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【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
1ー4:食らう妖精、狂う少年

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第34話 王都Bランクの冒険者

実はオボロ君がいない方が普通に強いです。

「ぐはっ!」


 頭をぶつけたオボロは、木の幹の下で、グッタリと倒れてしまった。

 動かなくなったオボロを心配し、エメラルは叫んだ。


「オボロ!?」


 エメラルがいくら声を掛けても、オボロは起き上がらない。

 死んだ訳じゃないらしいけど、痙攣して動けない。

 怪我も負っているのか、元気はまるでない様子だ。


「トロール、私の仲間によくもやってくれたわね」


 エメラルは本気で怒っていた。

 パーティーを組んだ期間はまだ短く、ましてや関係値も薄い。

 そんなオボロでも大切な仲間だと思っている証拠だ。


「ニンゲンナド、ショセンハエサダ」

「餌ですって……ああ、そう。分かったわ」


 トロールの発言は、実に魔物らしかった。

 けれど人間の言葉を介して言われると、無性に腹が立つ。

 エメラルは精神を律しているものの、クロンに声を掛けた。


「クロン、一気に決めるわよ」

「分かった」


 クロンもエメラルの言葉に応える。

 流石にパーティーメンバーがやられたとなったら、タダでは済まない。

 クロンは杖を掲げると、強烈な魔法を放つ。


「切り刻め。ブラックカッター!」


 杖を掲げると、クロンはクルクル回した。

 すると黒い魔力が集まり、大き目の球体になる。

 そこから何が放たれるのか。もちろん、真っ黒な刃だ。


「ソンナモノ、キクワケガナイダロ!」

「さぁ、どうかしらね!」


 トロールはクロンの魔法が効かないと豪語していた。

 エメラルはクロンの魔法が強力だと分かってる。

 だから急いで距離を取ると、真っ黒な刃が無数にトロールを襲った。


「ナッ!?」


 トロールは地獄を見る羽目になった。

 無数の飛んで来る黒い刃がトロールを襲う。

 それこそエメラルすらも巻き込んでしまいそうで危ない。

 ヒヤヒヤしながら距離を取るエメラルの姿を見送り、トロールも素早く動く。


「ア、アブナカッタナ」

「なんだ。今ので倒せれば楽だったのに」


 トロールは死を悟った。

 唐突に近くの木の幹を倒すと、ブラックカッターを受け止める。

 スパスパと丸太が切断されると、トロールの体には傷一つ付かなかった。


「むぅ。次はもっと上手くやる」


 クロンは自分の魔法が効かなかった。

 そのせいでムッと表情をいぶかしめる。

 だけどクロンは諦めない。より強力な魔法を放とうとする。


「薙ぎ払え。ブラックスィープ」


 クロンは杖をスッと横に薙ぎ払った。

 すると一本の黒い刃が薙ぎ払われる。

 トロールの体を横薙ぎしようとするも、流石にこれには対応する。


「コノテイドカ!」

「いや、追い詰められているでしょ」


 トロールは指が引き千切れる思いだった。

 それでも受け止めるしかない。それしか間に合わない。

 腰を落とし、人間のような動きでクロンの魔法に対抗する。


「ドウダ、ウケトメタゾ!」

「受け止めたって、なにになるのよ」


 トロールはクロンの渾身の魔法? を受け止めた。

 それだけで誇らしげな態度を取ると、今までの毅然とした態度は消える。

 完全に子供と同じで、小さなことではしゃいでいた。

 そんな所に、エメラルは追い打ちを繰り出す。


「グハッ!」


 エメラルはトロールに飛び掛かった。

 飛び蹴りを繰り出して、頭を蹴り飛ばす。

 すると口から唾を吐き出し、トロールは仰け反った。


「チッ。結構硬いわね」

「ナ、ナンダ、イマノハ……」

「金属版が埋め込まれた靴で蹴り飛ばしただけよ」


 エメラルはしれっと怖いことを言った。

 エメラルの履いている靴には、金属板が埋め込まれている。

 そのおかげもあり、通常よりも破壊力のある蹴りが繰り出せる。

 そんなもので蹴られれば如何なるか。流石のトロールも恐怖する。


「オマエラ、アノオトコトハチガウノカ?」

「あの男って、オボロのこと? そうね。私達は、オボロよりも強いわよ」


 エメラルはトロールの問いに答える。

 実際、オボロは相当な実力者。

 けれどそれを何故か隠している。いや、表に出さないようにしている。

 

