表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【狂気】生贄にされた少年、最強冒険者パーティーに育てられ、“最狂”のサイコパス冒険者になりました。  作者: 水定ゆう
1ー2:ゴブリンの群れ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/39

第14話 ナパナパ森

この世界を書く上で、名称は適当でいい。

 僕とエメラルの二人はダンジョンに向かった。

 ゴブリンが群れで観測された場所のようで、ナパナパ森って言うらしい。

 いざ王都に来て、初めてのダンジョンへ。

 僕はやる気に満ち満ちていた。


「そう言えばエメラル」

「なによ?」

「エメラルの背中の刀、重くない? ちゃんと抜いて戦うんだよね?」


 ここまでずっと気になっていた。

 いや、ずっとって訳じゃないから、流石に言い過ぎだと思う。

 だけど常に視界に入ってチラ付いていた。

 エメラルの背中に携えた四尺刀。いつになったら抜くんだろう?


「ああ、この大太刀ね。四尺刀っていうのよ」

「四尺刀、名前だけは聞いたことあるよ」

「そうなのね。じゃあ質問に答えてあげるわ」


 エメラルの背中に携えた大太刀の名前。やはり四尺刀であってた。

 正直、如何してあんな使い辛そうな武器を選んだのかは分からない。

 けれどエメラルは差し指を立てて、得意気に話してくれる。


「実際重いわよ。メチャクチャ重い。年中背中が痛いわ」

「ええっ……」

「おまけに刀身が長いから扱い難いのよね。腕も痛いし、本当に嫌になるわよ」


 期待していた反応と違った。もっと得意気に語ってくれるのかと思ってた。

 だけど実際は全然違った。文句が口から溢れ出し、不満がタラタラ募る。

 四尺刀の悪口ばかりが飛び出すと、僕は正直思った。辞めればいいのに。


「それじゃあ、どうしてそんな使い勝手の悪い武器を選んだの?」

「決まってるでしょ。私はお姉ちゃんみたいになりたいのよ」

「お姉ちゃん?」


 目標があった。それはエメラルの姉らしい。

 そこまで聞けばハッとなるけど、もしかしなくてもエメラルの姉の武器は決まっている。


「そうよ。私のお姉ちゃん、トパーザは私よりも強いの。そんなお姉ちゃんに憧れて、私は四尺刀を選んだ」

「もしかして、お姉さんが?」

「決まってるでしょ。お姉ちゃんが四尺刀を使っているから、私も真似したのよ。でもね、私は見ての通りよ」


 エメラルの姉、トパーザも四尺刀の使い手らしい。

 そんな姉に憧れたからこそ、エメラルは本来使い勝手の悪い四尺刀をあえて選んだ。

 だけどそれを使いこなすのはとんでもなく大変で、ただでさえ大太刀は扱いが難しいのに、エメラルはもっと難しい。自分でも分かっているのか、体を広げた。言わなくても僕も重々承知している。


