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【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
エピローグ

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第39話 三英雄の弟子である

アニメの最終回みたいな感じ

修行の回想を最後に持ってくる。

という訳で、一旦ここでおしまいです。

「あはははは……あはは、はぁ……」


 僕は笑い疲れてしまった。

 まさかこんなことになるなんて、正直思わなかった。

 けれど気持ちは宙に返り、何だか解放された感じがする。


「お姉さん達、本当にありがとう。僕、助かったんですよね?」


 僕は助けてくれた女性達に感謝する。

 丁寧にお辞儀をして、必死に失礼が無いように礼儀を払った。

 だけど上手く出来たか分からない。


「そっか。まだ助かってなかった。これからどうやって生きて行こう……」


 僕はまだ助かっていない。助かったと勘違いしていただけ。

 これから如何やって生きて行こうと、必死に考えても見つからない。


「おい!」

「は、はい。なんですか?」


 突然声を掛けられた。

 白桃髪の女性にジロッと睨まれている。

 よく見れば頭から角が生えていて、人間の姿をしているけれど、多分人間じゃない。

 何だか本の中で見た“竜”に似ている。そんな女性に声を掛けられたら、流石に声が出せない。


「お前、これからどうする気だ?」

「僕はこれから……どうやって生きて行こう」


 残念ながら、僕は解放されても行く所がない。

 ましてやロクに満足な生き方なんてできる気がしない。

 だって何も知らないから。僕は自分自身を呪った。


「行く宛がないのですね」

「は、はい……」

「そうですか。ではよければ、私達と……」

「一緒に暮らそうよー。ねー、いいよねー、君に拒否権は無いよねー」


 金髪の女性の言葉を黒髪の女性が奪った。

 途中で継ぎ足すと、僕に「一緒に暮らそう」と誘ってくれた。

 だけど頭がポワンとしてしまって、瞬きを繰り返して考える。


「えっ?」

「ちょっとメイ、それは私の台詞ですよ」

「いや、お前の台詞でもないだろ」

「むぅ。シュナは余計なことを言わないでください」


 まだ理解ができていない。そんな僕を三人の女性達は置いてけぼりにする。

 もしかして揶揄われたのかな? 口をポカンと開けてしまった僕は、女性達に訊ねた。


「あの! 僕は殺されるんですか」

「殺す? そんな事する訳がないだろ」

「ど、どうしてですか?」

「人を生かすも殺すも自由だ。私達にお前を殺す理由は無くなった。だからこそ、代わりのお前を生かすことにしただけだ。分かるな」

「……分からないです」


 白桃髪の女性は熱く言葉を投げ掛けてくれる。

 だけど僕にはまだ伝わらない。

 固まってしまい考える思考も失われそうになる中、金髪の女性は僕と目線を合わせる。


「大丈夫よ。私達は貴方を殺したりはしません」

「それじゃあ僕は……」

「そうですね。シュナ、メイ、構いませんね?」


 金髪の女性は白桃髪の女性と黒髪の女性に問い掛ける。

 二人共何かを察した様子で、お互いに頷く。


「分かっている」

「別にいいよー。あはは、面白くなって来た!」

「ボ、僕をどうする気ですか……?」


 怯え切った僕は女性達に訊ねる。

 すると白桃髪の女性は腕組をした状態で僕にこう言った。


「お前を私達の弟子にする」

「で、でし?」


 意味が分からなかった。如何して突然そんな話になるのか理解できなかった。

 けれど逃げられる雰囲気じゃない。代わりに僕は言葉を振り絞った。


「どうして、僕を弟子にするんですか?」

「ん? 面白いからかなー」

「お、面白いって、そんなあやふやな理由で!」


 ついムキになってしまった。黒髪の女性はそんな僕にニヤニヤした笑みを浮かべる。

 小悪魔な表情が僕のことを見つめると、恐怖で言葉が出なくなった。


「お前には素質がある」

「素質?」

