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第8話「忠誠心は抗えぬ」

「……よし、準備は万端だ」


 俺は鏡の前で自信満々に頷いた。手には異世界の古文書から翻訳した“簡易自己催眠術マニュアル”。昨日ガルダスの書庫でこっそり手に入れた、いわば禁断の技だ。


「この術で、リリの警戒心をちょっとだけ緩める……そして、その隙に脱出だ……!」


 催眠の知識はゼロ。だが、試しにこの本に沿って自分に「バナナになれ」とか命令したら、3分間バナナの真似をし続けていた程度には効いた。


「まあ、いける。いけるだろ」


 ちょうどそこに、重厚な足音が近づいてきた。


「ピラー様、朝の点検に参りました」


 よし来た!


「おはよう、リリ。ちょっとこっち見てくれる?」


「? はい?」


 俺はポケットから取り出した銀のペンダントをゆらゆら揺らしながら言う。


「今から言う言葉を聞くと、君は眠くなる。目を閉じると、意識が深く沈んで……深く、深く……」


「……」


「君は、これからすべてを忘れて、ここから離れる。そして俺がいないことに疑問を持たない」


「……」


 成功してる! 完全にうっとりした目だ!


「それじゃ、俺はちょっと散歩に——」


「ピラー様ああああああ!!!」


「うわあ!?!?!?」


 突然リリが抱きついてきた。


「なんだなんだ!? 目覚めたのか!?」


「ピラー様が……ピラー様が……そんなに逃げたいなんて……! 私の忠誠心が、足りなかったから……っ!」


 なんか……違う方向に感情が爆発してる!?

「いや、ちょっと落ち着け、これ催眠ミスだから!」


「そんな! 催眠にかけてまで、私から離れようとするなんて……っ! ピラー様のお気持ちを、今の私では支えきれないと……そう、思われたのですね!」


「ちが、そうじゃない! 催眠で逃げようとしただけで、お前が悪いとかじゃなくて!」


「……ですが! ピラー様がいかなる場所へ逃れようとも、私は絶対にお傍に……!」


 抱きしめる腕の力が、ぐいっと強くなる。


「ちょっと離せ! 息できない!」


「では今すぐ馬と非常食を用意します! 私も同伴であれば、逃走経路の安全確保は万全です!」


「お前も来るんかい!!」


 こうして、俺の“催眠ルート”は、“忠誠心暴走ルート”へと変貌し、またしても脱出に失敗するのだった。


「……変装術とかに路線変更するか」


「それなら、ピラー様には猫耳が似合うと思います!」


主人公が脱出しようとしてそれを身体能力チート系ヒロインが先回りして引き留めて曲解解釈して崇められるという構図が面白くなってきてその方向にしてますが、そろそろ話を進めた方がいいのかこのままギャグで行くのか迷っております・・・

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