第17話 またパーティーを組んでね
なんか上手く行きました。
「ってことで、調べては見たんだけど」
「なんにもなかったわ」
あの後、僕達はナパナパ森を見回した。
ゴブリンの残党が居ないか如何か、潜んでいないか見て回った。
おまけにゴブリンがナパナパ森にやって来た理由。
色々と理由を付けてみたけれど、決定的なことは何にも分からなかった。
「そうですか。ですが、無事にゴブリンは討伐されたんですね」
「一応はね。でもネシア、全然報告と違うじゃない!」
ネシアは安堵した。無事にゴブリンを討伐した。冒険者ギルドにとって、被害が最小限に食い止められただけでよしとなる。
だけどエメラルは怒り心頭。受付カウンターをボン! と叩いた。
「報告と違いましたか?」
「そうよ。なんであんなにゴブリンがいるのよ」
「確かに多かったよね。でも、ネシアを責めても仕方ないでしょ?」
「それはそうだけど……無駄に戦闘させられたわ」
確かに多かったけど、ネシアを責めても仕方が無い。
だって、あくまでも報告は報告。
多分だけど、噂に尾鰭が付かなかっただけだ。
「申し訳ございません。ですが、あくまでも冒険者ギルドが確認している個体数から算出したものですので」
「それは分かってるわよ」
「ですが、無事に帰って来られて何よりです。エメラルさん、オボロさん、お疲れさまでした」
ネシアは丁寧なお辞儀をペコリとした。
常に丸く、常に最小限かつ最大の配慮をする。
そんなネシアの受付嬢としての腕を見せられた。
「それより、ゴブリンの群れが現れた理由って、なにか分かったの?」
「それがまだ……」
「嘘でしょ? 人海戦術を使ったんじゃないの?」
まさかの事態。冒険者ギルドも未だにゴブリンによる被害の原因を把握できてい尚。
しかも人海戦術まで使ったのに、情報は皆無。
如何してゴブリン達が現れたのかもサッパリ分からない。
「まさか、怠慢ってことは無いわよね?」
エメラルが他の冒険者達を睨んだ。
別に非難したわけじゃなくて、単に気になった。
すると目を伏せる冒険者の姿や、首を横に振る冒険者の姿がある。
言葉を交わさない情報のやり取りに、僕はエメラルを見た。
「みんなちゃんと調べて来たみたいね。それで、この結果……分からないわね」
「そうだね。どうしてこれだけの数のゴブリンが一斉に……」
やはり何かあったとしか思えない。
恐らく、各地に現れたゴブリン達は、元々は一つの群れだった筈。
たまたま僕達が戦ったゴブリン達の中に、ホブゴブリンの姿があった。
きっとアレがゴブリンの群れのボスで、そこに多くのゴブリンが残っただけ。
「でも、ゴブリンの群れがバラバラになるって、よっぽどの気がするけど……」
明らかに住処を追われたのは明白。
だって、ゴブリンとは言え魔物だ。生き物だ。
慣れない環境だったから、アレだけ雑な動きだった。
「冒険者の勘よね」
「うん。経験則だよね」
冒険者の経験則を、積み重ねて来た修羅場の勘を舐めちゃダメだ。
何より王都の冒険者は相当な強者揃い。
ブレットだって、王都では並でも、他の町では相当な腕。
この状況は、普通ではなかった。冒険者にとって、見過ごせない。
「まぁ、情報がない以上、なにもできないけどさ」
結局情報がない以上、下手に動けない。
僕だって別に何とかしないといけない義務感はない。
流石の正義感溢れる真面目なエメラルでも、首を突っ込む訳には行かない。
「それより報酬をお支払いいたしますね」
ネシアはドンヨリとする何とも言えない空気を察知。
話を切り替えると、小さな袋を取り出す。
中には銀貨が入っていて、一万リルにも満たなかった。
「こんなものよね、ゴブリン対峙なんて」
「そうだね。ゴブリンの討伐は、安いもんね」
ゴブリンの脅威度は低い。
確かに数は多いし、被害は出るけれど、冒険者に支払われる報酬は安い。
僕も冒険者をやっているんだ。それくらい知っている。だから全然旨くない。
「半分でいいわよね?」
「折半でいいよ」
二人だから丁度割り切る。
端数はエメラルが僕にくれる。
太っ腹な〈《眩き宝石》〉の副ギルドマスターに僕は感謝した。
「ありがとう、エメラル」
「これくらいいいわよ」
とりあえず、今できることはやり切った。
僕とエメラルは、無事にゴブリン討伐の依頼を終えた。
結局、原因はまだ分かってないけど、代わりに得られるものも多かった。
「今日はありがとね、エメラル。ゴブリン討伐、手伝ってくれて」
「別にいいわよ。私にも依頼があったから」
僕達は報酬を分け合った。
無事に何事も無く、ゴブリンを討伐できたのは、エメラルのおかげ。
一緒に討伐に行ってくれたことを、素っ気ない態度はされつつも、僕は感謝する。
「ありがと、それじゃあまた」
「手伝えって言うの?」
「えっ、ああ、そう捉える?」
僕は普通に「お疲れさま」って意味で言った。
だけどエメラルは「またやるの?」って形で受け取る。
全然意味合いが違うから、僕は面を喰らった。
「またパーティーを組んでくれるなら嬉しいけど」
「別にいいわよ」
「えっ、いいの!?」
僕はダメもとで頼んでみた。
王都に着て初めてのパーティー戦を制した。
きっと上手く連携を取れていた証。師匠達にも、他の冒険者との交流や繋がりは大事にしろって言われてきた。だからこの繋がりを絶やしたくなかったから頼んでみるけど、エメラルは〈《眩き宝石》〉の副ギルドマスター。そう簡単に引き受けてくれる訳ない。
諦め半分でお願いしてみると、まさかのOKを貰った。
「いいわよ。貴方は最低限の戦力にはなるし、ネシアを助けてくれたから信頼も一応はできるわ。ただし、私の足を引っ張らないことが条件よ、いいわね」
「それは……頑張ってみるよ」
エメラルとパーティーを組むのは楽しそう。
それがまた叶うのならありがたいけど、普通に足を引っ張るなんて言われた。
条件がキツい……でも、とりあえず頑張っては見ることにした。二面性が出なければだけど——
「それじゃあ決まりね。まっ、毎回パーティーを組む訳じゃないわ」
「分かってるよ。それじゃあ、またお願いするよ」
ずっとパーティーを組む訳じゃない。
それでもまたエメラルとパーティーを組めるのは楽しみだ。
僕は元気よく応えると、笑みを浮かべた。
「なんか凄くいい感じじゃん……」
「ホブゴブリンと戦っている時に一瞬感じた違和感……放っておくとヤバそうね」
僕は王都に来てから調子の良さに気が付く。まさかパーティーを組んで貰えるなんて嬉しい。
一人で喜んでいる僕だけど、何故かエメラルの目付きが何故か怖い。
監視されているように感じだけど、「まあいっか」ってことで、僕は流した。
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