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【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
2ー2:コボルトの眠る喉元

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第58話 ネイル達が戻らない?

オボロ君には残念なことに伝わらないのだ!

 僕達は冒険者ギルドに向かった。

 何だか無性に嫌な予感がする。

 ここに来るまでの間、僕はエメラル達と話をしていたけれど、武装した冒険者は一人も見掛けていないらしい。


「冒険者に一切出会うこと無く、ここまで辿り着いたけど」

「重苦しい空気を感じるわね」


 扉を前にして、僕達は足が竦みそうになる。

 様々な感情がどよめきあって、凄まじい渦を巻き起こしている。

 この中に足を踏み入れても平気だろうか? それこそ、スカイプ達の時以上に陰鬱とした空気が込み上げていた。


「うーん、入るの?」

「当然。行くわよ!」


 エメラルは扉を押し開けた。

 問答無用で突き進むと、僕達はギルド会館の騒然とした様子を目撃する。

 

「な、なによ、コレ」


 エメラルが言葉を失ってしまった。

 一体何が起きているのか、端的に伝えてみる。

 “阿鼻叫喚の地獄絵図で、馬車馬のように働いていた”。


「コレは酷いね」

「うん。ブラック企業」


 冒険者ギルドの中は、たくさんの職員が働いていた。

 見掛けない人達の姿もあり、大量の資料を運んでいる。

 更には冒険者相手に対応するための受付カウンターも停止すると、何やら作業に追われていた。


 もちろんそれだけではなかった。

 職員だけではなく、多数の冒険者も拘束されている。

 慣れないことばかりで右往左往しており、ランクなんて関係無く忙しそうだった。


 本当に何があったのだろうか?

 絶対に只事でもロクな事でもないのは確か。

 僕はエメラルの顔を見つつも、少しずつ後退する。逃げられるように姿勢を落とすと、絵メラルは声を上げた。


「ちょっと、一体なにがあったのよ!」


 エメラルが軽快で溌溂とした声を上げる。

 どんよりとしていた空気を、一瞬でぶち壊す。

 そんな明るい声だったが、同時に曇った視線が集められる。

 凄まじい圧迫感に襲われると、流石に動じてしまった。


「エメラルさん……皆さん……」


 受付カウンターの奥で声がした。

 エメラルの名前だけじゃなくて、僕達のことも呼んでいる。

 一体誰? この声、間違いない。視線を飛ばすと、目の下に隈を作ったネシアの姿があった。


「エメラル。話し掛けていい雰囲気じゃなかったよ」

「うん。これ、嫌な予感がする」


 僕とクロンはエメラルを止めようとした。

 明らかに飲み込まれてはいけない空気が立ち込めている。

 これ以上進めば、きっと後には退けない。そんなことを百も承知か、エメラルは突き進んだ。


「一体なにがあったの? 誰か説明してくれる?」

「実はですね、エメラルさん」

「ネシア、どうしたのよその顔!? みんなも顔が辛そうよ」


 エメラルは職員や冒険者の顔色が悪いことを危惧する。

 何があったのか。何が起こってしまったのか。エメラルには知る由もない。

 そのせいか、ネシアは青ざめた表情を浮かべ、手元の資料をパラパラ捲る。


「実は、とあるダンジョンで問題が起きてしまったんですよ」

「問題? 一体なにが起きたのよ」

「実は……」


「ネイル達が戻らないらしいぜ」

「ブレット!?」


 振り返ると、ブレットの姿があった。

 いつもネシアをデートに誘い、一向にOKを貰えていないナンパ冒険者。

 正直ネシア本人からも周囲からも迷惑されているが、今回は役に立っているみたいだ。


 自慢の図体を活かして、大量の装備を抱え込んでいる。

 少なくとも自分用ではなく、冒険者ギルドのマークが縫われている。

 ディスカベルにある冒険者ギルドの本部から寄越したみたいで、相当重大な問題に直面したのは言うまでも無かった。


「ネイル、達?」


 一体誰だろうか? 全然知らないからピンとも来ない。

 けれどエメラルとクロンの表情が険しくなる。

 相当強い冒険者のようで、スカイプ達の時みたいな焦りを感じた。


「ネイル達が、戻らないですって?」

「どういうこと?」

「それが俺にも分からねぇんだ。けどよ、これは相当ヤバいだろ」


 そんなにヤバいのだろうか?

 あのブレットが本気で不安を抱いている。

 エメラルとクロンの反応を見るに、相当するダンジョンで迷うような新米では無いのは確かだ。


「ねぇ、ネイル達って?」

「ん? オボロは知らないの?」

「知らないよ。誰のこと?」


 僕はクロンに訊ねた。

 キョトンとした顔をされるけど、そんな顔をしないで欲しい。

 この街に来て一ヶ月ほど。ネイルと言う名前は一度も耳にしたことが無く、一体誰のことで、何故ここまで絶望感漂う雰囲気を引き起こしているのか、サッパリ見当も付かない。


「ネイルって言うのはね、〈《黒牙の影》〉に所属している冒険者で、相当実力と経験豊富なBランク冒険者よ」

「〈《黒牙の影》〉!? Bランク冒険者!?」


 そんな中、エメラルは僕の会話を聞いていた。

 無知な僕に教えてくれると、如何やらネイルとはこの街でもかなり有望株な冒険者らしい。しかもただの冒険者ではなく、あの諜報を専門とする冒険者ギルド、〈《黒牙の影》〉のメンバーらしい。


 諜報活動や暗殺と言った隠密行動を主体とする冒険者ギルドに属する民間の大型ギルド。

 ディスカベルの治安の一端を担い、その一角を任されているのが、古参である〈《黒牙の影》〉。僕も色々調べようとしたがまるで分からず、その正体も素性も知らない。

 だからこそピンと来なかったのだが、Bランクとは相当な実力者であり、エメラルと同等。当たり前に強い。


「えっ、それってこの街にある民間ギルドの中でも一角を担う、あの?」

「そう。ネイルは素性の分からない〈《黒牙の影》〉のメンバーではかなり珍しい、表舞台に顔を出す冒険者。言っちゃえば、〈《黒牙の影》〉の窓口みたいなものなのよ」


 如何やら知名度も相当あるらしい。

 〈《黒牙の影》〉は末端のメンバーはある程度表にも顔を出しているが、幹部クラスにまでなると正直素性は定かでは無い。

 もちろん冒険者ギルドや、各大型ギルドの幹部達、それこそエメラルは知っていると思うけれど、基本的には非公開だ。


 そんな中、ネイルは冒険者ギルドによく顔を出す。

 雰囲気を察するに、周りからの好感度も高いのだろう。

 そのせいか、ネイルを含めた優秀な冒険者がダンジョンから戻らない。

 これは異常事態であり、経験豊富であり実力も申し分のないネイル達に一体何があったのか。不安がよぎるのも無理は無く、僕も違和感を覚えた。


「うーん、どれだけ優れた冒険者でも、偶にはあると思うけど」

「ネイル達に限って、帰還できないのは異常よ」


 僕の不意な疑問に突然答えが投げられる。

 けれど聞いたことの無い声。女性のようだ。

 振り返った僕の目の前には、二人の女性が立っていた。


 一人はマフラーを巻いた、髪の長い女性。

 もう一人は不安が全身から垣間見える、大人しい少女。

 この二人は一体? 僕はキョトンとしてしまうと、女性は語り出した。


「コボル洞窟、あのダンジョンは異常よ」

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