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【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
2ー2:コボルトの眠る喉元

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第55話 コボル洞窟の悪意

マフラーさんが一番キャラ薄いのに、何故か生き残らせてしまった。

「マフラーさん、マフラーさん!」


 ラッシュはマフラーの背中をポコポコ叩いた。

 けれど全く痛くないので、マフラーは止まらない。

 気が付くとコボル洞窟の外に辿り着くと、陽の下に戻って来た。


「コボルトはいないみたい?」

「そ、そうですけど!」


 マフラーは周囲を見回した。コボルトを始め、モンスターの姿は無い。

 ラッシュも安心したが、コボル洞窟の奥をジッと覗く。

 ネイル達の姿は一切無く、まだ戻って来ていなかった。


「マフラーさん、ネイルさん達がまだダンジョンの中にいます!」

「知ってるよ」

「知ってるよじゃないです! 早く助けないとダメです」


 ラッシュはネイル達を助けに行こうとした。

 けれどマフラーが首に巻くマフラーのせいか、何故か身動きが取れない。

 マフラー自体に魔力を流しているのか、ラッシュは逃れられなかった。


「ダメよ、ラッシュ」

「どうしてですか。ネイルさん達でも、あれだけの数のコボルトは」

「大丈夫」

「なにが大丈夫なんですか!?」

「大丈夫。大丈夫よ、安心して」


 マフラーの表情も声も全く変わらなかった。

 「大丈夫」の圧力は、全く大丈夫に聞こえない。

 ラッシュはマフラーから離れようとするも、全くダメだった。


「どうしてこのマフラーから逃れられないんですか!?」

「私のものだから」

「それって理由になるんですか?」


 マフラーに連れられて、ラッシュはコボル洞窟から離れる。

 とりあえずモンスターの居ない場所まで避難すると、マフラーを解除。

 晴れて自由の身になった(※悪事は働いていない)ラッシュは、マフラーに声を上げる。


「どうしてネイルさん達を置いて行ったんですか!?」

「そう言う指示なのよ」

「そう言う指示って……ネイルさん達を置いて行って、本当に大丈夫だったんですか?」


 あれだけの数のコボルトに囲まれた。

 流石に無事では済まないものの、ネイル達が殺されることは無い。

 そう信じたいラッシュは不安になると、足踏みを何度もした。


「どうしたら、どうしたら……」

「ラッシュ、うるさいよ」

「うるさいって。マフラーさんは、どうしてそんなに冷静なんですか!?」


 あまりにもマフラーは達観していた。

 冷静な態度でネイル達の安否を気にしていないのが引っ掛かる。

 それもその筈、マフラーはネイルの指示を無事に果たしたのだ。


「私はラッシュを無事に避難させたわよ」

「それはありがとうございました。でもなんで私だけ!」

「ラッシュの実力だと足手纏いなのよ」


 グサリと胸に突き刺さる言葉が走った。

 ラッシュは苦しくなると、マフラーの言葉は正しい。

 確かに実力は一番劣っていて、ネイル達の足を引っ張るのは目に見えていた。


「そう、ですよね……」

「あっ、別に悪気は無かったのよ?」

「分かってます。私は、実力不足ですから」


 ラッシュは実力不足を認めた。

 マフラーは言い過ぎたと反省するが、ラッシュの胸には突き刺さったまま。

 結局、ラッシュが居るからこそ、マフラーも戦えなかったのだろう。


「なので、必ず実力を付けます」

「そう、その心意気はいいわね……」


 ラッシュは役立たずの烙印を押されたくない。

 その一心で強くなることを決めた。

 決意を胸に抱くと、マフラーを圧倒させる。


「遅いわね」

「はい?」


 マフラーは安全を確保しつつも、コボル洞窟の方に死線を飛ばす。

 流石にこの距離だ。二百五十メートルは離れている。

 木々に覆われているので直視出来ないが、誰かを待っているようだ。


「ネイル達よ。まさか、調査を続行したのかしら?」


 ネイル達が何故か戻って来なかった。

 予定が変わり、三人で調査を再開したのだろうか?

 眉間に皺を寄せ、マフラーをギュッと引き絞る。


「もしかして、戻れないんですか?」

「分からないわ。でもネイル達に限ってそんなことあるかしら?」


 マフラー曰く、ネイル達は〈《黒牙の影》〉でも相当な実力者パーティー。

 Bランクのネイルを始め、ベルトはCランクだが、腕はBランクにも匹敵する。

 何より用心深いので、これ以上の探索と調査は割に合ないと感じても仕方が無い。


「マフラーさん、私達はどうしたら」

「……戻るわよ。急いで冒険者ギルドに報告ね」

「えっ、助けにはいかないんですか!?」

「行かないわよ。私達まで戻って来られなくなったら仕方が無いもの」


 マフラーの判断は非情にも見えるが、とても理に適っている。

 合理的であり、ラッシュを連れていち早くディスカベルへ戻る。

 ラッシュは否定したい。本当は助けに行きたい気持ちがある。

 それはマフラーも同じだが、マフラーとラッシュの二人も戻れなければ意味が無い。


「行くわよ、ラッシュ」

「は、はい。マフラーさんの言う通りにします」


 ラッシュはマフラーと共に、一度ディスカベルに戻る。

 コボル洞窟に広がっている得体のしれない悪意。それは、〈《黒牙の影》〉だけでは対処しきれない問題だった。


 ライムにことの重大さを伝える必要がある。

 その足取りは険しいものの、出来るだけ走っていた。

 そんな中、ゾクリとする視線を受けた。


「「うっ!?」」


 背中を突き刺す視線は悪意そのものだった。

 明らかに異質なものを受け取ると、マフラーとラッシュは慄く。


「マフラーさん、今のって」

「振り返ったらダメよ、戻れなくなるわ」

「でも!?」

「いいから、振り向かずに走るのよ」


 マフラーはラッシュを連れて、コボル洞窟を立ち去った。

 賢明な判断であり、一歩間違えれば死んでいた。

 手招きしていた死から脱すると、ディスカベルまで駆け戻った。

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