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【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
1ー4:食らう妖精、狂う少年

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第29話 薬草を採りに行こう

冒険者の勘は当たる。

 僕達は薬草を採りに向かった。

 今回はとにかく軽い依頼だ。

 適当……はダメだけど、いつもよりもアッサリする。


「さっ。早く採取するわよ!」


 エメラルは腰に手を当てた。

 号令を出すと、目の前の草むらを見つめる。


「薬草の採取って、簡単そうに見えて、結構難しいよね?」


 薬草の採取は簡単そうに見え過ぎる。

 だけど実際にはとんでもなく難しい。

 何せ、生えている植物は、大抵同じ形だ。


「そうよね。知識がないと、適当な雑草を毟るだけよね」

「雑草は……クソ」


 エメラルやクロンも同感だった。

 実際、薬草の採取には知識がいる。

 とにかく主流(メジャー)な依頼なんだけど、知識がなかったら、普通に雑草を採取して冒険者ギルドで、受付嬢から冷たく笑われる。僕も師匠に教わってなかったら、多分そうなっていた。


 だけどそんなことは如何でも良くて、僕はクロンの言葉が気になった。

 結構クロンも強い言葉を使う気がした。

 だけど雑草も役に……とか言ってられないな。


「雑草だって、地盤を固くするために貢献してくれているんだからね」

「まぁ、そうよね。ってことで、薬草だけ採取するわよ」


 雑草だって役に立ってくれていた。

 だから僕も負けてられないと思い、早速作業を始める。

 エメラルも同意すると、意気揚々と採取に取り掛かる。


「もうやってる」


 しかしクロンは誰よりも手早かった。

 すぐさましゃがみ込むと、薬草を選別している。

 雑草はまばらに抜き取りながらも、育った薬草を袋に詰めていた。


「ちょっとクロン。なんで今日は手際がよいのよ」

「早く終わらせたい」

「早く終わらせたいって……なにかあるの?」


 何やら用事があるのか、無いのか?

 クロンは少しだけ急いでいるようだ。

 何か早めに終わらせてやりたいことがあるのかもしれない。


「別に、特に無いけど」

「無いんだ。だったら急ぐ必要ないでしょ?」

「それはそう……でも」


 クロンの言葉には含みが隠れていた。

 決して急ぐ必要は無い筈なのに、遠くの方を見つめている。


「でもって、やっぱりなにかあるよね?」

「なんだろう?」

「分かってないの? はぁ、でも確かに、胸騒ぎはするわよね」


 訊き返してみたけれど、クロンの起伏は少なかった。

 何かは分からないが、もの凄く心が逸る。

 エメラルも胸騒ぎがするようで、集中できていなかった。


「胸騒ぎって、スカイプ達のこと?」

「そうね。なにかあるのかしら?」


 “胸騒ぎ”云々の話になれば、考えられるのはスカイプ達のことしかない。

 もちろん僕はスカイプ達がどんな冒険者なのかは詳しく知らない。

 多分強いとは思うけど、胸騒ぎは……まぁ、しないこともないかな?


「なにも無いと信じたいけど……ねぇ?」


 何も無いと信じることしかできない。

 僕達冒険者に大切な精神は、明日は我が身だ。

 思いやることも大事だけど、それ以上に、目の前のことに全力を注ぐ。それが鉄則だって、僕は師匠達から教え込まれていた。


「やっぱり、私達が受けた方がよかったかしら?」

「そんなの結果論だよ」

「それもそうね。でもやっぱり気になるわ」


 エメラルは自責の念に駆られていた。

 だけどまだ何も起きていないんだ。

 エメラルが心配するのは杞憂なので、僕は落ち着かせる。

 それでも天を仰いでしまい、薬草も……スパスパ採取していた。


「はぁ。大丈夫だといいけど……」


 エメラルは心配していた。

 その気持ちが僕にも伝染する。

 とは言え、信じるしかない。それくらいしかできない。

 何せ僕達は、スカイプ達の動向なんて、知る由も無いんだから。




 スカイプ達はトロン森にやって来ていた。

 調査を始めてから数時間。

 ある種の違和感には気が付いていた。


「どう思う、この状況」

「そうね。あまりにも魔物の数が少ないと思うわ」

「だな。コレ、なにかあったに違いないぞ」


 女性冒険者のミーツ。それから男性冒険者のズム。

 二人は不穏な気配に気が付いていた。

 最初期からスカイプと組んで来た冒険者だ。

 連携は見事に取れている。


「そうか。それじゃあもう少し先に行くか」

「ちょっと待ってください。流石にこれだけ魔物の気配がないと、不気味です。一旦引くべきです!」


 冷静な判断を下したティム。

 パーティーの新参者だが、その洞察力と臆病さは誰にも負けない。

 冒険者は臆病なくらいが丁度よくて、特に探索や調査には重宝される。


「そうは言ってもな。流石に成果がなさすぎる」

「そうですね~。これじゃあ、ギルドに報告できませんよね~」


 グチグチと愚痴を吐いたのは、パーティーで一番の新米。

 オットリとした、ディス子と言う名の女性だった。

 言葉の抑揚が幅広く、「あはは」と呑気に笑っていた。


「ディス子は相変わらず過ぎます」

「そんなこと言っても仕方ないわよ?」

「そうだな。成果は必要だ」

「二人も!?」


 ミーツもズムもディス子に乗る。

 孤立したティムは両頬に手を当てた。

 最後の頼み、スカイプに視線を飛ばすも、スカイプもティムの意見は無視する。


「ティム。ここはもう少し調べてみるぞ」

「スカイプも!?」

「うん。ここで成果を上げれば、ギルドも僕達のことをより高く買ってくれる筈だ。ここは少し危険でも、行くべき……」


 スカイプはエメラルのように、信頼される冒険者だった。

 実力は高く、成果も上げて来た。

 けれど何かとエメラルと比べられる。もちろん、それは仕方が無いことで、エメラルの実力が自分よりも上なことは理解している。だけど、スカイプだってもっと地位を上げたいと望んでいた。


 だからこそ、冒険者が本当にやるべきことを忘れていた。

 目の前の危険を疎かにするなんて真似、決して許される訳がなかった。

 だからこそか。スカイプ達は気が付いた。


「……この気配は!?」


 スカイプ達は武器を手にした。

 けれど間に合わなかった。

 突如として轟音が響き渡ると、木々達が薙ぎ倒され、スカイプ達の視界が奪われる。


「な、なんだ。うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「「「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」」」

「スカイ……プ、逃げて……」


 何が起きたのか。スカイプは薄っすらとする視界を広げた。

 そこには倒れた仲間の姿。

 それに加えて、灰青色をした魔物の巨体が浮かび上がる。


「アレは……くっ」


 完全に急襲だった。スカイプ達では対処しきれなかった。

 何がマズかったのか。深入りし過ぎたのかもしれない。

 自分の判断を呪うと、スカイプは唇を噛み、ただ逃げるしか道はなかった。

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