「見ての通り……ねぇ」

「なによ。貴方も小さいでしょ」

「分かってるよ、そんなの。とんでもないハンデだって」


 背が低いのも、背が高いのも、色々と考え物だ。

 だけど僕達冒険者にとっては、それが利点(メリット)になることもある。

 だけどエメラルのように、背が低すぎると、武器の選択も限られる。

 圧倒的に四尺刀との相性は悪い。そんなの目に見えていた。


「それでも選んだんでしょ?」

「当り前でしょ。私、自分で決めたことを曲げたくないの。絶対にね」


 エメラルは強い。真面目でまさに冒険者の鑑。

 自分が決めたことに対して、シッカリと義務と責任を抱いている。

 こんなのヒーローだよ。うん、誰が何と言っても、本人が否定しても、周りから見ればヒーロー以外の何者でも無かった。


「だから私決めたの。ハンデをものともしない冒険者になるってね」

「カッコいい」

「茶化さないでくれる?」


 エメラルは褒めると怒った。

 だけどこんなのカッコいい以外の形容詞できない。

 背が低いことを欠点(デメリット)にしない。四尺刀をハンデにしない。

 それでここまで駆け上がって来たんだ。比べたらダメだけど、エメラルも相当な努力家だった。


「茶化してないんだけどな……」


 僕はボソッと呟いた。

 だけどエメラルの耳には入ってない。

 そう思って視線を落とすと、耳の先が少しだけ赤かった。

 きっと聞こえて恥ずかしかったんだと思いつつ、一旦話を変えてみる。


「そう言えば、このナパナパ森だっけ?」

「そうよ。可愛い名前でしょ?」

「うん。でもこの森、全然魔物がいないね。もしかして、普段からこうなの?」


 ナパナパ森。思った以上に魔物の気配が無い。

 確かに可愛い名前だけど、それ以上に冒険者が来るような場所に見えない。

 僕は不思議に思うと、エメラルはクスッと笑った。


「そうね。それにここはダンジョンじゃないわ」

「えっ? ダンジョンじゃないの」


 僕はエメラルの言葉に反応した。

 ここがダンジョンじゃないなら、一体僕達は何処に来たのか。

 周囲を見回すと、魔力の流れは多少ある。だけどダンジョンっぽくは……無いかも?


「そうよ。ここはね、木材を伐るための伐採地なの」

「伐採地。そうなんだ、だから魔物も」

「そんなのがいたら、仕事にならないでしょ」


 僕はつい浮かれていた。如何やらここはダンジョンじゃないらしい。

 木材を得るための伐採地。それなら魔物が一匹も見当たらないんだ。

 もしそんなのが出たら、木材の伐採なんてできる訳がない。

 僕はエメラルの話を聞きハッとなると、口元に手を当てた。


「そっか。だから被害が……」

「そう言うことよ。さっさとゴブリン倒して、伐採地を取り戻すわよ」


 ナパナパ森にどんな被害が出ているのか。

 僕はピンと来ていなかったけど、林業に携わっている人達にとってはとんでもない被害だ。

 冒険者にとってゴブリンはそこまでの脅威じゃなくても、冒険者以外には魔物であることに変わりない。だからこそ、早めに討伐して安心と安全を守る必要があった。


「それなら尚更……あっ」

「シッ!」


 エメラルは耳を澄ましていた。

 僕も嫌な気配を感じると、ピタッと立ち止まる。

 そのまま近くの木の裏に隠れ、息を潜めると、視線を遠くに飛ばす。


「エメラル」

「分かってるわよ。ようやく見つけたわ」


 ナパナパ森を歩いて来て、大体二十分以上。

 ようやく目的の魔物を発見。

 視線の先、薮の向こう側に緑色の小さな鬼が蠢いている。


「アギャッ!」

「ギャギャァ!」


 とりあえず二匹補足した。

 緑色の体。短い白い牙。おまけに腰蓑を付けている。

 手には何も持っていない。如何やらそこまで知能が高くはない、比較的一般的な個体。


「どうするのエメラル。仕掛ける?」

「そうね。とりあえず罠の類は……」

「無さそうだね」


 薮の向こう側の地面。罠の様なものは見当たらない。

 あれだけ知能が低いんだから、そんなものある訳がない。

 今だって、よく分からないけど、涎をダラダラ垂らしながら、何か話しをしていた。

 正直、焦っているのは伝わるけど、そんなことで僕達は引き下がらない。


「ふぅ……それじゃあオボロ、とっとと叩きのめすわよ」

「OK。それじゃあ、やろうか」


 僕は腰のベルトに手を当てた。いつでも武器を、短剣を抜けるようにする。

 呼吸を一つ整えると、目付きをスッと変えた。

 ここからは命の奪い合い。僕達は冒険者として、見つけ賜物、当初の予定通り、ゴブリンを討伐することにした。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