エピソード98 生涯に渡り晒され続ける重圧
『父上が御当主をされていますレバークーゼン家は、ライン川の東側の領地を治めています』
アンリ・フォン・レバークーゼン卿による説明に対して、恵さんを含む私達女子学生の全員が頷きますと。
『封建制度を政治体制に採用しております帝国においては、御領地と領民を御治めになられていられます貴族諸侯であらせられます皆様方には、御自身が御治めになられていられます御領地は、自力にて護る実力が求められます』
帝国の君主であらせられる皇帝陛下の、直臣の臣下でもある貴族諸侯であらせられます皆様方は、軍役を果たす義務を負われますから。御自身の御領地を護る実力さえ無い御方には、御領主の資格無しとの考え方が帝国においては深く根付いています。
{能力主義は効率的に社会を治められますからな。我が主}
過度な能力主義は終わりの無い争いの原因ともなる恐れがありますけれど、帝国においては封建制度の政治体制と能力主義に基づく自力救済による慣習が、絶妙な匙加減の按配により均衡が保たれています。髪飾り。
『子爵閣下の爵位にて御領地を御治めになられていられます父上も、帝国の慣習に基づき領界を隣接する御領主の皆様方とは、小競り合いを繰り返して来られましたが』
黒髪と褐色の肌色をされていられますアンリ卿は、藍色の瞳と灰白色の髪の毛をされている希望さんに対して、好意的な視線を向けられまして。
『令嬢ナディーネ女史の御父君であらせられる男爵閣下のように、良好な関係を長年に渡り維持している御領主も居ます』
アンリ卿の話に、ナディーネさんも頷いて同意を示されまして。
『家は男爵の爵位の親父は下級貴族として、皇帝陛下の宮城で官吏として宮仕えをして。家督と領地を親父に譲った爺さんも、軍務省で准将の軍階級で働いているからな。帝国騎士身分の兄貴達が交代制で領主代行を務めてはいるが、全員本職は現役の帝国軍人だからな。自力救済で領界争いをしている余裕なんか無ぇんだよ』
{腕輪の主の家門は、一族が全員優秀であるが故に、祖国である帝国に便利に使われているようにも感じられますな?。我が主}
その点は同感です髪飾り。一族全員が優秀ですと、周囲からの期待に応えなければならないという重圧に、生涯に渡り晒され続けるのだと思われます。




