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【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
2ー1:闇の円卓

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第48話 恨めしいことこの上ない

悔しいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!

「クソッ―、なんでバレたんだ?」


 冒険者は一人、腕を組みながら不服そうに歩いていた。

 その足取りは重く、上手く出来ていた筈の諜報活動が失敗した。


 相手は〈《眩き宝石》〉のエメラルだ。

 並の冒険者ではなく、常に地位の高い人間に囲まれている。

 それだけ信頼されているからだろうが、故に定期的な監視の目があった。


「嘘だろ。エメラルだけじゃなくて、クロンとオボロだったか? 全員イカれてんのか?」


 とは言えこの冒険者は知らなかった。

 今まで、〈《黒牙の影》〉がエメラルを監視しようにも、全て看破されていることに。

 その事実があるが故に、〈《眩き宝石》〉を始め、無関係な人間の動向を窺うのを止め、結果的に今のような形、あくまでも街の治安維持と依頼があった場合にのみ動くことになっていた。


「どんな感覚神経してるんだよ。あー、マスターにドヤされる!」


 頭を掻き毟り、ムシャクシャしていた。

 〈《黒牙の影》〉の新人である冒険者にとって、コレは試練でありギルド内で地位を確立する機会だと思って浮かれていた。

 けれど結果的に痛みを伴うだけで、何の成果も得られなかった。強いて言えば、自分の未熟さを痛感する程度だ。


「ハッ。考えても仕方ないか。よし、気分転換にどっか美味い物でも……」


 気にした所で仕方がない。

 学ぶものはあったので、今回ばかりはそれで良しとしよう。

 冒険者は割り切った上で切り替えると、大通りから狭い路地へ抜ける。

 この先には実は穴場な隠れ家レストランがやっていた。


「グハッ!」


 咄嗟に身を隠した。人が殴られる現場を目撃した。

 関わり合いにならないのが吉だろうが、嫌な感じがする。

 コッソリ顔を覗かせると、殴られたのは冒険者かそれとも荒くれ者か、少なくともはぐれ者であるのは間違いなく、頬に大きな痣を付け、地面に横たわる。


「痛ってぇな! ガキが、ふざけんじゃねぇぞ」

「いや、コレは充分正当防衛だと思うよ」

「うるせぇ。その態度が気に食わねぇんだよ!」


 倒れていた男性は立ち上がった。

 何やら問題(トラブル)が起きたみたいで、喧嘩腰になっている。

 既に喧嘩だったが、先に振りかぶったのは男性だ。


「おらよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!」


 男性は大振りに拳を繰り出す。

 グッと腰を落とし、体の捻りを利用して、渾身の一撃を叩き込む。


「フン」


 少年はスッと横に避けた。

 拳が繰り出されたものの、足を引っ掛けて男性を転ばせる。

 鼻から地面に倒れ込み、血を流してしまったらしい。


「い、痛ってぇ……」


 男性は泣きべそを浮かべていた。

 鼻をグスンと鳴らすと、鼻血が垂れている。

 普通に喧嘩だな。冒険者はそう思うと、興が冷めたのでレストランに行くのを止めた。


「うーん、今日は帰ろう」


 冒険者は立ち去ろうとした。

 すると少年の仰々しい会話が聞こえて来る。


「ったくよ。俺だって今、ムシャクシャしてるんだからさ、喧嘩なんて止めてくれよ」

「それは……ガキがヤクを持ってるから……」


 少年が怪しいものを持っているらしい。

 それが如何しても欲しくて仕方がなく、男性は奪い取ろうとした。

 私利私欲のためか、金になるからか、所謂正義感か、テンポ感で察す。


(ヤク!?)


 冒険者の足が止まった。

 嫌な感覚がしたのはまさにそれで、すぐさま耳を澄ませる。

 会話の内容が気になると、少年はヤク……つまり(くすり)を持っているのだ。


「そのヤクを寄越せ。ソイツがあれば、俺はもっと強く……」

「悪いけど、無理だよ。お前が死んだ所で、俺には関係無いからね」

「うっ……ふざけんな。ソレがあれば、ソレガ……おうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」


 男性は再び少年に殴りかかろうとした。

 少年はついに反撃を繰り出そうとするものの、流石に止めに入る。

 冒険者はスッと間に入ると、影を使って受け止めた。


「シャドウスティンガー」


 影が伸びて、串のようになった。

 二本伸びると、一人は少年を押さえようとしたが逃げられ、荒れている男性は取り押さえる。身動きが取れなくなると、男性は血走った目で冒険者を睨み付ける。


「(グハッ!)な、なんだ、お前……」

「悪いけどさ、これじゃあは人死にが出るからダメだ」


 男性の体が固定された。シャドウスティンガーを喰らい、身動きが取れない。

 冒険者はフッと力を入れると、少年に視線を向けた。


「大丈夫だったか?」

「ああ、大丈夫だよ」

「よかった。それより、話は聞かせて貰っていたけれど、ヤクってなんのこと?」


 冒険者は少年のことを疑った。

 一体ヤクとは何のことだったのか? 恐らく、危険な薬品に違いない。

 冒険者は右手にナイフを持つと、少年のことを威嚇した。


「おお、怖いよ。なんのこと?」

「……とぼけるなら、俺の前以外にしてくれるか?」

「とぼける前に、前提が分からないんだけどな」


 少年の表情を、冒険者はジッと見つめた。

 恐らくは裏があるのだろうが、そんな風には見えてこない。

 ムッとして眉根を寄せると、ナイフを下ろした。


「まあ、俺は喧嘩を止めて仲裁に来ただけだから、これに懲りたら……」


 冒険者の視界が歪んだ。突然痛みが走った。

 何が起きた? 理解が追い付かない。ふと下を見れば、腰の部分にナイフが刺さる。

 真っ赤な血がドクンドクンと溢れ出ると、引き抜かれ、うつ伏せに倒れた。


 バタリ!


「ひいっ!? お、おい、アンタ、大丈夫……(グハッ!)」


 突然冒険者が倒れたので、流石に男性も我に返る。

 心配するのも束の間。今度は自分が倒れることになった。

 冒険者を刺して引き抜いたナイフが、男性の脂肪で埋もれた腹に突き刺さると、痛みで仰向けにひっくり返る。


「ふぅ。危ないよ。俺はただ、息抜きに街まで来ただけなのに、余計なことはしないで欲しいな」


 使ったナイフを少年は拭いていた。

 指紋が付かないように配慮し、痕跡の一つも残さない。

 ついでに記憶も消すことにすると、調合した薬品を服用させ、意識を混濁させる。


「これでよし。あー、参った参ったよ」


 少年は何事もなかったかのようにその場を後にした。

 その姿を見た者は残念ながら居ない。それだけ人通りに少ない路地だ。

 〈《黒牙の影》〉でさえ気付くことが出来ず、倒れた冒険者と男性は横に重なり合って倒れていた。命に別状はない……とまでは行かないが、誰かが見つけるのを祈るまでだろう。

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