「なによりこれはケジメだ。お前だけを生かしてしまった償い。そのためにお前自身を鍛え上げて、この狂った世界を生き抜けるようにしてやると言ってるんだ」


如何してそんなこと言ってくれるんだろう。

 やっぱり同情だよね。きっとそうに決まっている。

 暗くなる気持ちが手招きすると、深い海底へと沈んでしまいそうになる。


「そんな、僕にそんな資格……」

「資格は必要ありません。大事なのは貴方自身が生きることを望んで(・・・・・・・・・)いる(・・)かどうかです」


 言葉を継ぎ足したのは金髪の女性。優しい笑みを浮かべ、震える僕の手を握る。

 ハッとさせられたのは、僕自身が生きることを望んでいるから。

 そう言えば村の人達に追われている時も、僕は必死に生きようと足搔いていた。

 そうだ、僕は生きたいんだ。タダでは死にたくないんだ。


「僕は、死にたくない。生きたい、生きていたいです!」

「そうですか……シュナ、メイ、答えは見えました。真実です」

「「そうか」そっかー」


 今まで無い醜い声が喉の奥から振り絞られた。

 こんな感情初めてで、胸が張り裂けそう、焼けてしまいそうな感覚に陥る。

 もしかしなくても、コレが僕の心の声。そんな気がすると、女性達は頷く。

 

「だったら、私達と共に来い」

「えっ?」

「私達がお前の家族になってやる。だから共に来い、私達がこの世界の生き方を教えてやる」


 沈んでゆく心の世界に、一瞬で光が見えた。

 その拍子に白桃髪の女性は手をスッと差し出すと、僕の中でその手を掴まないと一生後悔する。

 見えた光を求めるように、僕の心は決まった。重力の無い世界で、僕の心は必死に足搔く。


「怖いか?」

「……怖いです。でも、僕はもう怖いもの無いです!」


 差し出された手を取った。

 あんな怖い思いをしてきたんだ、あれ以上はきっと無い。

 だから僕は狂った世界を生きていける。生きて行かないといけない。それが助けられた証で、血も繋がっていない痩せ細った僕のことを家族だと言って導いてくれる女性達のために。


「そう言えば、お姉さん達は何者なんですか?」

「ん? 私達のことー? それはね」


 黒髪の女性が嬉しそうに笑みを浮かべる。

 口角を上げた瞬間、視界が覆われた。

 揺らめく炎を光源に、三つの羽が織り成す。


「「「私達は冒険者だ」です」だよー」


 竜の翼、天使と悪魔の羽。本の中でしか見たことのないものが浮かび上がる。

 それはまるで幻想の世界に居るようで、僕はこの瞬間を一生忘れない。

 だってあんなに誇らしくなるような、胸が熱くなるような体験は、これから先の人生、どれだけ似たようなことはあっても超えることは無いと悟ったから。





「ってことで、僕は今日も冒険者として頑張っています。いつか師匠達を超えて見せるから、待っててね。っと、こんな感じかな?」


 僕は手紙を書いていた。

 誰宛なのかはもちろん決まっていて、僕の師匠達にだ。

 師匠達の下を離れて、早一年と半年が経った。

 だけど僕はまだ、師匠達の高みには至れていない。いや、そんなの一生懸けても無理だと分かってる。


「でも、師匠達に少しでも褒められるようにはなりたいよ。だって……」


 結局、僕の求めるものは一つしかなかった。

 あの日、僕を救ってくれたのは師匠達だ。

 《竜姫》シュナ・ドラグノフ、《天麗》レジーナ・エンジェリン、《魔嬢》メイ・デビリア。この世界を生き続ける、最強無敵のSランク冒険者集団、〈《三英雄》〉と呼ばれていた。


「うーん、さてと、そろそろ……」


 無事に手紙を書き終えた。

 後でポストに投函するとして、流石に眠たい。

 朝の鍛錬を終えてからすぐに書き始めけれど、やはり疲れる。

 一眠りしてから冒険者ギルドに向かうことにしたけれど、突然外から声が聞こえた。


「オボロ、起きてるのー?」

「今の声……あっ!」


 僕の名前を呼ぶ声がした。

 この声は間違いなくエメラルだ。

 如何して家の前から? ふと窓を開けると、エメラルとクロンの姿があった。


「エメラル、クロン。どうしたの?」

「どうしたのじゃないわよ!」

「……遅い」


 二人共何故か怒っている。確かに冒険者ギルドで待ち合わせはしていたけれど、何かあったのかな?

