プロローグ
初めまして。
ご覧頂きありがとうございます。
一週間くらいは、毎日AM08:00頃投稿予定です。
「花子さ~ん!」
純白の衣装に身を包んだ、見目麗しい若い女性が大きく手を振って声を掛ける。
その視線の先にいる女性もまた、純白の衣装に身を包んでいた。
「仕事中は婦長と呼ぶざます」
振り返った女性は笑顔で注意する。
『ざます』とは『ございます』の山の手言葉だ。
「え~? でも花子さんは花子さんですよ~」
若い看護婦は納得できず頬を膨らませる。
初めて来訪した患者さんたちが、そちらを振り向いて一様に固まった。
それもそのはず、婦長さんの容貌は常軌を逸していたのだ。
身の丈2メートルに届こうかという長身。
ナース服の上からでも分かる、盛り上がった全身の筋肉。
髪は角刈りかと錯覚するようなオールバックを頭の上でお団子に纏めてナースキャップに収めてある。
極め付きは、精悍な顔立ちにサングラス。
ここが病院でなければ、誰も看護婦とは思わないだろう外見だった。
彼女の名前は天障院花子。
ここ日和見病院が誇る、名物婦長さんである。
「そろそろ時間ざますよ」
「は~い」
婦長さんと若い看護婦が控え室を出る。
今日も病院の新しい一日が始まった。
次から本編です。
9:00頃投稿予定です。