 エメラルは薄っすらと気が付いていたが、敢えて口にはしない。

 代わりに解り切っていることを豪語する。

 エメラルとクロンはオボロよりも強い。経験と実力が証明になる。


「私達はBランク冒険者よ。オボロと一緒にしないでくれる?」

「うん」


 エメラルもクロンもBランク冒険者。

 けれどただのBランク冒険者とは訳が違う。

 群雄割拠の王都ディスカベルで培って来たBランク冒険者だ。

 つまりは、師匠達に修行を積んで貰ったオボロとは、また別角度の強者だった。


「だから私達は負けないの。タダではね」


 エメラルの目付きが変わった。

 本気の目になると、その手は背中に伸びる。

 背負っている四尺刀。ついに抜くのだろうか?


「仕方が無いから、楽に倒してあげるわ。感謝しなさいよね」


 ここまでの戦いで、トロールの実力は分かった。

 確かに高い。王都の冒険者を殺すだけのことはある。

 けれどエメラルもクロンも負ける気はしない。

 せめてもの救いの手を差し伸べると、殺すことを宣言した。


「コロスダト。ソレハコッチノセリフダ」


 トロールはビシバシとエメラルの本気の殺意を感じた。

 けれど威勢を無理やり振りかざすと、負けじと踏ん張る。

 まるで面白みが無いので、エメラルは溜息を吐くと、カチャンと四尺刀を抜こうとする。


「そう。それじゃあ死ん……で?」


 エメラルはトロールを殺す気だった。

 ついに四尺刀を抜く。

 かと思いきや、その前にオボロが起き上がって、立っていた。


「「オボロ!?」」

「ナ、ナゼオマエガ……コロシタハズジャ」

「あんなので死なないよ」


 あの程度で死ぬわけがなかった。師匠達に修行を付けられてきたんだ。

 オボロは簡単に死ぬことは無く、少し休むと余裕で立ち上がっていた。

 今か今かと戦いの時を待つエメラルとトロールの間に立つと、触れてはいけない空気を放っていた。少なくとも顔色は良好……ではなく、少し俯き加減で、エメラルは覗き込んだ。


「オボロ、大丈……顔、血だらけよ!」

「真っ赤っか」


 オボロの顔は真っ赤に染まっていた。

 額を怪我しており、そこから血管が切れたらしい。

 顔中が真っ赤に染まって、とても心配になった。


「そんなのはどうだっていいよ」

「どうでもいいって……アドレナリンが出まくっているのね」


 オボロはそんなこと、如何だってよかった。

 軽く流すと、アドレナリンが出過ぎていることをエメラルは心配する。

 そんなこととは露知らず、オボロはエメラルとクロンにお願いをした。


「エメラル、クロン、後は僕に任せてくれないかな?」


 バカみたいな提案をした。

 もちろんエメラルもクロンも正気の沙汰とは思えなかった。

けれどオボロの目は本気だ。目の奥に、ギラリと光る殺意があった。


「はぁ……いいわよ。けどね、やるならシッカリ殺しなさい」

「ありがとう。それじゃあ、第二ラウンドと行こうかな」


 オボロはクルンと振り返った。

 踵を返すと、トロールを眼前に構える。

 相手がオボロだと分かり余裕を見せるトロールだったが、エメラルとクロンは薄っすら気が付いている。

 オボロの様子が少し変わっていて、絶妙に気持ち悪い空気を放っていた。

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