 家の住所は教えてないけど、あらかた想像は付いた筈。ってことは、迷わずここに来たってことだ。

 僕は気になって部屋の時計へと視線を向けると絶句した。


「えっ、遅い? ……あっ、もうこんな時間。やっちゃったな」


 二人が怒っている理由が分かった。待ち合わせの時間と時計の文字盤の時刻が大きくズレている。

 普段の僕なら絶対にあり得ないんだけど、今日は師匠達に手紙を書こうと思って張り切り過ぎた。そのせいで待ち合わせの時間を三十分も過ぎていた。だから二人が迎えに来てくれたんだ。


「ご、ごめんね。すぐに仕度するから」

「本当、ギルドに住所訊いて来なかったら、何時間待たせるつもりだったのよ」

「……私も忙しい」

「本当にごめんって。えっと、アレとソレとコレを詰めて。よしできた。って、それならついでに手紙も出しちゃおう」


 僕は二人をこれ以上待たせられないと思い、急いで仕度をする。

 魔法の鞄(マジックバッグ)の中に荷物を詰め込む。

 手入れの行き届いた愛用の短剣も腰に携えると、鞄を背負い、ついでに手紙も持って家の外へ出た。


「お、お待たせ。待ったよね?」

「待ったわよ。……オボロ、顔色悪いわよ?」

「朝ご飯、食べた?」


 エメラルは僕の顔色を見て心配してくれた。

 確かに顔色は悪いかもしれない。目の下に隈ができているのかも。

 それに合わせてクロンが朝ご飯のことを訊ねるので、僕は思い出す。


「朝ご飯? そう言えば食べてないかも」


 鍛錬をした後は、いつも食べないようにしている。

 少し休んでからしっかりと食事を摂る。

 いつ死ぬか分からない職業だから、食べられるときに美味しいご飯を噛み締めることも、冒険者として必要なことだけど、今日はこれもすっかり忘れていた。


「あーもう、そんなんじゃダンジョンに行けないじゃない」

「大丈夫だよ。僕、空腹でも無いし。それに空腹でも全然戦えるから」

「その甘さが仇になるのよ。仕方が無いわね」


 別に空腹だからダンジョンに行けない訳じゃない。それに僕はそこまで実力(パフォーマンス)を落としたりしない。だから食べなくても全然戦えた。

 けれどエメラルは断固して退かない。

 もちろんクロンも頷いていて、二対一の構図に負ける。


「クロン、朝食を調達してから行くわよ」

「うん」

「二人共、そこまでしてくれなくても……な、なに?」


 ピシッと人差し指を突き付けられた。

 エメラルの顔が何だか怖い。

 ゴクリと息を飲むと、エメラルは僕に言い付けた。


「もちろん、オボロの奢りよ。いいわね」

「僕の奢り?」

「そうよ、待たせた罰。さーて、なに食べようかしら」

「サンドイッチ」

「ああ、トマッツさんの屋台ね。それじゃあオボロ、サンドイッチ三つね」


 確かに朝ご飯でサンドイッチは丁度いい。

 トマッツさんの屋台が特に美味しいらしい。

 王都に来てまだ一ヶ月ちょっとの僕には伝わらないけど、僕の意見なんて完全無視で話が進んでいた。


「あはは……」

「「どうしたの?」よ?」

「いや、なんだか面白くて。うん、分かった。それくらい全然奢るよ。だから……」


 それで許して貰えるなら、もの凄く安かった。

 やっぱり二人は優しいなと、僕は素直に嬉しくなって、つい笑ってしまう。

 その気持ちを伝えたくて、言葉を紡ごうとするけれど、エメラルもクロンも興味無さそう。


「それじゃあさっさと行くわよ。その後はダンジョン探索、いいわね」

「うん」

「あっ、まあいっか」


 僕は二人の背中を追い掛け、隣に並んだ。

 何だか少しだけど、師匠達に近付けた気がする。


 今までずっとソロだった。それに比べたら、今は少し窮屈だけど、凄く楽しい。

 一人(ソロ)の時は全部一人で乗り越えて来た。

 それができたのは師匠達の教えがあったから。だけどそのおかげで、三人(パーティー)でやって行けた。応用が効いたんだ。


 だけどこうして今を生きていられるのは師匠達のおかげだ。

 あの日師匠達が僕を救ってくれた。そのおかげで今の僕がある。

 何よりこんな僕を導いてくれた、家族として弟子として引き取ってくれた。

 そんな優しさがあるから、僕は今日もこんな儚くて美しい世界を楽しく生きてます。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

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