボルトと遭遇した。しかもこれから通る道を塞いでいる。

 流石にこれを如何にかしないとマズい。僕も貢献するために、短剣を取り出す。


「僕に任せてよ」


 意識を研ぎ澄ましては、そのまま呼吸を止める。

 気配を悟らせるつもりは一切無く、コボルトの背後を取る。

 緑色の短剣。魔力を流して、空気に触れると、そのまま溶けて消えた。

 次の瞬間には、コボルトの首筋を捉え、ブスリと突き刺す。


「バウワッ!?」


 コボルトを後ろから短剣で刺した。

 叫ばれる前に始末すると、パタリと音を立てさせずに横倒す。

 何とか他の仲間には気が付かれなかったようで、勘が妙に鋭い個体を撃破した。


「ふぅ。なんとかなったね」

「そうよね。こんな所で無駄に戦いたくないもの」


 ネイルを捜すことかれこれ。

 もはや探すから捜しへと意識が切り替わっている。

 それだけ期待を込めているのだが、なかなか手掛かりがない。


 にもかかわらず、コボルトの数は少ないけど潜んでいた。

 戦うのは面倒で、極力避けて来た。

 それでも見つかるのだから仕方が無く、一旦細い通路に身を隠す。


「それにしても、ネイルの姿が無いわね」

「うん」


 ロアコボルトだけでは無かった。

 もっと肝心な部分で、ネイルの姿を一向に見掛けない。


「僕はネイルのことを知らないけど、二人は知っているんだよね?」

「もちろんよ。ねぇ」

「うん」


 僕はネイルのことを知らない。

 顔も分からないから、残念なことに戦力外だ。

 誰かも分からない人を探すなんて、無理ゲーにも程がある。


「本当、ダンジョンの中で行方不明になると、捜すのに苦労するわよ」

「うん。全然見当たらない」

「クロン、なにか探す魔法は無いの?」

「私には使えない」


 ダンジョンの中で誰かが行方不明になると、捜すのに苦労する。

 問題、ダンジョンは危険な場所だ。

 そんな場所で、悠長に人捜しなんて真似、相当神経を擦り減らす。


 ここはクロンの魔法に期待した。

 でも出来ないらしい。

 何故かって? 黒魔法使いは攻撃重視なので、人捜し何て専門外だ。


「そうよね……」

「期待しすぎ」

「期待するでしょ? 寝坊で遅刻したんだから」

「うっ!」


 グサリと胸を貫かれるクロン。

 痛い所を突かれると、流石に擁護の仕様がない。

 僕は黙っていると、暗闇の中、更に目が慣れて来ると、赤い点を見つけた。


「コレは……二人共、少し来て」


 僕はエメラルとクロンを呼んだ。

 喧嘩腰だったやり取りだったけど、僕に呼ばれて撤退。

 もちろんいつも通りの軽口なので問題無く、僕も気に留めなかった。


「どうしたのよ、オボロ」

「なにかあったの?」

「二人共コレを見てよ。この赤い点、しかも続いている……魔物の体液じゃない。人間の血液だよ」

「「なっ!?」」


 エメラルとクロンが驚くのも無理は無い。

 だって地面に滴っているのは魔物の体液じゃない。

 人間の血液で、暗がりで見つけられなかったけれど、これだけ目が慣れれば見つけられる。


「嘘でしょ、それって……」

「誰のものかは分からないけど、僕が血を見て間違えることは無いよ?」

「どうしてそんなに自信満々なのよ」


 確かに変かもしれない。いや、普通に考えればおかしな話だ。

 でも僕が血液を間違えることは絶対にあり得ない。

 並々ならぬ自信を披露すると、エメラルとクロンも納得し、げんなりとした顔になる。


「それじゃあ待ってよ、ネイルはもう……」

「死んでいる、かも?」

「可能性はあるね」


 残酷な話だけど、考慮していた。

 多分もう死んでいる。その可能性は随分高い。

 暗い雰囲気が立ち込めると、より一層景色が暗くなりそうだ。


「ん?」


 エメラルは岩肌を凝視した。

 一瞬ピカッと光ったものがあった。

 警戒しつつ近付くと、「うおっ!?」と唸る。


「コレはネイルの武器、確か爪よね?」

「爪……鉤爪? ああ、だからネイルの……ってそんなものがどうして?」


 ネイルの武器は鉤爪らしい。

 なるほど、ネイルだから鉤爪なのか。

 いや、それじゃあマフラーはマフラーで戦う? シザースは……鋏でベルトはベルト? それだとラッシュは・・・

 何てことを考えるのは止めて、一旦普通に意識を切り替えた。


「もしかして、ここで戦っていたのかしら? だとすると……」


 この狭い通路で戦っていた可能性。

 見えて来るのは、ロアコボルトに追い詰められるネイルの姿。

 怪我を負い、戦意喪失する中でも、生き残ろうと足搔き戦った爪跡だった。


「この先よね?」

「可能性は高いかも」

「そうだね。行ってみる? 急がないと、マズい気がするけど……」


 この先の通路に逃げたとすれば、コボルトも集まっているかもしれない。

 急がないと、本当に死を免れることは無いだろう。

 もしかするともう手遅れかも……なんてことを想像しつつも、万に一つの可能性に賭ける。


「当然よ。それじゃあ飛ばすわよ、立ちはだかるコボルトは速攻で倒す、いいわね!」

「「うん」」


 エメラルの指示は大胆かつ豪快だった。

 全速力でこの先に向かい、コボルトが邪魔をするなら薙ぎ払う。

 シンプルで都合がいい。僕とクロンは頷くと、エメラルを先頭に突き進んだ。

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